Archive for the ‘千葉の交通事故弁護士コラム’ Category

飲酒運転の責任~刑事罰や免許の点数について~

2020-03-25

近年では飲酒運転に対する厳罰化が進んでおり、飲酒状態で交通事故を起こしたら重い刑事責任が課されます。免許の点数も大きく加算され、免許停止や取消のリスクが発生します。

 

今回は飲酒運転に対しどのような刑罰や行政罰(免許の点数加算)があるのか、千葉の弁護士がご説明します。

 

1.2種類の飲酒運転

法律上、飲酒運転には2種類の分類があり罰則の内容が異なります。

1-1.酒気帯び運転

酒気帯び運転とは「呼気1リットル中に0.15㎎以上のアルコールを含んだ状態で運転すること」です。呼気検査によって判定します。

1-2.酒酔い運転

酒酔い運転とは「アルコールの影響によって正常に運転できない状態で運転すること」です。酩酊状態となってまっすぐ歩けなかったりろれつが回らなかったりする状態で運転すると「酒酔い運転」となります。呼気中のアルコール量とは無関係に、運転者の状態によって判定されます。

 

2.飲酒運転で加算される免許の点数

飲酒運転が発覚すると、ドライバーの運転免許の点数が大きく加算されます。

点数は以下の通りです。

2-1.酒気帯び運転のケース

  • 呼気1リットル中に0.15㎎以上0.25㎎未満のアルコールが検出されたとき…13点の加算、90日間の免許停止処分
  • 呼気1リットル中に0.25㎎以上のアルコールが検出されたとき…25点の加算、免許取消処分となり欠格期間が2年

 

2-2.酒酔い運転のケース

35点の加算、免許取消処分となり欠格期間が3年

 

前歴があると処分が重くなる

「前歴」があると上記よりさらに重い処分となります。前歴とは、過去3年間に交通違反によって免許停止や取消処分を受けた経歴です。たとえば1回でも前歴のある人が酒気帯び運転で呼気1リットル中に0.15~0.25㎎のアルコールが検出された場合、免許停止では済まず取消処分となります。

 

3.飲酒運転の刑罰

飲酒運転をすると、刑事罰も適用されます。

3-1.酒気帯び運転の罪

3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑が適用されます。

3-2.酒酔い運転の罪

5年以下の懲役または100万円以下の罰金刑が適用されます。

3-3.同乗者の罪

飲酒運転が行われると、ドライバーだけではなく同乗者も処罰対象となります。

ドライバーがお酒を飲んでいると知りながらあえて「車に乗せてほしい」と依頼して運転させると、酒気帯び運転のケースで「2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑」、酒酔い運転のケースでは「3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑」が課されます。

3-4.お酒を勧めた人の罪

相手が車を運転する予定であることを知りながらお酒を勧めると、勧めた人にも刑事罰が適用されます。罰則の内容は酒気帯び運転のケースで「2年以下の懲役または30万円医科の罰金刑」、酒酔い運転のケースで「3年以下の懲役または50万円の罰金刑」となります。

 

4.飲酒運転で交通事故を起こすリスク

飲酒した状態で交通事故を起こすと、加害者には以下のようなリスクが発生します。

4-1.過失割合が高くなる

交通事故では、過失割合が高くなると相手に請求できる賠償金額が減額されてしまうので、不利になります。飲酒運転していると、通常の事案よりも5~20%程度過失割合が加算されます。

 

4-2.刑事罰が重くなる

飲酒運転で交通事故を起こすと、重い罪である「危険運転致死傷罪」が成立する可能性が高くなります。特に「酒酔い運転」で危険な交通事故を起こすと情状も悪くなり、長期間刑務所に行かねばならないリスクが高まります。

 

4-3.保険を適用できない可能性がある

通常の交通事故の場合、ドライバーが任意保険に入っていたら「人身傷害補償保険」や「搭乗者傷害保険」などを利用してけがに対する補償を受けられるものです。

しかし飲酒運転の場合これらの保険の適用を受けられず、治療費等が自腹になる可能性が高くなります。

 

なお飲酒運転でも被害者(事故の相手方)に対する対人対物賠償責任保険や自賠責保険は適用されます。

 

飲酒運転は、たとえ交通事故を起こさなくても本人や同乗者などに高いリスクを発生させます。まして事故を起こすと大変な不利益が及ぶので、軽い気持ちで飲酒運転をしないように注意しましょう。

ひき逃げの責任について~刑事罰、免許の点数~

2020-03-18

交通事故を起こしたら、必ず「被害者の救護」をしなければなりません。救護をせずに「ひき逃げ」をしてしまったら、非常に重い刑罰が科される可能性が濃厚となります。

 

今回はひき逃げの場合に適用される刑事罰や行政罰(免許の点数加算)について、千葉の弁護士が解説します。

 

1.ひき逃げとは

ひき逃げとは、道路交通法上の「救護義務違反」の行為です。

交通事故の当事者には道路交通法上「けが人を救護する義務」が課されます(道路交通法72条1項前段)。その救護義務を守らずに、事故現場から去ってしまうと「ひき逃げ」になります。

 

救護義務が課される人は「交通事故時に車両を運転していた人や乗務員」です。加害者だけではなく被害者にも救護義務がありますし、四輪車や単車だけではなく自転車の運転者にも救護義務が及びます。

 

また「後で戻ってこよう」と思って立ち去ったとしても、現場から離れたらその時点で「ひき逃げ」になります。

交通事故に遭ったとき、誰かがけがをしていたら必ず「その場で停車して」応急処置を行い、必要に応じて救急車を呼びましょう。

 

2.ひき逃げで加算される点数

ひき逃げは非常に危険な行為なので、重い処分が科されます。

まず運転免許の点数が35点加算されるため、一回で免許取消となります。欠格期間は3年に及ぶので、以後3年間は免許を取得できません。

 

また交通事故による点数も加算されるので、実際には35点よりも大きく点数が上がります。たとえば加害者の一方的な過失によって死亡事故を起こすと20点が加算されるので、ひき逃げの35点と合わせて55点の加算となり、免許取消(欠格期間7年)となります。

 

3.ひき逃げに適用される刑事罰

ひき逃げは危険な道路交通法違反の行為なので、刑事罰も科されます。

交通事故の加害者がひき逃げをした場合の罰則は「10年以下の懲役または100万円以下の罰金刑」です。

 

また自動車運転処罰法違反の罪も成立します。

3-1.過失運転致死傷罪

通常程度の過失によって事故を起こした場合に成立する犯罪です。刑罰の内容は「7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金刑です。

ひき逃げをすると道路交通法違反の罪と「併合罪」になって刑罰が加重され、最長で15年の懲役刑や禁固刑が科される可能性があります。

3-2.危険運転致死傷罪

故意にも匹敵する危険な交通事故によって人を死傷させたときに成立する犯罪です。

刑罰の内容は、被害者がけがをしたときに「15年以下の懲役刑」、被害者が死亡したときに「1年以上の有期懲役刑」となります。

ひき逃げをすると併合罪加重により、被害者がけがをしたときに「最長22年6か月の懲役刑」、被害者が死亡したときに「最長30年の懲役刑」が適用される可能性があります。

 

3-3.実際の量刑が重くなる

ひき逃げをすると非常に情状が悪くなるため、単に刑罰の上限が引き上げられるだけではなく実際に適用される量刑も重くなります。たとえばひき逃げをしなければ不起訴で済むケースでも、ひき逃げしたために公判請求されて懲役刑が適用される可能性があります。

ひき逃げをしなければ執行猶予がつくはずの事案でも、ひき逃げをしたら実刑判決を受ける可能性が高まります。

 

ひき逃げをすると多大なリスクを負うこととなるので、決してしてはいけません。

 

4.ひき逃げの検挙数について

2019年の犯罪白書によると、2018年(平成30年)におけるひき逃げの検挙率は以下の通りとなっています。

4-1.死亡事故の検挙率

死亡事故に限ると検挙率は97.7%です。

4-2.重傷事故の検挙率

重傷事故の場合、75.5%となっています。

4-3.全体の検挙率

全件数の検挙率は60.8%です。

http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/66/nfm/n66_2_4_1_1_3.html

重大事故になるほど検挙率が高く、逃れるのは困難といえるでしょう。

 

5.交通事故を起こした人の義務について

交通事故を起こした加害者には、「けが人を救護する義務」「二次被害を防止するために危険を除去する措置をとる義務」「警察に報告する義務」の3種類の義務が課されます。

これらの義務を守らずに現場を離れるとひき逃げとなり、重いペナルティを科されます。

 

絶対にひき逃げはしないことが何より重要といえますが、万が一ひき逃げをしてしまって気になっているならば、早めに弁護士までご相談下さい。

弁護士費用特約が適用されないケースについて

2020-03-11

弁護士費用特約が適用されると保険会社が弁護士費用を支払うので、利用者の負担は大きく軽減されます。

しかし自動車保険に弁護士費用特約をつけていても「適用されない」場合があるので注意が必要です。

 

今回は弁護士費用特約が適用されないケースはどういった場合なのか、弁護士が解説します。

 

1.被害者に重大な過失がある場合

1つは、被害者に重大な過失がある場合や故意によって事故を引き起こした場合です。

以下のような場合、弁護士費用特約が適用されません。

  • 酒気帯び運転や麻薬などの影響で正常な運転ができないおそれのある状態で運転していた
  • 無免許運転
  • 闘争行為
  • 犯罪行為
  • 自殺行為
  • 正しい方法で乗車していなかった
  • 極めて異常かつ危険な方法で自動車に乗車していた

 

また被保険者が所有、使用または管理するものの欠陥や摩滅、腐しょくやさびなどの自然消耗についても特約の適用対象外です。

 

2.請求相手による制限

損害賠償請求の相手が以下のような人の場合にも弁護士費用特約が適用されません。

  • 記名被保険者
  • 記名被保険者の父母、配偶者または子
  • 契約車両の所有者

 

3.天変地異の場合

台風や洪水、高潮などによって発生した損害については弁護士費用特約の適用対象外です。

 

4.自動車事故以外の事故

自動車保険の弁護士費用特約が適用されるのは、自動車事故のみです。

自転車同士の事故や自転車と歩行者の事故の場合には自動車保険の弁護士費用特約が適用されません。学校や介護施設における事故、ペットに噛みつかれたなど自動車にかかわらない事故にも自動車保険の弁護士費用特約は適用されません。

 

5.自分の保険会社と交渉する場合

人身傷害補償保険や車両保険などの適用について、自分の加入している自動車保険会社と交渉を行うケースでも、自動車保険の弁護士費用特約は適用されません。

 

6.無権利で車を運転したケース

盗んだ車を運転した場合など、無権利で勝手に運転して交通事故を起こした場合には弁護士費用特約が適用されません。

 

7.事業用自動車の場合

業務中の事故など事業用自動車に乗車していて交通事故に遭った場合、弁護士費用特約が適用されない可能性があります。

ただしすべての保険会社においてこういった取扱いになっているわけではありません。業務中の事故の場合、弁護士費用特約が適用されるかどうか個別に保険会社に確認する必要があります。

 

8.自動車保険以外の弁護士費用特約を利用できるケースがある

弁護士費用特約が適用されないケースはいくつかありますが、上記に該当しても特約を利用できる可能性があります。

それは自動車保険以外の弁護士費用特約を利用できる場合です。たとえば火災保険や自転車保険、個人賠償責任保険などに弁護士費用特約をつけられるケースがあります。最近では弁護士費用特約つきのクレジットカードも登場しています。

 

これらの自動車保険以外の弁護士費用特約の場合、自動車保険以外の日常事故にも適用されるのが通常です。自動車保険の記名被保険者に対する請求や自動車の所有者に対する請求についても適用される可能性があります。

 

いくつかの弁護士費用特約を適用できる場合、1つは適用外でも他を適用できる可能性があるので、適用条件をしっかり確認しましょう。

 

9.被害者に過失があっても弁護士費用特約を利用できる

弁護士費用特約は「被害者に重過失」があると適用されないので「過失があったら利用できない」と思っている方がおられます。しかし通常程度の過失であれば弁護士費用特約を利用できます。保険会社が弁護士費用特約の利用に消極的な態度をとるケースもありますが、遠慮する必要はありません。

 

当事務所でも弁護士費用特約を利用して積極的に交通事故案件の受任を進めています。弁護士費用特約を適用できるかどうか分からない場合のご相談にも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

交通事故で介護費用を請求できる条件とは?

2020-03-04

交通事故に遭って被害者に介護が必要になったとき、寝たきりなどで明らかに介護が必要なら、通常保険会社から介護費用を拒まれることはありません。しかし被害者が一応動ける場合や日常生活で一部のみ介護を必要とする場合などには、保険会社に介護費用の支払いを拒まれてスムーズに払ってもらえないケースも多々あります。

 

今回は交通事故で介護費用を請求できるのはどういったケースなのか、千葉県の弁護士がご説明します。

 

1.要介護の後遺障害が残った場合

交通事故の後遺障害は「要介護」とそれ以外に分けられています。

要介護の後遺障害は以下の通りです。

 

1級

1神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 

2胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

2級

1神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 

2胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

 

たとえば高次脳機能障害や遷延性意識障害、内臓機能の障害などで常に介護を要する状態となったら要介護の1級、脊髄損傷や高次脳機能障害、内臓機能の障害などで随時介護を要する状態となったら要介護の2級が認定されます。

 

これらの後遺障害認定を受けた場合には、通常問題なく保険会社へ将来介護費用を請求できます。

 

2.要介護の後遺障害でなくても将来介護費用を請求できる場合

要介護の後遺障害認定を受けなくても、症状の内容や程度に鑑みて介護が必要と判断されれば将来介護費用を請求できます。

  • 症状が相当重い

排尿排便障害がある、高次脳機能障害で周囲による日常的な声かけが必要、上肢や下肢の麻痺があって日常生活に支障が出ている場合などに介護費用が認められる可能性があります。

  • 医師の指示がある

症状が重く、医師が「介護を受けるように」と指示を出していれば、介護費用が認められる可能性が高くなります。

 

3.介護費用が認められた裁判例

以下では具体的に介護費用がどういったケースが認められているのか、裁判例を確認しましょう。

 

3-1.遷延性意識障害

遷延性意識障害のケースでは将来介護費用が基本的に認められ、争いになるケースはほとんどありません。

 

高校生が遷延性意識障害となったケースで1億1,678万円の将来介護費用が認められたケース(千葉地裁平成17年7月20日)、11歳の被害者が遷延性意識障害となったケースで1億3,375万円の将来介護費用が認められたケース(大阪地裁岸和田支部平成14年7月30日)などがあります。

 

3-2.高次脳機能障害

高次脳機能障害のケースでは、症状の程度によって将来介護費用が認められるかどうか変わります。重度な場合には将来介護費用が支払われます。

 

高次脳機能障害で2級の後遺障害認定を受けた高校生のケースで4,760万円の将来介護費用が認められたケース(京都地裁平成15年10月31日)、3級の認定を受けたケースが「常時の付添は不要だが看視のために家族が常に家にいなければならない」として日額6,000円の将来介護費用を認めたケース(東京地裁八王子支部平成14年7月4日)、高次脳機能障害で5級、他の後遺障害と併合して4級となった事案で1,381万円の将来介護費用が認められた事案などがあります(東京地裁平成16年9月22日)。

 

3-3.脊髄損傷

脊髄損傷で1級の後遺障害が認定され、日常的に介護が必要と判断されて1億8,300万円の将来介護費用が認められたケース(東京地裁八王子支部平成12年11月28日)、四肢麻痺となって後遺障害1級が認定された59歳の男性被害者に7,551万円の将来介護費用が認められたケース(大阪地裁平成17年9月1日)などがあります。

 

3-4.その他

RSDで5級に認定された被害者につき682万円程度の将来介護費用が認められた事案(名古屋地裁平成16年7月28日)、同じくRSDで9級に認定された被害者に669万円程度の将来介護費用が認められたケース(大阪高裁平成18年8月30日)などがあります。

 

介護を要する状態になって保険会社が将来介護費用の支払いに応じない場合、上記に挙げた裁判例のように、訴訟をすれば高額な介護費用の支払いを受けられる可能性もあります。

千葉県で交通事故に遭い、保険会社の対応に疑問を感じておられるなら弁護士までご相談下さい。

介護費用の計算方法

2020-02-26

交通事故に遭うと、被害者に介護が必要となるケースが少なくありません。

たとえば植物状態(遷延性意識障害)や脊髄損傷で寝たきりとなってしまった場合、重度の高次脳機能障害で常時の看護が必要な場合などです。

 

介護が必要になったら相手に「介護費用」を請求できます。

ここでは介護費用をどのようにして計算するのか、千葉県の弁護士が解説します。

 

1.介護費用の計算方法

交通事故で介護が必要になると、一生涯にわたる介護を要します。

症状固定前に発生した介護費用だけではなく、その後の将来の分の介護費用も請求しなければなりません。このような将来必要になる介護費用を「将来介護費用」といいます。

 

1-1.将来介護費用の計算式

将来介護費用は、以下のような計算式によって計算します。

 

将来介護費用=1年にかかる介護費用×症状固定時の平均余命に対応するライプニッツ係数

 

以下でそれぞれの要素をどのように算出するのかご説明します。

 

1-2.1年にかかる介護費用の計算方法

1年にかかる介護費用は、家族が介護するのか職業介護士に介護を依頼するのかによって異なります。

家族が介護する場合、1日あたり8,000円として計算します。

職業介護士に依頼する場合には「実際にかかる金額(実費)」を基準に計算します。介護士に依頼した場合の実費はケースによりますが1日1~3万円程度です。

 

金額だけをみると職業介護士に依頼した方が高くなりますが、介護士へ支払いをしなければならないので手残りが大きくなるわけではありません。

 

一方、家族が介護する前提で示談すると実際の支出はないので手残りが大きくなりますが、家族に大きな負担がかかります。またしばらくの間は家族が介護できても、後に事情が変わって介護士に依頼するケースもあります。その場合、示談時に受け取っていた示談金が少額になっており損をしてしまうリスクがあります。

 

交通事故で介護が必要になった場合、家族介護を前提にするのか職業介護士に依頼するのか、慎重に検討する必要があるといえます。迷われたら弁護士がアドバイスいたしますので、ご相談下さい。

 

1-3.平均余命とは

将来介護費用は「平均余命」を基準として計算します。平均余命とは「その年齢の人が平均的にあと何年生きるか」という年数です。

単純に「平均寿命-年齢」で計算されるものではないので注意してください。

年齢ごとの平均余命は厚生労働省から発表されているので参照しましょう。

男性

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-06.pdf

女性

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-07.pdf

1-4.ライプニッツ係数とは

将来介護費用を計算するとき「ライプニッツ係数」を適用します。ライプニッツ係数とは、将来にわたって発生する費用を示談時に一括で受け取る利益を調整するための指数です。

本来、将来介護費用はその都度発生し受け取るべきものです。しかし当初にまとめて受け取るので、被害者には「運用利益」が生じると考えられます。その利益を「中間利息」といいますが、これを差し引くため、ライプニッツ係数を適用します。

 

ライプニッツ係数は2020年3月までは法定利率の5%を基準として算定されますが2020年4月からは民法改正によって法定利率が3%となるため、数字が変わります。

 

 

2.定期金方式とは

将来介護費用を「定期金方式」で受け取るケースもあります。定期金方式とは、示談時に一括で受け取るのではなく将来にわたって毎月などの定期的に介護費用を受け取る方法です。この方式なら中間利息を控除しないので、実際に必要な全額を受け取れるとも思えます。

ただ途中で保険会社が倒産・廃業するリスクや、何らかの理由で不払いにされるおそれがあります。将来にわたって延々と相手の保険会社との関わりが続くため、ストレスに感じる方もおられるでしょう。

定期金方式による支払いを提案されたとき、安易に受け入れるのは危険です。

 

交通事故で被害者に介護を要する状態になると、検討すべき問題が多数発生します。不利にならないように、ぜひとも弁護士までご相談下さい。

もらい事故に遭ったときの対処方法、注意点

2020-02-20

被害者にまったく過失のない交通事故を「もらい事故」といいます。たとえば後方車両から一方的に追突されたケースやセンターオーバーで正面衝突された場合などが該当します。

 

もらい事故の示談交渉では、通常の交通事故とは異なる対応を要求され、被害者が不利になるケースもみられるので注意が必要です。

 

今回はもらい事故に遭ったときの対処方法や注意点を弁護士が解説します。

 

1.典型的なもらい事故のケース

もらい事故は、加害者の過失割合が100%、被害者の過失割合が0%の交通事故を意味する言葉です。

 

典型的な例として以下のようなものがあります。

  • 信号待ちなどの停止中に後方から追突された
  • 交差点で青信号だったので進行すると、相手が赤信号で進入してきて衝突された
  • 対向車両がセンターオーバーして衝突してきた

 

2.もらい事故では保険会社が示談交渉を代行してくれない

もらい事故では、被害者の過失割合が0%なので「過失相殺」が行われません。発生した損害について全額賠償を求められるので、一般的な交通事故よりも賠償金額が高額になりやすいといえます。この点では被害者に有利です。

 

2-1.もらい事故の大きなデメリット

しかしもらい事故には被害者にとってのデメリットもあります。それは「保険会社が示談交渉を代行してくれない」ことです。

通常、交通事故に遭ったら加入している保険会社が示談交渉を代行するため、本人が相手の保険会社と話をする必要はありません。自分が加入している自動車保険の「対人・対物賠償責任保険」が適用されるからです。これらの保険には「示談代行サービス」がついています。

 

しかしもらい事故の場合、被害者側に過失がないので対人・対物賠償責任保険は適用されません。そうなると保険会社が相手に賠償金を払わないので、保険会社は示談交渉を代行できないのです。保険会社が支払いをしないのに示談交渉を代行すると「弁護士法違反」になる可能性が高くなります。

 

2-2.もらい事故の示談交渉は不利になりやすい

もらい事故の場合、被害者は自分一人で賠償金の請求手続を進めなければなりません。相手の保険会社と直接話し合い、示談交渉を進める必要があります。しかし素人の被害者とプロの保険会社との直接交渉では力の差が大きく、被害者側が不利になる可能性が大きく高まってしまいます。

 

3.もらい事故で不利にならないための対処方法

もらい事故の示談交渉で不利にならないためには、以下のように対応しましょう。

3-1.保険会社のいうことを鵜呑みにしない

示談交渉を進めるとき、相手の保険会社から「慰謝料は〇〇円程度、休業損害は〇〇円として計算します」などとさまざまな提案をされます。このとき、相手の言い分を鵜呑みにすべきではありません。保険会社は法的な基準とは異なり独自の低額な基準で賠償金を計算している例が多々あるからです。

 

3-2.賠償金の相場と計算方法を知る

損をしないためには、交通事故の損害賠償金の相場や正しい計算方法を知る必要があります。ご自身で対応するならネットや本でできるだけの知識を集めるしかありませんが、それではどうしても不備が生じるでしょう。

 

賠償金の適正な金額や正しい計算方法を把握するには弁護士に相談するのがもっとも確実です。当事務所でも対応していますので、迷われたらお気軽にご相談下さい。

 

3-3.後遺障害認定を受ける

もらい事故では被害者に後遺障害が残るケースも少なくありません。たとえばむち打ちや骨折にもとづく障害、脊髄損傷や高次脳機能障害など。

その場合、自賠責保険に申請をして後遺障害認定を受ける必要があります。後遺障害認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われるので賠償金額が一気に増額されます。

ご自身で対応すると適切に後遺障害認定されないおそれもあるので、不安があれば弁護士にお任せ下さい。

 

当事務所では千葉県で交通事故に遭われた方へ積極的な支援を進めております。もらい事故に遭って不安を抱えておられるなら、是非とも一度ご相談下さい。

物損事故から人身事故へ切り替える方法

2020-02-12

交通事故に遭ったとき、事故現場では痛みを感じず「物損事故」として届け出てしまったけれど、後でけがをしていると気づくケースがあります。

そのようなときには物損事故扱いから人身事故扱いへと切り替えをする必要があります。

 

今回は物損事故から人身事故の違いや切り替える方法を解説します。

 

1.物損事故と人身事故の違い

1-1.物損事故、人身事故とは

物損事故とは、車やその他の「物」だけが損傷した交通事故です。車や建物、道路上の設備が壊れた場合だけではなくペットなどの動物が傷ついた場合にも物損事故となります。

これに対し人身事故とは、「人が死傷した交通事故」です。車が壊れたケースでも、人が傷ついたら人身事故になります。

 

1-2.物損事故の場合

物損事故の場合、加害者は基本的に「刑事責任」を負いません。裁判によって裁かれ刑罰を適用されることはありません。また免許の点数も加算されません。

さらに適用される保険は「対物賠償責任保険」のみであり、人身損害に対する補償は行われません。たとえば治療費や休業損害、慰謝料、逸失利益などは一切支払われませんし、後遺障害に対する補償もありません。

 

1-3.人身事故の場合

人身事故の場合、加害者は「過失運転致死傷罪」や「危険運転致死傷罪」などの刑事責任を負います。また被害者の受傷の程度や加害者の過失の状況に応じて免許の点数が加算されますし、「対人賠償責任保険」が適用されて被害者には治療費や休業損害、逸失利益や慰謝料などの賠償金が支払われます。被害者に後遺障害が残ったら後遺障害の程度(等級)に応じた補償も行われます。

 

このように、物損事故と人身事故では加害者にとっても被害者もとってもずいぶん取扱いが変わってきます。本当はけがをしているのに物損事故扱いで済ませてしまっては、被害者が必要な損害賠償を受けられず不利益を受ける可能性もあります。

 

2.警察で物損事故から人身事故へ切り替える方法

交通事故時にはけがをしていることに気づかず後に痛みなどが出てきた場合、警察で物損事故から人身事故へ切り替えることができます。

まずは病院に行って診察や検査を受け、受傷状況について診断を受けましょう。その上で医師に「診断書」を作成してもらい、警察へ持参して物損事故から人身事故へ切り替えたい旨の申請をします。すると、警察で物損事故から人身事故への切り替えをしてもらえて、その後は「人身事故の証明書」を発行されるようになります。

人身事故証明書が発行されれば刑事的にも民事的にも人身事故扱いされるので、加害者が刑事的な処分や行政的な処分を受ける可能性がありますし、治療費などの人身事故に関する賠償金も問題なく支払われます。

 

ただし警察で物損事故から人身事故への切り替えをするには、事故後早い段階で手続きする必要があります。1週間~10日間の間には切り替え申請を行いましょう。

 

3.人身事故の保険を適用するための手続き

交通事故後、時間が経過してしまって警察では人身事故への切り替えを受け付けてもらえない場合でも、保険については人身事故扱いにしてもらう必要があります。そうでないと人身事故に関する治療費や休業損害、慰謝料などの賠償金を受け取れないからです。

保険会社で民事的に人身事故扱いにしてもらうには、保険会社へ「人身事故証明書入手不能理由書」という書類を提出します。この書類を提出すれば、刑事的には物損事故扱いになっていても民事的には人身事故扱いされて対人賠償責任保険や自賠責保険が適用され、治療費などの支払いを受けられます。

保険会社に問合せをして「人身事故証明書入手不能理由書」の書式を送ってもらい、必要事項を記入して返送しましょう。

 

交通事故に遭ったとき、首や腰などを損傷すると外傷がないので、その場では受傷に気づかないケースもよくあります。もしも物損事故として届出をしてしまい、後から痛みが出てきたら早急に物損事故から人身事故への切り替えを行ってください。不安な方は弁護士がアドバイス等行いますので、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。

遷延性意識障害になった場合の注意点

2020-02-05

交通事故では被害者が意識を失ったまま回復せず、いわゆる「植物状態」となってしまうケースがあります。植物状態を医学的に「遷延性意識障害」といいます。

遷延性意識障害になると、被害者には一生介護が必要となりご家族には大変な負担がかかりますし、示談交渉の際などにもいろいろな注意点があります。

 

今回は被害者が遷延性意識障害となったときの注意点について、弁護士が解説します。

 

1.遷延性意識障害の認定要件

交通事故で意識障害となり、長期にわたって回復せず以下の要件を満たせば「遷延性意識障害」と認定されます。

 

  • 自力では移動できない
  • 自力では摂食できない
  • 大小便のコントロールができない(失禁状態)
  • 眼球で物を追うことはあっても認識できない
  • 発語することはあっても意味のある言葉を発せない
  • 簡単な反応(目をつぶる、手を握り返すなど)はあってもコミュニケーションをとれない

 

上記の6つのすべてを満たす状態が3か月以上続いたときに「遷延性意識障害」と判断されます。

 

2.遷延性意識障害となった場合の問題点

交通事故で被害者が遷延性意識障害となった場合、通常の事故とは異なり以下のような点に注意が必要です。

2-1.長期間受け入れてくれる施設が少ない

被害者が交通事故で意識障害に陥ったら、通常は病院へ運ばれて治療を受けることになるでしょう。

遷延性意識障害の場合、急性の状態が落ち着いても意識が回復しないので、入院が長期化します。すると、病院から退院を促される可能性があります。病院には次々新しい患者が入院してきますし、3か月が経過すると保険点数が低くなるという経済的な事情もあるためです。

ところが遷延性意識障害の患者を受け入れてくれる施設はそう多くはないので、ご家族が行き先に困るケースがみられます。

2-2.介護場所を決定する必要がある

被害者が遷延性意識障害となった場合、生涯にわたる介護が必要です。その場合「施設で介護」を受けるのか「自宅で介護」をするのか決めなければなりません。

どちらを選択するかで請求できる賠償金額も大きく変わってきますし、ご家族にかかる負担も違ってきます。ご家族は重大な決断を迫られ判断に迷うケースが少なくありません。

2-3.成年後見人を選任する必要がある

遷延性意識障害となった場合、被害者本人は加害者との示談交渉を進められません。

家庭裁判所で「成年後見人」を選任し、後見人が示談交渉や賠償金請求の手続きを行う必要があります。

どうやって後見人を選任すれば良いのか、また誰が成年後見人になるのが良いか、後見人を選任した後や賠償金を受け取った後の対応に迷ってしまうご家族の方もおられます。

 

2-4.保険会社から「生活費控除」を主張されるケースがある

被害者が遷延性意識障害となった場合、保険会社から「生活費控除」を主張されるケースが多々あります。遷延性意識障害の患者は生活のための活動をあまりしないので生活費がかからないはずだと言われるのです。

しかし裁判例では遷延性意識障害のケースでも生活費控除を認めないものがたくさんあるので、そういった主張を安易に受け入れるべきではありません。

2-5.平均余命が短くなると主張される

遷延性意識障害の事例では、生涯にわたる介護費用を請求できます。その際には「平均余命」を使って介護費用を計算します。

ところが保険会社は「遷延性意識障害の患者は一般の人よりも平均余命が短い」と主張して介護費用を減額するよう主張してくるケースがよくあります。

 

このような主張も裁判では認められない可能性が高いので、ご家族としては受け入れるべきではありません。

 

3.交通事故でご家族が遷延性意識障害となったら弁護士へご相談下さい

交通事故で被害者が遷延性意識障害になると、上記のようなさまざまな困難な問題が発生します。不利益を防止しご本人やご家族の権利を守るには、通常の交通事故事案以上に弁護士によるサポートが必要といえるでしょう。

弁護士が介護場所の判断や介護費用の計算、示談交渉などを行います。千葉で交通事故に遭われてお困りのご家族様は、是非とも一度ご相談下さい。

遷延性意識障害で認定される後遺障害の等級と賠償金

2020-01-28

交通事故で被害者が植物状態となり「遷延性意識障害」になったら「後遺障害認定」を受けられます。

今回は遷延性意識障害で認定される後遺障害の等級と賠償金の種類、相場について千葉の弁護士が解説します。

 

1.遷延性意識障害で認定される後遺障害の等級

交通事故で認定される後遺障害には1級から14級までの「等級」があり、1級がもっとも重く14級がもっとも軽い等級です。等級が重くなればなるほど、慰謝料などの賠償金の金額も増額されます。

 

遷延性意識障害の場合、被害者は自力で移動・摂食・大便小便のコントロールなどの生活の基本動作を何もできない極めて重篤な状態となるため認定される後遺障害等級は、もっとも重い1級です。

 

2.遷延性意識障害で請求できる賠償金

被害者が遷延性意識障害となった場合に請求できる賠償金の種類や金額は、以下の通りです。

2-1.治療費

症状固定時までにかかった病院での治療費、検査費用、診断料、投薬料などの費用を、必要かつ相当な範囲で全額請求できます。

 

2-2.付添看護費用

親族が入院中に付き添った場合、1日当たり6,500円程度の付添看護費用を請求できます。

症状固定前に自宅で親族が付き添った場合、自宅における付添看護費用が認められるケースもあります。

2-3.交通費

親族が病院に通うため交通費がかかったケースでは、交通費を請求できます。タクシーを使う必要があればタクシー代も請求できますし、自家用車で通院した場合にはガソリン代と駐車場代、高速代を請求できます。ガソリン代は1キロメートル当たり15円として計算します。

2-4.休業損害

被害者が症状固定するまでの間に会社を休んだりして休業損害が発生したら、加害者へ請求可能です。

2-5.入通院慰謝料

被害者が症状固定するまでの間の入院期間に応じて入通院慰謝料が支払われます。

相場の金額は、入院3か月なら145万円、4か月なら184万円、5か月なら217万円、6か月なら244万円程度です。

2-6.後遺障害慰謝料

遷延性意識障害で後遺障害1級が認定されると、2,800万円程度の後遺傷害慰謝料を請求できます。後遺障害慰謝料は入通院慰謝料とは別途支払われます。

また、ケースによっては家族固有の慰謝料が認められる可能性もあります。

2-7.後遺障害逸失利益

有職者や主婦、子どもなどが遷延性意識障害となって後遺障害認定を受けると「逸失利益」を請求できます。逸失利益とは、働けなくなったことによって得られなくなってしまった将来の収入に相当する損害金です。遷延性意識障害になると、一生働けなくなるので本来得られるはずだった収入を得られなくなり損失が発生します。それを「後遺障害逸失利益」として請求できるのです。

後遺障害逸失利益の金額は、事故前の被害者の年収額や年齢によって異なります。

数千万円となるケースが多く、高額な方は1億円を超えるケースもあります。

 

2-8.介護費用

遷延性意識障害となった場合、ご本人は一生にわたって全面的な介護を要するので平均余命に対応する介護費用を請求できます。

介護費用は、ご家族が介護するのか専門の介護士に依頼するのかで金額が変わってきます。

ご家族が介護する場合、1日あたり8,000円として計算しますが専門の介護士に依頼すると実際にかかる費用を請求できるので金額は上がります。

 

2-9.自宅改装費用

遷延性意識障害で自宅介護をするときには、改装を要するケースがあります。その場合、自宅改装費用も損害賠償金として請求可能です。

 

遷延性意識障害では逸失利益や将来介護費用が高額になるため、賠償金が1億円を超えるケースも少なくありません。ただ、自宅介護を選択するか施設介護を選択するか、家族介護か専門の介護士に依頼するかによっても大きく金額が変わってきます。

一般の方にはどういった対応をとるのが最善か判断しにくいものです。被害者の方が適切な賠償金を受け取るため、迷われたら弁護士までご相談下さい。

交通事故で請求できる「交通費」「宿泊費」について

2020-01-22

交通事故で受傷し、通院するには交通費がかかります。遠方の病院に入通院する場合、宿泊費が必要となるケースもあるでしょう。

交通費や宿泊費も交通事故によって発生した損害といえるので、加害者側へ請求できます。

 

今回は交通事故で加害者側へ「交通費」や「宿泊費」をどこまで請求できるのか、千葉の弁護士が解説します。

 

1.交通事故で請求できる交通費の種類や計算方法、用意しておく資料

交通事故で病院に通院した場合、加害者に対し以下のような交通費を請求できます。

1-1.公共交通機関

電車やバスなどの公共交通機関を利用して通院した場合、全額を実費で請求できます。

この場合、合理的な経路であれば運賃額は明らかなので個別の領収証は不要で、病院に通った日数分の交通費が支給されます。

ただし特急列車を利用した場合などには特急料金の領収証が必要です。

1-2.タクシー代

被害者が重傷などでタクシーを利用する必要性があった場合には、タクシー代も請求可能です。

タクシー代については常に全額認められるとは限らず「必要な範囲で相当な限度にとどまる場合」に支払われます。以下のような事情を考慮して必要性や相当性が判断されます。

  • 被害者の受傷部位や程度

被害者が重傷のケース、足を受傷して歩けない場合、身体が衰弱していて人混みを移動すると危険がある場合などにはタクシー利用が認められます。

  • 被害者の年齢

被害者が幼児などの場合、一般成人よりもタクシーを使う必要性が認められやすくなります。

  • 近隣の公共交通機関の便

公共交通機関が近くにない場合などにはタクシー代が認められやすくなります。

 

1-3.ガソリン代

自家用車で通院する場合、ガソリン代を請求できます。ガソリン代は「1キロメートルあたり15円」として計算されます。

1-4.高速代

自家用車で通院する際に高速道路を利用した場合「必要性」があれば実費全額が支払われます。

以下のような場合には高速道路を利用する必要性が認められやすくなります。

  • 病院が遠方で、下道を通るのが合理的でない
  • 遠方の病院に通院する必要がある

近距離の病院に行くのにわざわざ高速道路を利用したり、近距離にも良い病院があるのにわざわざ遠くの病院を選んで高速道路を使って通院したりすると、高速道路料金を負担してもらえない可能性があります。

 

また高速代を請求するには支払った証拠が必要なので、領収証やETCの明細書をとっておきましょう。

 

1-5.駐車場代

自家用車で通院して駐車場代がかかった場合には、駐車場代も実費で支払われます。ただしどのくらいかかったか明らかにするため領収証をとっておく必要があります。

1-6.家族の交通費

本人が入院している場合、ご家族が付添看護などのために病院に通うケースもあるでしょう。その場合、家族が支出した交通費も損害の内容として賠償されます。

支払い基準は本人のケースと同様です。高速代や駐車場代については領収証をとっておきましょう。

 

2.交通事故で請求できる宿泊費、不動産賃料

被害者が遠方の病院や施設に入院すると、家族が看護のために近くのホテルに宿泊しなければならないケースがあるものです。また家族が病院の近くに賃貸アパートなどを借りて病院に通い、生活のための基本的な器具を購入することもあるでしょう。

被害者の受傷の部位や程度などの状況によって必要性が認められれば、家族の宿泊費や不動産の賃料、生活用品購入費用も損害として加害者側へ請求できます。

 

裁判例でも、被害者が重傷のケースでは家族が滞在したホテル代、数か月に及ぶ不動産賃料、生活器具購入費用を認められたものが多々あります(横浜地裁平成2年11月30日、東京地裁平成10年11月12日、札幌地裁平成16年2月5日など)。

 

千葉で交通事故に遭い、どこまで交通費や宿泊費用を請求できるのか、また計算方法についてご不明な場合にはお気軽に弁護士までご相談下さい。

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