弁護士費用特約が適用されると保険会社が弁護士費用を支払うので、利用者の負担は大きく軽減されます。
しかし自動車保険に弁護士費用特約をつけていても「適用されない」場合があるので注意が必要です。
今回は弁護士費用特約が適用されないケースはどういった場合なのか、弁護士が解説します。
1.被害者に重大な過失がある場合
1つは、被害者に重大な過失がある場合や故意によって事故を引き起こした場合です。
以下のような場合、弁護士費用特約が適用されません。
- 酒気帯び運転や麻薬などの影響で正常な運転ができないおそれのある状態で運転していた
- 無免許運転
- 闘争行為
- 犯罪行為
- 自殺行為
- 正しい方法で乗車していなかった
- 極めて異常かつ危険な方法で自動車に乗車していた
また被保険者が所有、使用または管理するものの欠陥や摩滅、腐しょくやさびなどの自然消耗についても特約の適用対象外です。
2.請求相手による制限
損害賠償請求の相手が以下のような人の場合にも弁護士費用特約が適用されません。
- 記名被保険者
- 記名被保険者の父母、配偶者または子
- 契約車両の所有者
3.天変地異の場合
台風や洪水、高潮などによって発生した損害については弁護士費用特約の適用対象外です。
4.自動車事故以外の事故
自動車保険の弁護士費用特約が適用されるのは、自動車事故のみです。
自転車同士の事故や自転車と歩行者の事故の場合には自動車保険の弁護士費用特約が適用されません。学校や介護施設における事故、ペットに噛みつかれたなど自動車にかかわらない事故にも自動車保険の弁護士費用特約は適用されません。
5.自分の保険会社と交渉する場合
人身傷害補償保険や車両保険などの適用について、自分の加入している自動車保険会社と交渉を行うケースでも、自動車保険の弁護士費用特約は適用されません。
6.無権利で車を運転したケース
盗んだ車を運転した場合など、無権利で勝手に運転して交通事故を起こした場合には弁護士費用特約が適用されません。
7.事業用自動車の場合
業務中の事故など事業用自動車に乗車していて交通事故に遭った場合、弁護士費用特約が適用されない可能性があります。
ただしすべての保険会社においてこういった取扱いになっているわけではありません。業務中の事故の場合、弁護士費用特約が適用されるかどうか個別に保険会社に確認する必要があります。
8.自動車保険以外の弁護士費用特約を利用できるケースがある
弁護士費用特約が適用されないケースはいくつかありますが、上記に該当しても特約を利用できる可能性があります。
それは自動車保険以外の弁護士費用特約を利用できる場合です。たとえば火災保険や自転車保険、個人賠償責任保険などに弁護士費用特約をつけられるケースがあります。最近では弁護士費用特約つきのクレジットカードも登場しています。
これらの自動車保険以外の弁護士費用特約の場合、自動車保険以外の日常事故にも適用されるのが通常です。自動車保険の記名被保険者に対する請求や自動車の所有者に対する請求についても適用される可能性があります。
いくつかの弁護士費用特約を適用できる場合、1つは適用外でも他を適用できる可能性があるので、適用条件をしっかり確認しましょう。
9.被害者に過失があっても弁護士費用特約を利用できる
弁護士費用特約は「被害者に重過失」があると適用されないので「過失があったら利用できない」と思っている方がおられます。しかし通常程度の過失であれば弁護士費用特約を利用できます。保険会社が弁護士費用特約の利用に消極的な態度をとるケースもありますが、遠慮する必要はありません。
当事務所でも弁護士費用特約を利用して積極的に交通事故案件の受任を進めています。弁護士費用特約を適用できるかどうか分からない場合のご相談にも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。