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交通事故 軽傷と通常のケガの違いとは?

2020-12-04

交通事故に遭ったとき「軽傷」か「通常程度のケガ」となるかで、支払われる慰謝料の金額が変わる可能性があります。

 

軽傷と通常のケガとはそれぞれどういったケースなのか、またどのくらい慰謝料が変わってくるのか、弁護士が解説します。

 

1.軽傷と通常程度のケガで「入通院慰謝料」が変わる

交通事故では「軽傷」か「通常程度のケガ」かによって「入通院慰謝料」の計算方法が異なります(弁護士基準の場合)。

入通院慰謝料とは、被害者がケガをして入通院したときに発生する慰謝料です。被害者がケガをすると大きな恐怖や強い苦痛を感じ、精神的なダメージを負います。そこでケガの程度に応じて入通院慰謝料が支払われます。

 

ただ「軽傷」であれば苦痛の程度が小さいと考えられるので、通常程度のケガのケースよりも慰謝料が減額される仕組みです。

 

1-1.軽傷とは

「軽傷」に該当するのは以下のような場合です。

  • 打撲
  • 打ち身
  • 軽い挫創(すり傷など)
  • 自覚症状しかないむち打ち

 

打撲や軽いすり傷などの場合には「軽傷」扱いとなります。

 

またむち打ちでも「自覚症状」しかない場合には、軽傷とされます。

自覚症状とは、「痛み」「しびれ」のように被害者のみが感じられる症状をいいます。

痛みやしびれは、レントゲンやMRIなどの画像検査結果によっても、客観的に把握できません。

「被害者が主張するだけ」なので、信用性が低くなりますし、画像ではっきり骨折などが判明するケースよりは軽いケガといえるでしょう。そこで自覚症状しかないむち打ちの場合には軽傷となります。

 

1-2.通常程度のケガとは

通常程度のケガは、軽傷扱いされない一般的なケガをいいます。

むち打ちでも「椎間板ヘルニア」などが起こって画像ではっきり異常な箇所を確認できれば通常程度のケガとなります。このようにレントゲンなどではっきり把握できる骨折などの症状を「他覚症状」といいます。

たとえば以下のようなケガをしたら、「通常程度のケガ」として取り扱われると考えましょう。

  • 骨折
  • 高次脳機能障害
  • 脊髄損傷
  • 手足の欠損
  • 腹部に大けがをして内臓機能に障害が残った
  • 歯が折れた
  • 手術が必要になった

 

 

2.軽傷と通常程度のケガ、どのくらい慰謝料が変わるのか

軽傷と通常程度のケガでは、どのくらい慰謝料の金額が変わるのでしょうか?

表によって比較してみましょう。

2-1.軽傷の場合

 

入院

 

1ヶ月

2ヶ月

3ヶ月

4ヶ月

5ヶ月

6ヶ月

7ヶ月

8ヶ月

9ヶ月

10ヶ月

通院

 

35

66

92

116

135

152

165

176

186

195

1ヶ月

19

52

83

106

128

145

160

171

182

190

199

2ヶ月

36

69

97

118

138

153

166

177

186

194

201

3ヶ月

53

83

109

128

146

159

172

181

190

196

202

4ヶ月

67

955

119

136

152

165

176

185

192

197

203

5ヶ月

79

105

127

142

158

169

180

187

193

198

204

6ヶ月

89

113

133

148

162

173

182

188

194

199

205

7ヶ月

97

119

139

152

166

175

183

189

195

200

206

8ヶ月

103

125

143

156

168

176

184

190

196

201

207

9ヶ月

109

129

147

158

169

177

185

191

197

202

208

10ヶ月

113

133

149

159

170

178

186

192

198

203

209

 

 

 

2-2.通常程度のケガの場合

 

入院

 

1ヶ月

2ヶ月

3ヶ月

4ヶ月

5ヶ月

6ヶ月

7ヶ月

8ヶ月

9ヶ月

10ヶ月

通院

 

53

101

145

184

217

244

266

284

297

306

1ヶ月

28

77

122

162

199

228

252

274

291

303

311

2ヶ月

52

98

139

177

210

236

260

281

297

308

315

3ヶ月

73

115

154

188

218

244

267

287

302

312

319

4ヶ月

90

130

165

196

226

251

273

292

306

326

323

5ヶ月

105

141

173

204

233

257

278

296

310

320

325

6ヶ月

116

149

181

211

239

262

282

300

314

322

327

7ヶ月

124

157

188

217

244

266

286

301

316

324

329

8ヶ月

132

164

194

222

248

270

290

306

318

326

331

9ヶ月

139

170

199

226

252

274

292

308

320

328

333

10ヶ月

145

175

203

230

256

276

294

310

322

330

335

                         

 

たとえば通院6ヶ月の場合、軽傷なら53万円程度ですが通常程度のケガなら73万円程度にまで慰謝料が上がります。

なお軽傷と通常程度のケガで慰謝料の金額が変わるのは「弁護士基準」で計算する場合です。自賠責基準の場合、こうした区別は行われません。

 

3.入通院慰謝料を減額されないために

被害者が保険会社と示談交渉するときには、上記でご紹介した弁護士基準よりはるかに低い「任意保険会社の基準」で入通院慰謝料が計算されるケースが多数です。

そうなると、重傷でも「弁護士基準の軽傷の基準」より金額を下げられてしまう可能性が高いので注意しましょう。不当に慰謝料を減額されないためには弁護士に示談交渉を依頼して「弁護士基準」で計算する必要があります。

 

事故に遭われたら、保険会社基準で示談をまとめてしまう前に弁護士までご相談ください。

交通事故の慰謝料が増額されるケース、減額されるケース

2019-07-16

人身事故に遭って怪我をしたり死亡したりすると、「慰謝料」が発生します。

慰謝料の金額にはだいたいの相場がありますが、個別のケースによって増額されたり減額されたりする可能性もあります。

増額要素を知っていると、示談交渉の際などにも相手に通常より高額な慰謝料の金額を提示して、多めの示談金を獲得できる可能性があり、有利となります。

 

以下では交通事故の慰謝料が増額されるケースと、反対に減額されてしまうケースについて解説します。

 

1.慰謝料が増額されるケース

慰謝料が増額される事情としては、以下のようなものがあります。

1-1.離婚した、婚約破棄された

交通事故が原因で配偶者との関係を維持できなくなって離婚したり、結婚話が破談になってしまったりすると慰謝料は増額されます。

1-2.退職、失職した

後遺症が残ったりして仕事を続けられなくなって退職したり自営業を廃業せざるを得なくなって失職したりすると、慰謝料は増額されます。

1-3.就職できなくなった

就職が決まっていたのに交通事故によって話が流れてしまった場合、慰謝料が上がります。

1-4.中途退学した、留年した

学生が交通事故に遭って学業を続けられなくなり中途退学した場合や、留年してしまった場合などには慰謝料が増額されます。

1-5.留学、入学できなくなった

入学や留学などが決まっていたのに交通事故によって諦めざるを得なくなったケースなどでも慰謝料が増額されます。

1-6.流産・中絶した

妊婦が交通事故に遭うと、流産したり中絶が必要になったりするケースがあります。そういった場合、生まれていない胎児固有の慰謝料は認められませんが、母親の受ける精神的苦痛が大きくなるため母親の慰謝料が増額されます。

1-7.加害者が不誠実、悪質

加害者が危険運転をしていたなど事故態様が悪質な場合や、損害賠償において加害者が不誠実な態度を取っている場合などには慰謝料が増額されるケースが多くなっています。

1-8.複数の後遺障害に該当している

系列の異なる複数の後遺障害に該当すると、後遺障害等級の「併合」によって等級が加算されるケースがあります。しかし認定等級が14級の場合には等級の加算は行われません。

併合加算がなくても複数の後遺障害が残ると被害者が受ける精神的苦痛は1つの後遺障害のケースよりも大きくなると考えられます。

そこで複数の後遺障害に該当しても等級がアップしなかった場合には慰謝料が増額されて調整される可能性があります。

 

1-9.外貌醜状などで逸失利益が否定された

後遺障害が残った場合でも、外貌醜状や味覚障害、嗅覚障害などの場合には「逸失利益」が否定されるケースがあります。

そのような場合、労働能力は低下しなくても大きな精神的苦痛を受けるであろうという理由で慰謝料が増額される可能性があります。

 

2.慰謝料が減額されるケース

以下のようなケースでは、慰謝料が減額される可能性があります。

2-1.素因減額

素因減額とは、被害者側の事情によって損害が拡大したときに賠償金を全体として減額することです。

素因には「身体的な素因」と「心因的(精神的)な素因」があります。

たとえば被害者にもともと椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄などの症状があり、そのせいでむち打ちなどの症状が悪化してしまったら、身体的素因によって慰謝料が減額される可能性があります。

被害者が悲観的な性格で熱心に治療を受けなかったために治療期間が長引いたケースでは、心因的素因によって慰謝料が減額されるケースがあります。

2-2.損益相殺

損益相殺とは、交通事故を原因として被害者が金銭的な「利益」を受けた場合にその利益の分を賠償金から差し引くことです。

たとえば自賠責保険、任意保険の人身傷害補償保険、労災保険、健康保険の傷病手当金などが損益相殺の対象となります。

2-3.過失相殺

被害者に過失があると、過失割合に応じて過失相殺が行われ、賠償金が全体的に減額されます。

 

交通事故に遭ったら適切に慰謝料を算定して支払いを受ける必要があります。千葉で交通事故に遭われて、賠償金計算方法や相手からの提示額が正しいかどうかわからない場合、お気軽にご相談下さい。

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