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交通事故紛争処理センターとは

2019-09-09

 

交通事故後、被害者が加害者の保険会社と示談交渉をしても、なかなか意見が合致しないものです。納得できないまま示談してしまうと、将来後悔してしまう可能性もあります。

だからといって訴訟を起こすのは気が引ける、という方には「交通事故紛争処理センタ-」の活用をお勧めします。

 

以下では交通事故紛争処理センターとはどのような機関で、何をしてもらえるのか、解説していきます。

 

1.交通事故紛争処理センターとは

交通事故紛争処理センターは、交通事故トラブルを解決するためのADR(裁判外の紛争処理機関)です。全国の主要都市に支部があり、当事者は都合の良い支部を利用できます。

 

交通事故ADRを利用すると、裁判をしなくても交通事故に関するトラブルを解決できる可能性があります。交通事故ADRにはいくつか種類がありますが、交通事故紛争処理センターは非常に利用者数が多く、解決実績も高い機関です。

 

 

2.交通事故紛争処理センターでできること

交通事故紛争処理センターでは、以下のようなことができます。

2-1.相談

交通事故被害者は、困ったことや不安なこと、疑問などがあれば交通事故紛争処理センターへ相談できます。センターでは交通事故に詳しい弁護士が相談を受けてくれます。

2-2.示談あっせん

交通事故紛争処理センターでは、当事者の示談あっせんを行っています。示談あっせんとは話し合い(示談)の仲介です。保険会社と意見が合わないとき、交通事故紛争処理センターに申立をすると、センターの担当弁護士が間に入って話し合いを進めてくれます。

和解案が提示されるので、当事者双方が受け入れれば紛争を解決できます。

 

2-3.審査

示談あっせんは話し合いの手続きなので、当事者双方が納得しない限り解決できません。話し合いが決裂したとき、相手が保険会社であれば「審査」という手続きを利用できます。審査を申し立てるとセンターの審査会が交通事故の損害賠償方法(内訳や金額など)を決定します。

保険会社は審査の決定内容に拘束されるので、被害者さえ納得すればトラブルを終局的に解決できます。被害者は拘束されず保険会社だけが拘束される(これを片面的拘束力といいます。)ので、被害者が有利な手続きといえます。

 

3.交通事故紛争処理センターの注意点

交通事故紛争処理センターには、以下のような注意点があります。

3-1.審査は相手が保険会社の場合にしか利用できない

相手方のみが判断内容に拘束されるので被害者に有利になりやすい「審査」ですが、これを利用できるのは、基本的に相手が保険会社の場合のみです。相手が共済組合や当事者本人の場合、審査で解決することはできません。

保険会社はセンターと提携していますが、他の機関や個人は提携していないためです。

 

3-2.担当弁護士は「中立な立場」

交通事故紛争処理センターで担当してくれるのは「弁護士」ですが、被害者の味方というわけではありません。公正中立な立場なので、保険会社の言い分が適正と考えられれば保険会社側の肩を持つ可能性もあります。被害者にしてみると「助けてもらえない」「冷たい」と感じるケースも少なくないので、注意が必要です。

 

4.交通事故紛争処理センターの限界

交通事故紛争処理センターには以下のような限界があります。

4-1.必ず解決できるわけではない

示談あっせんをしてもらっても決裂したら解決は不可能ですし、相手が保険会社でなければ審査は利用できません。また審査結果が出ても被害者が納得できなければやはり解決できず、訴訟に進む必要があります。

必ず紛争を解決できるわけではないのはセンターの限界と言えるでしょう。

4-2.時効中断効はない

交通事故紛争処理センターの手続きには、損害賠償請求権の時効中断の効果がありません。交通事故後、3年近くが経過して時効が成立しそうになっていたら訴訟を提起する必要があります。

4-3.自賠責との紛争は対象にならない

交通事故紛争処理センターは自賠責との紛争を対象にしていないので、後遺障害認定などの自賠責保険における決定事項を争うことは不可能です。

 

交通事故紛争処理センターには限界がありますが、上手に使えば被害者の有利に運ぶことも可能です。

申立ての際、弁護士が代理人として就任し各種のアドバイスや書面提出、意見の陳述などを行うことも可能です。もしも交通事故ADRのご利用をお考えであれば、お気軽にご相談下さい。

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