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むちうちの12級と14級の違い

2019-12-18

交通事故に遭い「むちうち」になってしまう被害者の方が非常にたくさんおられます。

むちうちになると「後遺障害」として認定される可能性がありますが、その際に該当する「等級」が重要です。

交通事故では後遺障害の認定等級が高くなればなるほど賠償金が高額になるからです。

むちうちの場合には12級または14級になる例が多数です。

 

今回はむちうちで12級になるケースと14級になるケースの違い、それぞれの賠償金額の相場などをご紹介します。

 

1.むちうちで12級になるケース

1-1.むちうちとは

むちうちとは、追突事故などに遭って首の骨である頸椎を損傷した場合に発生する症状です。むちうちは一般的な呼称であり、医学的には「頸椎捻挫」「外傷性頸部症候群」「椎間板ヘルニア」「バレ・リュー症候群」「脊髄症」「神経根症」など程度や発症部位によってさまざまに分類されます。

 

むちうちになって後遺障害認定12級の認定を受けられるのは、以下のような場合です。

 

1-2.MRIなどで他覚所見を確認できる

むちうちで12級の認定を受けるには、MRIなどの画像検査で何らかの異常所見を確認できることが必要です。

たとえば事故によって発生した椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄などを確認できれば、後遺障害12級やそれ以上の等級が認定されます。

MRI以外の画像検査としてはレントゲンやCTなどもありますが、むちうちの損傷部位を確認するのにもっとも長けているのはMRIです。レントゲンやCTでは「骨の異常(骨折など)」しか確認できませんが、MRIでは「組織変性」を確認できるからです。

むちうちで12級の認定を受けるためには、精度の高いMRI検査機器を使って患部の撮影をしてもらうことが必須です。

 

2.むちうちで14級になるケース

むちうちで14級になるのはどのようなケースなのでしょうか?

 

それは「自覚症状に合致する症状が発生していると合理的に推認できる場合」です。

MRIなどによって症状を「証明」する必要はありませんが、症状があると合理的に推認されなければなりません。

そのためには、被害者が主張している自覚症状が一貫していること、交通事故の発生状況と合致していること、神経学的検査などの画像以外の検査方法で症状の存在を示すことなどが必要となってきます。

むちうちで画像撮影しても異常を確認できない場合、14級の認定を受けるために通院時からの慎重な対応と後遺障害認定請求する際の工夫が要求されます。

 

3.12級と14級それぞれの賠償金の相場

後遺障害12級や14級が認定されたら、それぞれどのくらいの賠償金を受け取れるのでしょうか?

3-1.12級の賠償金

交通事故で後遺障害が認定された場合、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が支払われます。

  • 後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、被害者の受けた精神的苦痛に対する賠償金です。12級の場合の後遺障害慰謝料の相場は290万円です。

  • 後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことによって将来得られなくなった収入です。金額は、被害者の事故前の年収や年齢により異なります。

12級の場合には500万円を超えるケースが多く、1,000万円前後となる例もあります。

3-2.14級の賠償金

  • 後遺障害慰謝料

14級の場合の後遺障害慰謝料の相場は110万円程度です。

  • 後遺障害逸失利益

14級の場合の後遺障害逸失利益は500万円以下となる例が多数です。

 

4.むちうちで後遺障害認定を受けるために

むちうちになったとき、高額な賠償金を手にするにはまず「後遺障害認定」を受けることが重要です。14級の賠償金は12級より低額ですが、それでも後遺障害なしの事案よりは大幅に金額が上がります。

ご本人で対応されると、どうしても不十分となって適切に後遺障害認定されない可能性が高まります。被害者自身が対応したら後遺障害非該当とされたケースでも、弁護士に依頼すると12級が認定されて1,000万円以上賠償金が増額された事例もあります。

 

当事務所では千葉で交通事故に遭われたみなさんのために積極的な支援を進めています。むちうちになって不安な思いを抱えておられるなら、是非とも一度、ご相談下さい。

事前認定と被害者請求の違い、選択方法について

2019-12-04

交通事故で後遺障害認定を受ける際「事前認定」と「被害者請求」の2種類の方法があります。

どちらを利用するかによって後遺障害認定されるかどうか結果が変わるケースもあるので、それぞれがどういった方法なのか正しく理解しておきましょう。

 

今回は「事前認定」と「被害者請求」の基本とメリットデメリット、選択方法などを千葉の弁護士が解説します。

 

1.事前認定とは

事前認定とは、相手の任意保険会社に後遺障害認定の手続きを任せる方法です。

被害者が自分で保険会社と示談交渉を進める場合には、たいてい事前認定の方法で後遺障害認定の手続きが進められます。

1-1.事前認定の手続きの流れ

事前認定の場合、被害者は「後遺障害診断書」さえ用意すれば足ります。

自賠責保険の後遺障害診断書の書式を用意して医師に渡し、作成を依頼します。完成したら医師から診断書を受け取り、保険会社へ郵送します。これだけで後遺障害認定申請の手続きが完了します。

結果が出たら任意保険会社から通知されます。

1-2.事前認定のメリット

事前認定のメリットは、手続きが非常に簡単なことです。後遺障害診断書を用意して相手に送るだけなので、誰でも対応できるでしょう。費用もかかりません。

1-3.事前認定のデメリット

デメリットは、手続きがどのように行われているかわからないことです。被害者が有利な資料を積極的に提出したり、調査事務所に直接事情を説明したりすることもできません。

後遺障害認定を受けられるかどうかが微妙なケースなどでは、適切に判断されない可能性も発生します。

 

2.被害者請求とは

被害者請求とは、被害者が自ら自賠責保険へと後遺障害認定の申請をする手続きです。

被害者請求をするときには非常にたくさんの書類を用意しなければならず、手続きが煩雑です。ただ自分で手続きを進められるので安心感がありますし、いろいろな工夫もできます。

2-1.被害者請求の方法

被害者請求の際には、以下の手順で手続きを進めます。

  1. 後遺障害診断書を入手する

医師に依頼して後遺障害診断書を作成してもらいます。

  1. その他の必要書類を入手する

保険金請求書、事故発生状況報告書、診断書、診療報酬明細書、レントゲン検査の資料等の必要書類を作成・入手します。

  1. 自賠責保険(共済)へまとめて提出する

書類がそろったら自賠責保険へまとめて郵送します。

  1. 調査事務所からの照会等に対応する

その後、調査機関である調査事務所からの照会などがあるので回答します。

  1. 結果の通知を受ける

調査の結果、後遺障害認定を受けられるかどうかが決まったら結果の通知が届きます。

 

2-2.被害者請求のメリット

被害者請求のメリットは、被害者が自分の裁量で積極的に後遺障害認定が認められるよう主張したり資料提出したりできることです。難しい事案でも認定を受けられる可能性が高くなります。また自分で手続きを進めるので手続きの透明性も確保され、安心感があります。

2-3.被害者請求のデメリット

デメリットは手続きが煩雑で労力がかかることです。素人の方にはハードルが高いと感じるケースもあるでしょう。また診断書や診療報酬明細書などの資料収集の際に実費が発生します。

 

3.事前認定と被害者請求、どちらを選択すべきか

選択の基準としては、以下のように考えると良いでしょう。

3-1.後遺障害が明らかでほぼ確実に認定を受けられるなら事前認定

後遺障害の内容が明らかに検査結果によって証明されていて、認定される等級についても争いが発生しそうにないケースでは事前認定を利用しても問題はありません。

3-2.認定を受けられるかどうか微妙、争いがあるなら被害者請求

資料収集状況などからして後遺障害認定されるかどうか微妙なケース、等級に争いが発生しそうなケースなどでは自分で確実に手続きを進められる被害者請求を選択しましょう。

 

交通事故被害者にとって後遺障害認定は非常に重要な手続きです。お一人で対応するより弁護士に相談しながら進める方が確実です。千葉で交通事故に遭われて後遺障害が残りそうな方は、より確実に高い等級の認定を受けるため、お気軽にご相談下さい。

後遺障害診断書の作成方法とポイント

2019-11-27

交通事故で後遺症が残ったら「後遺障害診断書」を入手しなければなりません。後遺障害診断書への記載内容1つで後遺障害が認定されるかどうかが変わるケースもあるので、後遺障害診断書は被害者にとって非常に重要な書類と言えます。

 

今回は後遺障害診断書の作成方法や医師に作成を依頼する際の注意点を解説します。

 

1.後遺障害診断書とは

後遺障害診断書とは、後遺障害の内容に特化された診断書です。

診断書とは、医師が患者の症状や状態、寛解の見込みなどについて記載する書類ですが、後遺障害診断書はその中でも後遺障害についての事項について詳しく書かれているものです。

交通事故で後遺障害診断書が必要になるのは、後遺障害認定のためです。

事故後治療を受けても完治せずに後遺症が残ったら、自賠責保険で後遺障害認定を受けなければなりません。その際に後遺障害診断書の内容が非常に重視されています。

 

後遺障害診断書に記載されている内容に不備や不足があると、本来は後遺障害認定を受けられるはずのケースでも認定されません。適正に後遺障害認定を受けて賠償金を払ってもらうため、後遺障害診断書をきちんと作成することが非常に重要です。

 

2.後遺障害診断書の作成・入手方法

後遺障害診断書はどのようにして入手すれば良いのでしょうか?

2-1.専用の書式を用意する

自賠責の後遺障害認定では、定まった後遺障害診断書の書式があります。そこでまずは被害者が自分で後遺障害診断書の「書式」を入手しなければなりません。

保険会社に言えば後遺障害診断書の書式を送ってもらうことができます。弁護士に示談交渉等の対応を依頼している場合には弁護士から書式をもらえるでしょう。当事務所でも対応しております。

 

2-2.医師に後遺障害診断書の作成を依頼する

後遺障害診断書の書式を用意したら、医師にその書式を渡して作成を依頼します。このとき、医師によっては後遺障害診断書の作成に慣れておらず、どのように書いたら良いか迷われるケースがあるので要注意です。できればどういった点に注意して書くのが良いか、医師に要点を説明しながら書いてもらうのが望ましいでしょう。

 

2-3.お金を払って受け取る

医師が後遺障害診断書を作成するのに、通常1~2週間程度かかります。完成したら連絡してもらえるので、病院で診断書の代金を払って受け取ります。料金額はだいたい1万円程度です。払った費用は後遺障害が認定されれば後から加害者へ請求できるので、領収証をとっておきましょう。

 

3.後遺障害診断書を作成する際のポイントと注意点

後遺障害診断書は、基本的に医師が作成するものなので、医師に任せるほかありません。ただし以下のような点は重要となるので、被害者としても注意しておくべきです。

3-1.後遺障害の内容を正確に書いてもらう

後遺障害の内容を正確に反映してもらう必要があります。たとえば記入漏れによって後遺障害の内容が伝わらなかったら認定を受けられない可能性が高まります。

特に医師が後遺障害診断書の作成に不慣れだと、勘違いで記入ミスを起こすケースもあるので要注意です。

 

3-2.必要な検査をした上で書いてもらう

後遺障害診断書には、各症状に応じた検査結果を網羅的に書いてもらう必要があります。必要な検査をしていなければ、まず検査をしてから記入をお願いしましょう。また可動域制限のケースなどでは「主要運動」だけではなく「参考運動」まで書いてもらうことで後遺障害認定を受けられる事例などもあり、検査結果の書き方にも注意が必要です。

 

3-3.被害者の自覚症状を正確に書いてもらう

後遺障害診断書には被害者の自覚症状を書く欄がもうけられています。ここにはできるだけ一貫して症状が継続していることをわかりやすく記載してもらうべきです。自覚症状に不自然な変遷があったりあまり自覚症状がなかったりするような記載があると、後遺障害を否定されるリスクが高まります。治療中からしっかり医師とコミュニケーションをとっておきましょう。

 

後遺障害診断書の作成を依頼するとき、弁護士から医師に連絡を差し上げて作成のご相談やアドバイス、お願い事項の伝達なども行えます。千葉で事故に遭い、これから後遺障害認定を受けようと考えておられるなら、是非とも一度ご相談下さい。

労災保険の休業補償と自賠責保険の休業損害の違い

2019-11-05

交通事故に遭い、けがの治療のために仕事を休んだら加害者や保険会社に「休業損害」を請求できます。一方、交通事故が「労災」に該当する場合には労災保険から「休業補償」の支給も受けられます。

 

労災保険の休業補償と自賠責保険の休業損害は異なる制度にもとづく支払いです。

きちんと受けられる補償を受けるため、それぞれの違いや支給される条件等、押さえておきましょう。

 

今回は労災保険の休業補償と自賠責保険の違いについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。

 

1.労災保険の休業補償とは

労災保険の休業補償とは、労災(労働災害)が発生したときに被害者が労災保険から受け取れる給付金の1種です。労災でけがなどをしたために働けなくなったとき、4日以上休業したら休業補償が支給されます。

交通事故で休業補償を受け取れるのは、その交通事故が「業務災害」や「通勤災害」に該当するケースです。業務災害とは業務中や業務に起因して発生した災害(けがや病気、後遺障害や死亡)、通勤災害とは通勤途中に発生した災害です。

たとえば営業車の運転中に発生した交通事故、外回りの最中に車にはねられたケース、通勤の途中や帰宅途中に交通事故に遭った場合などには労災保険が適用されて休業補償を受け取れます。

 

2.労災の休業補償の金額

労災の休業補償として支払われる金額は、現実に発生した休業損害額の80%です。

休業補償には「休業補償給付」と「休業特別支給金」があり、休業補償給付が基礎収入の60%、休業特別支給金が基礎収入の20%です。これらを合計した80%が労災保険から支給されます。

このように、労災から支給される休業補償は「休業によって発生した損害の全額」にはならないので注意が必要です。

 

3.自賠責保険の休業損害とは

自賠責保険から支給される休業損害は、交通事故によって発生した休業損害を填補するものです。労災に限らずすべての人身事故に適用されます。

休業損害の計算方法は、以下のとおりです。

  • 1日当たり5,400円×休業日数

ただし1日の基礎収入が5,400円を上回ることを証明できれば、実収入を基準に計算できます。その場合でも1日当たりの基礎収入は19,000円が限度となります。

 

会社員の方などの場合には給与明細や源泉徴収票によって実収入を証明できるので、実収入をベースに休業損害を請求できるのが通常です。

 

自賠責保険や任意保険に請求できる休業損害については「発生した全額(100%)」の支払いを請求できます。休業から3日間の支給制限もありませんし、80%に減額されることもありません。

 

4.休業補償と休業損害の違い

労災の休業補償と自賠責保険の休業損害の違いをまとめると、以下の通りです。

4-1.労災にしか適用されないかどうか

労災保険の休業補償は労災(業務災害や通勤災害)にしか適用されません。自賠責保険の場合、加害者が自賠責保険に加入している限りすべての人身事故に適用されます。

4-2.待機期間があるか

労災保険の休業補償には3日間の待機期間があります。つまり当初の3日は休業しても補償を受けられません。自賠責保険の場合には待機期間はないので1日目から休業損害を請求できます。

4-3.金額

労災保険の休業補償の場合、金額は基礎収入の80%ですが、自賠責保険の場合には基礎収入の全額を受け取れます(ただし収入を証明できた場合に限る)。

 

5.重複した受け取りについて

労災保険と自賠責保険の両方が適用される場合、重複して受け取ることはできるのでしょうか?

 

休業補償も休業損害も、交通事故によって働けなかった分の損害を補填するものです。同じ目的で支払われる補償なので、重複した受け取りは基本的に認められません。

ただし「休業特別支給金」の20%部分については、自賠責保険とは別途支給を受けられます。

交通事故が労災に該当すると、「自賠責保険からの100%+労災の休業特別支給金20%」の合計120%の休業に関する補償金を受け取れる結果になります。

 

労災保険は申請をしないと受け取れないので、業務中や通勤退勤途中に事故に遭ったらきちんと労災保険の手続きを行いましょう。

労災保険の申請方法がわからない場合や申請手続きに会社が協力してくれない場合、弁護士がサポートいたします。休業補償や休業損害をはじめ、交通事故の補償や損害賠償について疑問や悩みがある場合には、御遠慮なく弁護士までご相談下さい。

交通事故で請求できる「遅延損害金」とは

2019-09-24

 

交通事故で加害者に損害賠償金を請求するとき、「遅延損害金」を加算できるケースとできないケースがあります。

 

遅延損害金とは、相手が支払いを遅延したために被害者に発生した損害に対する賠償金です。

 

今回は、交通事故で加害者に遅延損害金を請求できるケースと請求できないケース、遅延損害金の金額や計算方法について弁護士が解説します。

 

1.遅延損害金とは

遅延損害金とは、お金を支払わなければならない債務があるときに、期限までに支払わなかったことによって債権者に発生した損害を賠償するためのお金です。

たとえばお金を借りたとき、期日までに返済しなければ期日後支払を終えるまで遅延損害金が発生し続けます。

交通事故でも、加害者は被害者へ損害賠償金を支払わねばなりません。しかし示談交渉が長びいたり裁判が必要になったりすると、なかなか支払いが行われないものです。その場合、支払われなかった期間に応じて遅延損害金が賠償金に加算されます。

 

交通事故で加害者が被害者へ支払わねばならないお金は「不法行為にもとづく損害賠償金」です。これは、「不法行為時」においてすぐに支払わねばならないと考えられています。

そこで、不法行為時から実際に賠償金が支払われるまでの間、遅延損害金が発生し続けます。

 

2.遅延損害金の計算方法

交通事故の遅延損害金は、どのようにして計算されるのでしょうか?

2-1.遅延損害金の計算方法

遅延損害金の計算式は、以下の通りです。

「遅延している金額×遅延損害金の割合(年率)×遅延日数÷365日(うるう年なら365日)」

 

たとえば100万円を借りて、返済期日から30日間遅延し、遅延損害金の割合を15%と定めているケースであれば、遅延損害金は以下の通りです。

 

100万円×0.15×30日÷365日=12,329円

 

2-2.交通事故の場合の遅延損害金計算方法

交通事故の場合には、遅延している金額は「損害賠償金の全額」です。

遅延日数は、「交通事故のあった日から実際に賠償金を支払うまでの日数」です。

年率については、民法の定める法定利率をあてはめます。法定利率は、2020年3月31日までは年率5%となっています。(その後は法改正によって少なくとも3年間、年率3%となります)

 

2-3.交通事故の遅延損害金計算例

交通事故での賠償金元本が1,000万円、事故から支払いまでの日数が200日かかったケースでの遅延損害金

 

1,000万円×0.05×200÷365=273,973円

 

交通事故の場合、後遺障害が残ると元本が大きくなって遅延損害金の金額も高額になりやすいです。

 

3.遅延損害金を請求できるケース

交通事故の損害賠償金には遅延損害金が加算されると言いましたが、実は必ずしも支払いを受けられるとは限りません。むしろ多くのケースでは、遅延損害金は払われません。

なぜなら遅延損害金が支払われるのは、「損害賠償請求訴訟」を起こして「判決」によって加害者に支払い命令が出たケースだけだからです。

保険会社と示談交渉をして賠償金を支払ってもらう場合には、遅延損害金は払われません。調停やADRなどで解決する場合にも、遅延損害金は加算されません。訴訟を起こしても、途中で和解したケースでは遅延損害金は払われないのが通常です。

 

4.訴訟で判決を得るメリット

一般の方は、交通事故の示談が決裂して訴訟が必要になったと聞くと、「大変なトラブルになってしまった」と構えてしまうものです。「できれば示談で穏便に解決したい」と希望される方が圧倒的に多数でしょう。

 

ただ、訴訟で判決になったら「遅延損害金」が加算されますし、認容された損害賠償金の1割相当の「弁護士費用」も支払われます。

 

たとえば訴訟で解決までに2年がかかり、1,000万円の損害賠償金が認められた場合、遅延損害金100万円と弁護士費用100万円の合計200万円が加算された1,200万円の支払いを受けることが可能となります。もとの1,000万円と比較すると2割増しです。

このようなことを考えると、交通事故で訴訟を起こして判決を得ることにはデメリットばかりとは言い切れません。

 

交通事故トラブルでは、スピーディかつ有利な解決方法を目指す必要がありますが、ときには訴訟も視野に入れなければならないケースもあります。弁護士が状況に応じた適切な判断とアドバイスを行いますので、困ったときには是非とも一度、ご相談下さい。

交通事故の弁護士費用を相手に請求できるケースとは

2019-09-17

 

交通事故に遭ったら、加害者との示談交渉をしなければなりません。決裂したら裁判への対応も必要です。難しい後遺症が残り、被害者一人ではうまく後遺障害認定の手続きを進められないケースもあるでしょう。

 

そんなとき弁護士に依頼すると助かるものですが、弁護士費用が発生することがネックです。弁護士費用を加害者に請求することはできないのでしょうか?

 

実は交通事故では、弁護士費用を相手に請求できるケースとできないケースがあります。

今回は交通事故で弁護士費用を「損害」として相手に賠償請求できるのか、解説していきます。

 

1.弁護士費用も「損害」となる

交通事故が発生したとき、弁護士費用も治療費などと同様に相手に請求できるのでしょうか?

 

事故の治療費や休業損害、慰謝料などを相手に請求できるのは、こういったものが「交通事故によって発生した損害」だからです。交通事故が起こらなければ治療費は不要でしたし、休業損害や精神的苦痛も発生しなかったでしょう。こういった因果関係が認められるので、加害者には被害者に対する損害賠償義務が発生します。

 

弁護士費用についても同様です。交通事故がなかったら弁護士費用は不要でしたし、交通事故が発生したら被害者に弁護士が必要になることは通常あり得ることといえます。

そこで、弁護士費用も「交通事故によって発生した損害」の一内容として、加害者に請求できる場合があります。

 

2.示談交渉では請求できない

交通事故では、被害者と加害者の保険会社が示談交渉をして賠償問題を解決する事例が多数です。示談で解決する場合、弁護士費用は賠償の範囲に入りません。

確かに被害者には法的に弁護士費用を請求する権利がありますが、示談の際にはお互いが譲り合うので、弁護士費用までは請求しない取扱いとなっています。

保険会社に弁護士費用を求めると「どうしても弁護士費用を払ってほしければ、裁判をするように」と言われるでしょう。

示談交渉を弁護士に依頼しても、その費用を加害者側へ求めることはできないと考えておく必要があります。

 

3.調停、ADRでも請求できない

では裁判所で調停をしたり交通事故相談センターなどのADRを利用したりするときには弁護士費用を請求できるのでしょうか?

調停も、示談交渉と同様に被害者と加害者が話し合って賠償問題を解決する手続きです。通常、弁護士費用を解決金に含めることはありません。

ADRでは調停と審査の両方がありますが、どちらにしても弁護士費用が賠償額に含まれることは基本的にありません。

つまり調停やADRを利用しても、弁護士費用の負担を求めるのは困難です。

 

4.訴訟で判決を得る場合には請求可能

結局、交通事故にかかる弁護士費用を請求するには、「損害賠償請求訴訟」を起こすしかありません。訴訟で「判決」を出してもらったケースでのみ、弁護士費用の負担を求めることが可能です。

訴訟でも、途中で「和解」した場合には、通常弁護士費用を払ってもらうことは困難です。

 

5.請求できる弁護士費用の金額

判決によって弁護士費用の支払いを受けられる場合、その金額に注意が必要です。

この場合、かかった費用全額ではなく「認定された損害賠償金の1割」と算定されます。

実際にはそれ以上かかるケースもありますが、支払いを受けられるのは認容金額の1割のみです。反対に弁護士費用特約などを使って実際には弁護士費用を払っていないケースでも認容金額の1割は相手から支払われます。

 

「なぜ1割なのか?」と不思議に思うかも知れません。それは、裁判所としては「交通事故が発生した場合、損害額の1割程度の弁護士費用が発生するのは通常であり、事故との相当因果関係が認められる」と考えているからです。特に弁護士費用の領収証などの資料を提示する必要もありません。

 

交通事故で弁護士費用を求めたい場合には、訴訟で判決まで争えば認容額の1割については支払いが認められます。今後示談交渉や裁判を進める上での参考にしてみて下さい。

後遺障害認定結果に不満がある場合の対処方法

2019-09-02

 

交通事故で後遺障害等級認定の申請をしても、期待どおりの等級が認定されるとは限りません。たとえばむちうちの場合、MRI画像などに他覚所見が認められないため非該当となってしまったり、12級を目指していたのに14級となってしまったりする例が多くみられます。

 

いったん非該当となったり低い等級になったりしても、「異議申立て」やその他の方法で争うことが可能です。

 

以下では後遺障害認定結果を争う方法をご紹介します。

 

1.異議申立て

1つ目の方法は、自賠責保険や共済へ異議申立てを行うものです。

後遺障害認定が出ると、認定を下した自賠責保険や共済そのものに対し、再審査を求めることが可能です。その手続きは「異議申立て」と呼ばれています。

異議申立てによって1回目とは別の資料を提出し、因果関係や後遺障害に該当する症状を立証できれば等級が認められたり変更されたりする可能性があります。

 

異議申立ての手続き方法としては「異議申立書」という書類を提出するだけで足り、費用はかかりません。期間や回数制限もなく、示談が成立するまでであればいつまででも何度でも申立てできます。

 

ただし判断するのが1回目と同じ自賠責保険や共済なので、同じ方法で申立をしても結果は変わらないでしょう。効果的に異議申立ての手続きを利用して等級変更を目指すなら、まずは一度目の敗因をしっかり分析する必要があります。そしてその分析結果をもとにして、新たな診断書をとりつけたりこれまで実施していなかった検査を実施してその結果を添付したり、場合によっては医師に意見書を書いてもらったりする必要があります。因果関係が問題となっているならその説明なども行うべきです。

 

被害者お一人の力で異議申立てを成功させるのは困難ですから、手続きされる際には弁護士にお任せ下さい。

 

 

2.自賠責保険・共済紛争処理機構

後遺障害認定結果を変更させる2つめの方法として「自賠責保険・共済紛争処理機構」の利用が挙げられます。これは交通事故ADR(裁判外の紛争処理機関)の1種で、当事者と自賠責保険とのトラブル解決を目的に設置されています。

自賠責での決定内容や保険金支払いなどに関して当事者に不満がある場合、紛争処理機構に訴え出ると、紛争処理機構は自賠責の判断内容が適正かどうか判定します。

自賠責保険や共済は紛争処理機構の決定事項に従うので、ここで等級が変更されたり認定されたりしたら、自賠責でもそのまま有効な決定として取り扱ってくれます。

 

自賠責保険・共済紛争処理機構の仕組みは、「調停」と呼ばれますが基本的に「書面審理」です。一般の交通事故ADRや調停のような「話し合い」ではありません。

判定を覆すには、適切な資料の収集と提出、書面によるわかりやすい説明が必須となります。

被害者お一人で効果的に立証等行うのは難しいので、やはり弁護士に依頼する必要があると言えます。

 

3.訴訟

自賠責保険における異議申立て(再審査)や自賠責保険・共済紛争処理機構の調停で結果が変わらなかった場合でも、訴訟をすれば後遺障害認定結果が変わる可能性があります。

裁判所は終局的な紛争解決機関ですから、自賠責保険や自賠責保険・共済紛争処理機構の判断内容に拘束されず、当事者の主張や証拠に基づいて自由に判断できます。

 

判断するのは自賠責とも紛争処理機構とも全く異なる裁判所(裁判官)であり、判断の過程や方法も異なるため、同じ資料でも判断が覆る可能性が充分にあります。

 

また裁判所が後遺障害認定を認めた場合、慰謝料や逸失利益は「裁判基準」で計算されます。すると自賠責基準や任意保険会社の基準より大幅に高額になる可能性が高い(後遺障害慰謝料の場合2~3倍程度になります)ので、被害者にとって非常に有利です。

 

一般に「裁判」というと構えてしまう方が多いのですが、現実には裁判によって有利な結果を得られるケースが多々あります。弁護士がついて適切な対処をするなら、不安に思う必要はありません。

 

当事務所では交通事故被害者の方への支援に積極的に取り組んでいます。後遺障害認定結果に納得できないなら、一度お気軽にご相談下さい。

失業者の逸失利益について

2019-07-22

「有職者」が交通事故に遭って後遺障害が残ったら、加害者に「逸失利益」を請求できます。

では被害者が「失業者」だった場合、まったく逸失利益を請求できないのでしょうか?

 

実は交通事故当時にたまたま失職していた場合には、当時働いていなくても逸失利益を請求できる可能性があります。

 

今回は失業者が逸失利益を請求できるケースと計算方法について解説していきます。

 

1.逸失利益は「労働によって対価を得ている人」に認められる

逸失利益は、交通事故によって発生する損害賠償金の1種です。

事故によって後遺障害が残ったら、事故前と同じように働くことはできなくなります。すると「労働能力」が低下して、生涯にわたる収入が減額されると考えられます。その減額分の損失が「逸失利益」です。

このように、逸失利益は「働いて収入を得ている(労働によって対価を得ている)」ことが前提となる賠償金なので、そもそも労働をしていない「失業者」には認められないのが原則です。

 

2.失業者でも逸失利益が認められるケース

しかし一定のケースでは、失業者にも逸失利益が認められます。失業者であっても、「たまたま事故当時にリストラなどで失業していただけで、それまでは継続的に働いてきており実際に働く能力もあり、今後も働く予定であった」場合があるからです。

このような場合、事故がなかったら普通に就職をして働いて収入を得ていた蓋然性が高いと言えるので、事故で後遺障害が残り、思うように働けなくなったら逸失利益を認めても不都合はありません。

 

3.失業者に逸失利益が認められる基準

失業者に逸失利益を認める場合、以下の要件を満たす必要があります。

3-1.就労能力がある

事故時たまたま失業していたとしても、本人に仕事をするだけの能力があったことが必要です。もともと労働能力が低かった方の場合、後遺障害が残ったことによって働けなくなったとは言えないので逸失利益は認められません。

3-2.就労意欲がある

事故当時、本人に就労意欲があったことが要求されます。労働能力があった方でも本人に働く気持ちがなかったのであれば、失われた利益は観念できないからです。

3-3.実際に就労する高い蓋然性があった

3つ目に、実際に就労する蓋然性が高かったことも必要です。具体的には転職活動を行っていたり内定をもらっていたりした事情です。

 

上記の3つの要件を満たせば、事故当時たまたま失業していたとしても逸失利益が認められます。

 

4.失業者の逸失利益計算方法は?

失業者の場合、逸失利益をどのようにして計算すべきかが問題です。通常逸失利益を計算するときには「事故前の実収入」を「基礎収入」としますが、失業者の場合には実収入がないので原則的な方法では計算できないからです。

 

失業者の場合、基本的には「失業前の収入」を参考にします。

再就職するとしても、失業前の収入と同等の金額を得るだろうと予測されるからです。

具体的な内定先が決まっていた場合などには、内定先の給与基準を用いるケースもあります。

また本人に通常程度の労働能力があるにもかかわらず、失業前の収入が通常に比して低額だった場合には、再就職すれば平均賃金程度は得られるだろうと考えられるので、男女別、職種別、学歴別などの平均賃金を使って基礎収入を算定します。

 

5.失業者が高齢であった場合

失業者が高齢の場合でも、逸失利益を請求できます。

ただし高齢者が失業中の場合、若い人よりも「就労の蓋然性」や「就労能力」が低くなるので、逸失利益が認められにくくなります。

専門技能を持っている場合や事故の直近まで働いていた場合、具体的な就労予定があった場合などでなければ逸失利益は認めにくいでしょう。

 

また高齢の場合、「基礎収入」算定の際にも注意が必要です。通常の男女別の平均賃金を使うと高額になりすぎる可能性が高くなるからです。通常は平均賃金を割合的に減額したり、年齢別の平均賃金を使ったりして金額を調整しています。

 

交通事故で後遺障害が残った場合、逸失利益が認められるか認められないかで大きく賠償金額が変わってきます。千葉で交通事故に遭われて対応に悩まれたら、弁護士までご相談下さい。

交通事故の慰謝料が増額されるケース、減額されるケース

2019-07-16

人身事故に遭って怪我をしたり死亡したりすると、「慰謝料」が発生します。

慰謝料の金額にはだいたいの相場がありますが、個別のケースによって増額されたり減額されたりする可能性もあります。

増額要素を知っていると、示談交渉の際などにも相手に通常より高額な慰謝料の金額を提示して、多めの示談金を獲得できる可能性があり、有利となります。

 

以下では交通事故の慰謝料が増額されるケースと、反対に減額されてしまうケースについて解説します。

 

1.慰謝料が増額されるケース

慰謝料が増額される事情としては、以下のようなものがあります。

1-1.離婚した、婚約破棄された

交通事故が原因で配偶者との関係を維持できなくなって離婚したり、結婚話が破談になってしまったりすると慰謝料は増額されます。

1-2.退職、失職した

後遺症が残ったりして仕事を続けられなくなって退職したり自営業を廃業せざるを得なくなって失職したりすると、慰謝料は増額されます。

1-3.就職できなくなった

就職が決まっていたのに交通事故によって話が流れてしまった場合、慰謝料が上がります。

1-4.中途退学した、留年した

学生が交通事故に遭って学業を続けられなくなり中途退学した場合や、留年してしまった場合などには慰謝料が増額されます。

1-5.留学、入学できなくなった

入学や留学などが決まっていたのに交通事故によって諦めざるを得なくなったケースなどでも慰謝料が増額されます。

1-6.流産・中絶した

妊婦が交通事故に遭うと、流産したり中絶が必要になったりするケースがあります。そういった場合、生まれていない胎児固有の慰謝料は認められませんが、母親の受ける精神的苦痛が大きくなるため母親の慰謝料が増額されます。

1-7.加害者が不誠実、悪質

加害者が危険運転をしていたなど事故態様が悪質な場合や、損害賠償において加害者が不誠実な態度を取っている場合などには慰謝料が増額されるケースが多くなっています。

1-8.複数の後遺障害に該当している

系列の異なる複数の後遺障害に該当すると、後遺障害等級の「併合」によって等級が加算されるケースがあります。しかし認定等級が14級の場合には等級の加算は行われません。

併合加算がなくても複数の後遺障害が残ると被害者が受ける精神的苦痛は1つの後遺障害のケースよりも大きくなると考えられます。

そこで複数の後遺障害に該当しても等級がアップしなかった場合には慰謝料が増額されて調整される可能性があります。

 

1-9.外貌醜状などで逸失利益が否定された

後遺障害が残った場合でも、外貌醜状や味覚障害、嗅覚障害などの場合には「逸失利益」が否定されるケースがあります。

そのような場合、労働能力は低下しなくても大きな精神的苦痛を受けるであろうという理由で慰謝料が増額される可能性があります。

 

2.慰謝料が減額されるケース

以下のようなケースでは、慰謝料が減額される可能性があります。

2-1.素因減額

素因減額とは、被害者側の事情によって損害が拡大したときに賠償金を全体として減額することです。

素因には「身体的な素因」と「心因的(精神的)な素因」があります。

たとえば被害者にもともと椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄などの症状があり、そのせいでむち打ちなどの症状が悪化してしまったら、身体的素因によって慰謝料が減額される可能性があります。

被害者が悲観的な性格で熱心に治療を受けなかったために治療期間が長引いたケースでは、心因的素因によって慰謝料が減額されるケースがあります。

2-2.損益相殺

損益相殺とは、交通事故を原因として被害者が金銭的な「利益」を受けた場合にその利益の分を賠償金から差し引くことです。

たとえば自賠責保険、任意保険の人身傷害補償保険、労災保険、健康保険の傷病手当金などが損益相殺の対象となります。

2-3.過失相殺

被害者に過失があると、過失割合に応じて過失相殺が行われ、賠償金が全体的に減額されます。

 

交通事故に遭ったら適切に慰謝料を算定して支払いを受ける必要があります。千葉で交通事故に遭われて、賠償金計算方法や相手からの提示額が正しいかどうかわからない場合、お気軽にご相談下さい。

公務員の逸失利益について

2019-07-08

事故前に仕事をしていた人が交通事故に遭い、後遺障害が残ったら「逸失利益」を請求できます。

ただし被害者が公務員の場合、他のケースとは異なる取扱いをされる可能性があるので注意が必要です。

 

以下では公務員の逸失利益計算の特殊性について解説します。

 

1.減収が発生しないケースがある

一般的に後遺障害が残ったケースで逸失利益が発生するのは、後遺障害によって労働能力が低下し「減収が発生するから」です。逸失利益とは、「労働能力が失われたことによって発生する減収」に対する補償ですので、減収の発生を前提としています。

裁判所も、軽度な後遺障害で減収が発生しない場合、基本的には逸失利益を認めないという考え方を採用しています。

 

ところが公務員の場合、後遺障害が残っても減収が発生しないケースが多々あります。

多少の症状であれば、従来と同じように勤務を継続できるケースも多いですし、勤続年数に応じて事故に遭わなかった同僚と同じように昇給もしていきます。

保険会社は「減収が発生していない」として逸失利益を否定するケースが多々あります。

 

ただし、以下のように一定の要件を満たす場合には、比較的軽度な後遺障害で減収が発生していなくも逸失利益を認められる可能性があります。

  • 退職や転職を余儀なくされる可能性がある

将来、後遺障害の影響で働けなくなって退職、転職する可能性があれば逸失利益が認められやすいです。

  • 業務に支障が発生している

仕事を続けられているが、実際には後遺障害によって業務に支障が発生しているケースも逸失利益を認められる可能性があります。

  • 減収が発生しないように本人が特別な努力をしている

本来は仕事ができなくなったりして減収が発生するはずであるところ、本人が特別努力をすることでカバーしているケースでも逸失利益を認められる可能性があります。

  • 昇給や昇進、転職において不利益を受ける可能性がある

将来の昇給や昇進、また転職する際に、後遺障害の影響で不利益を受けるおそれがあれば、逸失利益が認められる可能性があります。

 

特に後遺障害の程度が重いケースでは減収が発生していなくても逸失利益を認められやすくなっています。

 

公務員で保険会社から逸失利益を否定されても諦める必要はありません。

 

2.将来の昇給を証明しやすい

一般的なサラリーマンや自営業者などの被害者の場合、逸失利益を計算する際には「事故前の基礎収入」を使って計算します。これは「今後もずっと事故前の収入のまま変わらない」ことが前提となっている計算方法です。

一方公務員の場合、勤続年数が増えると横並びで昇給していくケースが多数であり、事故前のまま収入が固定されることは考えにくいものです。

そこで事故後の昇給を具体的に証明することにより、将来の昇給を勘案して基礎収入を算定してもらえる可能性があります。すると、基礎収入が上がって逸失利益の金額が増額されます。

 

保険会社が認めなくても、手元に将来の昇給を具体的に証明する資料があれば裁判で逸失利益を増額させられる可能性があります。

 

3.定年がはっきりしている

公務員は、一般のサラリーマンと比べて定年がはっきりしていますが、定年後は公務員としての収入を得られなくなるので、基礎収入が減少することが予想されます。

よって公務員の場合、定年後の逸失利益を減額計算される可能性があります。

具体的には、定年後については賃金センサスの平均賃金を何割か減少した数字を基礎収入として算定されたりします。

 

公務員の場合には他の被害者よりも逸失利益を否定されたり減額されたりする可能性も高く、注意が必要です。

保険会社から逸失利益を否定されても、裁判をすれば認められるケースも珍しくありません。「公務員は逸失利益を認められない」と言われていてもそのまま受け入れず、一度弁護士までご相談下さい。

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