遷延性意識障害で認定される後遺障害の等級と賠償金

交通事故で被害者が植物状態となり「遷延性意識障害」になったら「後遺障害認定」を受けられます。

今回は遷延性意識障害で認定される後遺障害の等級と賠償金の種類、相場について千葉の弁護士が解説します。

 

1.遷延性意識障害で認定される後遺障害の等級

交通事故で認定される後遺障害には1級から14級までの「等級」があり、1級がもっとも重く14級がもっとも軽い等級です。等級が重くなればなるほど、慰謝料などの賠償金の金額も増額されます。

 

遷延性意識障害の場合、被害者は自力で移動・摂食・大便小便のコントロールなどの生活の基本動作を何もできない極めて重篤な状態となるため認定される後遺障害等級は、もっとも重い1級です。

 

2.遷延性意識障害で請求できる賠償金

被害者が遷延性意識障害となった場合に請求できる賠償金の種類や金額は、以下の通りです。

2-1.治療費

症状固定時までにかかった病院での治療費、検査費用、診断料、投薬料などの費用を、必要かつ相当な範囲で全額請求できます。

 

2-2.付添看護費用

親族が入院中に付き添った場合、1日当たり6,500円程度の付添看護費用を請求できます。

症状固定前に自宅で親族が付き添った場合、自宅における付添看護費用が認められるケースもあります。

2-3.交通費

親族が病院に通うため交通費がかかったケースでは、交通費を請求できます。タクシーを使う必要があればタクシー代も請求できますし、自家用車で通院した場合にはガソリン代と駐車場代、高速代を請求できます。ガソリン代は1キロメートル当たり15円として計算します。

2-4.休業損害

被害者が症状固定するまでの間に会社を休んだりして休業損害が発生したら、加害者へ請求可能です。

2-5.入通院慰謝料

被害者が症状固定するまでの間の入院期間に応じて入通院慰謝料が支払われます。

相場の金額は、入院3か月なら145万円、4か月なら184万円、5か月なら217万円、6か月なら244万円程度です。

2-6.後遺障害慰謝料

遷延性意識障害で後遺障害1級が認定されると、2,800万円程度の後遺傷害慰謝料を請求できます。後遺障害慰謝料は入通院慰謝料とは別途支払われます。

また、ケースによっては家族固有の慰謝料が認められる可能性もあります。

2-7.後遺障害逸失利益

有職者や主婦、子どもなどが遷延性意識障害となって後遺障害認定を受けると「逸失利益」を請求できます。逸失利益とは、働けなくなったことによって得られなくなってしまった将来の収入に相当する損害金です。遷延性意識障害になると、一生働けなくなるので本来得られるはずだった収入を得られなくなり損失が発生します。それを「後遺障害逸失利益」として請求できるのです。

後遺障害逸失利益の金額は、事故前の被害者の年収額や年齢によって異なります。

数千万円となるケースが多く、高額な方は1億円を超えるケースもあります。

 

2-8.介護費用

遷延性意識障害となった場合、ご本人は一生にわたって全面的な介護を要するので平均余命に対応する介護費用を請求できます。

介護費用は、ご家族が介護するのか専門の介護士に依頼するのかで金額が変わってきます。

ご家族が介護する場合、1日あたり8,000円として計算しますが専門の介護士に依頼すると実際にかかる費用を請求できるので金額は上がります。

 

2-9.自宅改装費用

遷延性意識障害で自宅介護をするときには、改装を要するケースがあります。その場合、自宅改装費用も損害賠償金として請求可能です。

 

遷延性意識障害では逸失利益や将来介護費用が高額になるため、賠償金が1億円を超えるケースも少なくありません。ただ、自宅介護を選択するか施設介護を選択するか、家族介護か専門の介護士に依頼するかによっても大きく金額が変わってきます。

一般の方にはどういった対応をとるのが最善か判断しにくいものです。被害者の方が適切な賠償金を受け取るため、迷われたら弁護士までご相談下さい。

 

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