Archive for the ‘千葉の交通事故弁護士コラム’ Category

高速道路上の交通事故の過失割合について

2020-08-03

高速道路上で交通事故が発生した場合、一般道とは「過失割合」の基準が異なります。

高速道路には信号も交差点もありませんし、すべての車が一定以上のスピードを出していて、下道とは状況が異なるからです。

 

今回は高速道路上の交通事故における過失割合について、弁護士が解説します。千葉県でも高速道路を利用される方はとても多いので、ぜひ知っておいて下さい。

 

1.高速道路の特殊性

高速道路上の事故で過失割合を算定するときには、「高速道路の特殊性」を理解しておくと役立ちます。まずは一般道と高速道路の違いを把握しましょう。

 

1-1.すべての車が一定以上のスピードを出している

一般道では「時速〇〇キロメートルまで」と「一定までの速度」しか出してはいけない「最高速度」の制限のみがありますが、高速道路上では「時速80キロメートル以上」など「最低速度」の制限があります。すべての車が一定以上のスピードで走っている点が特殊といえるでしょう。

 

1-2.駐停車が禁止されている

高速道路では、基本的に駐停車が禁止されます。道路で駐停車している車両があるとその過失割合が高くなります。

 

1-3.道路内の歩行が禁止されている

高速道路では道路内の歩行が禁止されているので、「歩行者」は存在しない前提です。それにもかかわらず歩行者がいて事故につながった場合、歩行者の過失割合は高くなります。

 

1-4.信号や交差点がない

一般道では交差点で交通事故が多発しますが、高速道路には信号や交差点はありません。その代わり「合流地点」における交通事故が比較的多くなっています。

 

2.高速道路上の事故の過失割合

高速道路上の交通事故の過失割合基準をみていきましょう。

2-1.合流地点の事故

高速道路上では「合流地点」で交通事故が頻発します。

合流地点で本線車と合流車が接触した場合、基本的な過失割合は「本線車:合流車=30:70」となります。

 

2-2.駐停車車両との追突事故

高速道路では駐停車が禁止されるので、駐停車車両が追突された場合には追突された車の過失割合が高くなります。

具体的な過失割合は、被追突車が駐停車していた理由によって異なります。

自分の責任がない事情で駐停車していた場合

被追突車が自分に責任のない事情でやむなく駐停車していた場合、事故に対する備えを行ったかどうかで過失割合が異なります。

三角表示板などを置いてきちんと事故の防止措置をとっていたら「追突車:被追突車=100:0」となります。

 

一方、自分に責任のない事情が原因であっても「退避できるのに退避しなかった場合」や「三角表示板を置かなかった場合」など対応に不備があれば「追突車:被追突車=80:20」になります。

 

自分に責任のある事情で駐停車していた場合

被追突車が事前の整備不良によるエンジントラブルや先行の交通事故など、自分に責任のある事情で駐停車していた場合、被追突車の過失割合が上がります。基本の過失割合は「追突車:被追突車=60:40」となります。

道路状況が視認不良であったり追い越し車線であったりすると「追突車:被追突車=50:50」となります。

 

2-3.前の車が急ブレーキをかけた追突事故

前方の車が急ブレーキをかけたために追突事故が発生した場合「追突車:被追突車=50:50」となります。

 

2-4.進路変更の際の事故

進路変更の交通事故では、通常走行車線から追い越し車線へ進路変更した場合の事故であれば「進路変更車:直進車=80:20」となります。

追い越し車線から通常走行車線へ進路変更する場合や3車線以上ある道路で通常走行車線間で進路変更する場合「進路変更車:直進車=70:30」となります。

 

2-5.歩行者との事故

高速道路上では歩行が禁止されています。それにもかかわらず歩行者が存在して接触事故が生じた場合の過失割合は「自動車:歩行者=60:40」となります。

 

実際に交通事故が発生した場合の過失割合は、さまざまな修正要素の適用によって上記と変わる可能性があります。

千葉県周辺で交通事故に遭って適正な過失割合を知りたい方は、お気軽に弁護士までご相談ください。

ひき逃げに遭った場合の対処方法

2020-07-27

歩行中や自転車乗車中に「ひき逃げ」に遭ってしまったら、混乱して頭が真っ白になってしまうものです。

まずは相手に賠償金を請求するためできるだけたくさんの証拠を保全して、すぐに警察を呼びましょう。

 

今回はひき逃げに遭った場合の対処方法について、弁護士が解説します。

 

1.ひき逃げ現場ですべきこと

ひき逃げに遭ったら、まずは以下のように対応しましょう。

1-1.相手の車両のナンバーを控える

ひき逃げ事故が発生したら、まずは加害者を特定しなければなりません。加害者が判明しなければ損害賠償請求も難しくなりますし、刑事事件で処罰を与えてもらうことも不可能だからです。

相手を特定するには、相手車両の「ナンバー」が重要ですので、正確に記録しましょう。写真はぶれて判読が困難になる可能性があるので、必ず「メモ」をとるようお勧めします。

 

1-2.相手の車両の特徴を記録する

ナンバー以外の相手車両の特徴も重要です。車種や色、傷や飾り、内装などできるだけ細かい部分まで記録しましょう。写真撮影とメモの両方で対応するようお勧めします。

1-3.目撃者を探す

ひき逃げが発生した場合、目撃証言が重要な役割を果たすケースが少なくありません。被害者が気づかなかったことを目撃者が把握している可能性もありますし、加害者が見つかった後、目撃証言によって相手の嘘を崩せるケースもあります。

周囲に事故を見ている人がいたら、声をかけて後ほど協力してくれるようお願いし、連絡先を聞いておきましょう。目撃者を後日に探すのは簡単ではないので、できるだけその場で確保する必要があります。

 

1-4.現場の状況を記録する

軽傷で自力で動けそうなら、事故現場の状況を記録するようお勧めします。スマホで写真撮影したり、気づいたことをメモしたりしましょう。

 

1-5.すぐに警察を呼ぶ

ひき逃げ被害に遭ったら、必ず警察を呼んでください。警察を呼ばないと「交通事故証明書」が発行されません。また加害者を探すのも警察の役割ですし、警察が事故現場を検証したら「実況見分調書」が作成され、後日事故状況を証明するのに役立ちます。

軽傷で急いでいてもその場を立ち去らずに110番通報してください。

 

1-6.周囲の人に助けを求める

自分では動けないほどのけがをしたら、周囲の人に助けを求めましょう。「ひき逃げです!」と言って周囲の人に加害車両の特徴を記録してもらい、応急処置や救急車の手配をお願いしましょう。

 

2.その後の対応

事故現場での対応が一段落したら、次のように行動してみてください。

2-1.病院へ行く

軽傷の場合、あえて病院に行かない方もおられますが必ず病院に行って診察と検査を受けるべきです。気づいていなくても実はけがをしているケースが少なくないためです。

またけがをしても病院に行かなければ入通院慰謝料も払ってもらえなくなります。

受診科がわからなければ「整形外科」に行ってみてください。

2-2.保険会社へ連絡

ひき逃げに遭ったら、自分の加入している保険会社で「人身傷害補償保険」「搭乗者傷害保険」「無保険車保険」などを利用できる可能性があります。「弁護士費用特約」を適用できれば無料で弁護士に対応を依頼できます。

自分の保険会社に連絡を入れてひき逃げされた事実や状況を伝え、利用できる保険がないか相談しましょう。

 

2-3.政府保障事業の利用

ひき逃げで加害者が不明な状態でも「政府保障事業」を利用すれば自賠責保険と同等の「てん補金」を受け取れます。治療費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料などが自賠責基準で計算されて払われます。

お近くの損害保険会社の窓口で申請用紙をもらい、政府保障事業の手続きを進めましょう。

 

2-4.加害者が見つかったら賠償金を請求

加害者が見つかったら、加害者の保険会社や加害者本人へ賠償金の請求ができます。

加害者が任意保険に入っていれば保険会社の担当者と示談交渉を進め、保険に入っていなければ加害者本人へ請求を行いましょう。

 

ひき逃げ被害に遭ったとき、お一人で対応を進めるのは不安なものです。不利益を最小限に止めるには弁護士によるサポートが必要といえるでしょう。千葉でひき逃げなどの交通事故に遭ってお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

ドライブレコーダーは裁判の証拠になるのか?

2020-07-21

最近ではドライブレコーダーの普及も随分と進み、千葉県内の方でも設置している方が多いでしょう。

交通事故が発生したとき、ドライブレコーダーの画像が裁判などの「証拠」になるのでしょうか?

 

今回はドライブレコーダーの証拠価値や必要性について、弁護士が解説します。

 

1.ドライブレコーダーの証拠価値

「ドライブレコーダーはデジタルデータで信用性がないので、裁判の証拠にはならない」と考えている方もおられます。

しかし、ドライブレコーダーの画像や動画は裁判の証拠として使えます。実際にドライブレコーダーの画像が裁判所の判断に決定的な影響を及ぼした事例も少なくありません。

 

ドライブレコーダーとは、前方や後方などの車両の周囲の状況を録画できる記録装置です。

前方のみを録画できるもの、前方と後方の両方を録画できるもの、常に録画を続けるもの、衝突を感じたときのみ録画するものなど、いろいろなタイプがあります。

 

ドライブレコーダーの動画や画像記録は、事故当時の状況を正確に写し取ったものなので、基本的には信用性の高い証拠となります。たとえばドライブレコーダーにはっきり「信号の色」が写っていたら、当時者の説明内容が異なっていてもどちらが正しいか明らかになるでしょう。

 

自分の車に搭載されているドライブレコーダーだけではなく、相手の車のドライブレコーダーの提出を求め、そこから事故状況を把握できる可能性もあります。

 

2.ドライブレコーダーの証拠提出方法

ドライブレコーダーの記録を裁判所に提出する場合、注意点もあります。

まず「一部だけ切り取って提出」すると「編集している、改ざんしている」などと主張される可能性があります。そういった場合、該当部分だけではなく、映像全体のコピーを合わせて提出して対応します。

 

また裁判所が判断するときには基本的に警察の作成した「実況見分調書」を重視する傾向があります。ドライブレコーダーについては「必要に応じて採用する」扱いとなっており、提出しても必ず採用してもらえるとは限りません。

 

一方で、過失割合が重要な争点となっている事案では裁判官からドライブレコーダーの提出を促される可能性もあります。また相手方が「文書提出命令」を申し立てれば、裁判所からドライブレコーダーの提出を命じられます。

 

このようにドライブレコーダーの裁判における取扱いは状況によりかなり異なってくるので、その場に適した対応が要求されます。

 

3.ドライブレコーダーの必要性

ドライブレコーダーは事故防止に役立ちますし、事故が発生したときに有利な資料となります。

3-1.保険会社に提出して事故の状況を明らかにできる

ドライブレコーダーの記録が問題になるシーンは裁判だけではありません。保険会社との示談交渉でも事故の状況が問題になったらドライブレコーダーで立証できます。

保険会社の場合、通常はドライブレコーダー本体に差し込んであるSDカードやUSBメモリを提出すれば、中身を確認してもらえます。

相手と言い分が食い違っていても、ドライブレコーダーの記録でこちらが正しいこと証明すれば、示談を有利に進められるでしょう。

 

3-2.当て逃げやひき逃げにおける犯人特定

当て逃げやひき逃げに遭ったら、犯人を特定しなければなりません。その場合にもドライブレコーダーの記録が役立つケースが多々あります。車の近くにいないときに当て逃げされて目撃者もいない場合には、ドライブレコーダーの画像のみが頼りとなるでしょう。

映像データに相手のナンバーや車の特徴、人物像などが写り込んでいたら、犯人を突き止めるのが容易になります。警察に提出し、捜査に役立ててもらいましょう。

 

ドライブレコーダーがあると、交通事故が起こったときにスムーズな解決につながりやすくなります。「弁護士費用特約」と並んで交通事故対策に重要なので、ぜひ設置してみてください。

自損事故の注意点

2020-07-13

「自損事故」を起こしてしまったら、どのように対応すればよいかご存知でしょうか?

自損事故とは「単独の交通事故」です。通常の交通事故とは異なり「事故の相手」がいないので相手に賠償金の請求ができません。

 

今回は自損事故に遭った場合の正しい対処方法について、千葉の弁護士が解説します。

 

1.そもそも自損事故とは?具体例も含めて確認

自損事故とは「自分で自分に損害を発生させた交通事故」といった意味合いで、わかりやすくいうと「単独の交通事故」です。

たとえば以下のようなケースが自損事故の典型例です。

  • ガードレールに衝突
  • 家や施設、街路樹などに衝突
  • 溝に落ちた
  • 農道などで道路脇の田畑へ転落

 

自損事故の特徴は「相手がいない」ことです。通常の交通事故では、事故によって発生した治療費や車の修理費用などの損害賠償を相手に請求できますが、自損事故の場合には請求できる相手が存在しません。発生した損害は基本的に自分で填補しなければならないのです。

 

2.自損事故に遭った場合の対処方法

自損事故を起こしてしまったとき、どのように対応すればよいか、流れをみていきましょう。

2-1.警察に報告する

まずは必ず警察に報告しましょう。自損事故の場合「自分しかかかわっていないから警察に報告しなくて良い」と考える方がいますが、それは間違いです。道路交通法上、交通事故の当事者は警察に事故の内容や場所、発生時刻などを報告しなければならないと定められています(道路交通法72条1項後段)。警察へ報告しないと罰則が適用される可能性もあります。

また警察に報告しないと「交通事故証明書」が作成されません。この書類がないと交通事故が起こった事実を証明できず、保険金の請求が困難となってしまう可能性もあります。

 

2-2.警察に事故の状況を説明

警察が到着したら事故の状況を説明しましょう。

2-3.病院に行く

現場対応が終わったら、必ず病院に行きましょう。自覚がなくてもけがをしている可能性がありますし、以下の項目で説明する通り、けがをしていれば保険金や損害賠償金を請求できる可能性もあるからです。

 

3.自損事故と保険金

自損事故の場合、相手がいないので保険金を請求できないと思われがちですが実際には「自分の保険」を適用できるケースが少なくありません。自動車保険に以下のような保険がついていたら利用できるので、保険会社に申請しましょう。

  • 人身傷害補償保険

被保険者や契約自動車に乗っていた人がけがをしたり死亡したりしたときに適用される保険です。治療費、休業損害、慰謝料や逸失利益などが支払われます。

  • 搭乗者傷害保険

被保険者や契約自動車に乗っていた人がけがをしたり死亡したりしたときに適用される保険です。入院1日〇〇円、通院1日〇〇円などの「定額計算」で保険金が支払われます。

  • 自損事故保険

自損事故を起こした人がけがをしたり死亡したりしたときに適用される保険です。金額は人身傷害補償保険より低くなるのが通常で、人身傷害補償保険と重複する場合には人身傷害補償保険のみの適用となります。

  • 車両保険

自損事故で車両を損傷したときに適用される保険です。車両の修理費用等の物損について補償を受けられますが「免責額」があり、5万円程度までは自己負担となるケースが多数です。

 

4.自損事故で賠償金を請求できる可能性

自損事故では加害者がいないので賠償請求できないと思われがちですが、損害賠償請求できるケースがあります。それは「施設や道路が適切に管理されていなかった場合」です。

道路がでこぼこになっていたり陥没していたりしても放置されていた場合、道路上に危険物が放置されていた場合、施設の不適切な管理状況が原因で事故につながった場合などには、管理者や所有者へ損害賠償請求が可能です。治療費や休業損害、慰謝料などの発生した損害を管理者や所有者から支払ってもらえます。

 

自損事故に遭ったとき、賠償金や保険金の請求が可能か迷ってしまう方も多いでしょう。お困りでしたら交通事故の専門家が対応しますので、お気軽に弁護士までご相談ください。

【解決事例】過失割合 30:70→5:95 への修正に成功

2020-07-10

事故態様

本件事故は、X氏が運転する被害車両が、千葉市若葉区にある片側二車線道路の右車線を走行していたところ、やや前方の左車線(交差点手前の左折専用レーン)を走行していたY氏運転の加害車両が交差点に差しかかったところで、突如、右車線に車線変更したため、右車線を直進していた被害車両の左側面後方に加害車両の前方右側が衝突したという物損事故です。

X氏が無過失を主張したのに対し、Y氏の保険会社は、X氏はクラクションを鳴らさなかったのでX氏にも過失があるとして、X30:Y70の過失割合を提示し、その後、X20:Y80の過失割合までなら譲歩すると言って来たとのことで、この段階で当事務所に相談に来られました。

 

当事務所による解決

一般的に、進路変更車と後続直進車との事故における基本過失割合は、別冊判例タイムズ【153】により、後続直進車30:進路変更車70とされています。

ただし、【153】の基準には、基本過失割合の修正要素があり、進路変更禁止場所での進路変更の場合には、後続直進車の過失割合が20%マイナスされ、後続直進車10:進路変更車90に修正することが可能とされています。

加害車両が走行していたのは左折レーンであり、車線変更禁止場所での右車線への進路変更に該当しますので、【153】に単純にあてはめたとしても、過失割合はX10:Y90となるはずです。保険会社の提示は全く当を得ないものと言わざるを得ませんでした。

 

さらにドライブレコーダーで確認したところ、加害車両は、交差点の手前で突然右ウィンカーを点滅させ、一旦やや左側に寄った後、交差道路の方向に右折しようとする動きをしていたこと、このとき既に被害車両は右車線を直進して交差点内に入りかけていたことが分かりました。すなわち、加害車両は、左折レーンからそのまま大回りで交差道路に右折進入しようとして、加害車両から見れば進路前方に位置する被害車両に衝突しているのです。このような事故態様からすれば、Y氏に著しい前方不注意、著しい過失があったことは明らかでした。【153】では、著しい過失は後続直進車の過失を10%のマイナスさせる修正要素とされていますので、これを単純にあてはめるとX氏の過失は0ということになります。

ただし、裏を返せば、ドライブレコーダーの映像と同じ景色がX氏にも見えていたのであれば、X氏からも加害車両が被害車両の進行方向に進入する動きをしていることが予見できるはずであり、事故を回避するための何らかの措置をとらなかったという意味では、X氏にも若干の過失が認められてしまうことは否定できません。

 

そこで、最終的には、5%だけ譲歩し、X5:Y95で示談することとなりました。

ロードバイクの交通事故における注意点

2020-07-06

自転車を趣味とされる方は、競技用の「ロードバイク」を好んで運転するケースがよくあります。ただロードバイクは通常のシティサイクルよりスピードが速く、車道を走行するため交通事故に遭いやすくなっています。

 

今回はロードバイクでよくある交通事故の原因と対処方法を千葉の弁護士が解説します。

 

1.ロードバイクでよくある交通事故

ロードバイクとは競技用自転車のことです。きちんとブレーキやランプなどの装置がついているものであれば、公道を走っても違法ではありません。

ただロードバイクは最高速度が時速30キロメートルにもなり急に止まりにくく、ライダーが前傾姿勢になって周囲を確認しにくいなど交通事故につながりやすい特徴をもっています。

 

ロードバイクでよくあるのは以下のような交通事故です。

 

1-1.巻き込み事故

四輪車が左折する際に後ろから来たロードバイクを巻き込むパターンです。ロードバイクの速度が速いため、四輪車が「まだ大丈夫だろう」と思って左折するとロードバイクが追いついて巻き込まれてしまいます。

1-2.右折時の事故

ロードバイクが右折する際にも交通事故が発生しやすくなっています。自転車や原付が右折するときには「二段階右折」しなければなりませんが、減速や停止を嫌って車両と同様に1回で右折してしまうロードバイクがあるためです。車にしてみたら、予想外にロードバイクが視界へ飛び出してくることになるので、接触してロードバイクが転倒します。

1-3.信号無視

ロードバイクに乗る人は減速や停車を嫌って信号無視してしまうケースがあります。すると交通事故につながりますし、バイク側の過失割合を高くされてしまうので、信号無視は絶対にしてはなりません。赤信号はもちろんのこと、黄信号でも可能な限り停車しましょう。

 

2.ロードバイクで事故に遭ったときの対処方法

ロードバイクで交通事故に遭ったら、以下のように対応しましょう。

2-1.すぐに警察を呼ぶ

ロードバイクで交通事故に遭ったら、必ずすぐに警察を呼びましょう。交通事故の当事者が警察を呼ぶのは、道路交通法に定められた義務です(道路交通法72条1項後段)。

また警察を呼ばないと「交通事故証明書」が作成されず、保険金の請求などをしにくくなってしまう可能性もあります。加害者が積極的に警察に電話しない場合、自分で110番通報して警察へ事故の報告をしましょう。

2-2.余裕があったら自転車などを片付ける

もしも余裕があれば、ロードバイクを片付けたりして後続車による二次被害を避けましょう。倒れて動けなければそういった対応は不要です。

2-3.実況見分に対応する

警察がやってきたら実況見分に立ち会って事故の状況を説明しましょう。

2-4.相手と連絡先を交換する、証拠を保存する

警察を待っている間や実況見分の間、事故の相手と氏名や連絡先を交換しましょう。自分でも事故現場を撮影などして証拠化しておくと後に役立つ可能性があります。

2-5.病院に行く

ロードバイクに乗っていて交通事故に遭ったら、大けがをしてそのまま病院に担ぎ込まれる可能性があります。そうでなくても事故後は必ず病院を受診して検査や治療を受けましょう。「軽傷だから」などと思って放置すると、予想外に大きなけがをしていて治療が遅れたり後遺障害認定を受けられなくなったりするおそれがあります。

 

3.ロードバイク事故と後遺障害

ロードバイクで四輪車相手に交通事故に遭うと、ライダーの身体が大きく傷ついて後遺障害が残るケースも少なくありません。その場合、自賠責で「後遺障害認定」を受ける必要があります。後遺障害が認定されたら高額な「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」が支払われ、不自由な身体になったことへの補償を受けられます。

 

ただし後遺障害認定の手続きには医師との連携や必要十分な検査の実施、資料の提出などの専門的な対応が要求されます。ご自身で対応するよりも弁護士に依頼した方が、より確実に高い等級の認定を受けられる可能性が高くなるでしょう。

 

千葉県でロードバイクの事故でおけがをされた方がおられましたら、お気軽にご相談ください。

【解決事例】弁護士に委任して適正な賠償額で示談

2020-07-03

交通事故後、きちんと保険会社から治療費の支払もなされ、過失割合についても納得できる割合を提示された場合、わざわざ弁護士に委任するまでもないと思われるかもしれません。

しかし、保険会社との手続をご自身でなさるのではなく、弁護士に委任するだけで、裁判所の基準に近い適正な賠償額を受け取ることができますので、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。

以下では、交通事故被害者の方で、保険会社の対応に特に不満はなかったものの、当事務所にご依頼いただいた結果をいくつかご紹介させていただきます。

 

K氏(会社員)

示談金額:59万円
事  案:追突事故
事前提示:なし
過失割合:0%
通院期間:3.5か月
治療日数:50日
治 療 費:支払済
交 通 費:支払済
後遺障害:なし
慰 謝 料:裁判所基準(赤い本別表Ⅱ)の95%で示談

 

Y氏(会社員)

示談金額:70万円
事   案:自転車で道路左側走行中,後続の左折自動車による巻き込み事故
事前提示:なし
過失割合:10%
通院期間:6か月
治療日数:99日
治 療 費:支払済
交 通 費:支払済
後遺障害:なし
慰 謝 料:裁判所基準(赤い本別表Ⅱ)の95%で示談

 

W氏(会社員)

示談金額:80万円
事  案:後退事故
事前提示:なし
過失割合:0%
通院期間:5.5か月
治療日数:123日
治 療 費:支払済
交 通 費:支払済
後遺障害:なし
慰 謝 料:裁判所基準(赤い本別表Ⅱ)の95%で示談

 

S氏(会社役員)

示談金額:82万円
事  案:追突事故
事前提示:なし
過失割合:0%
通院期間:5.4か月
治療日数:53日
治 療 費:支払済
交 通 費:支払済
後遺障害:なし
慰 謝 料:裁判所基準(赤い本別表Ⅱ)の97%で示談

 

U氏(会社員)

示談金額:90万円
事  案:追突事故
事前提示:なし
過失割合:0%
通院期間:6.13か月
治療日数:104日
治 療 費:支払済
交 通 費:支払済
後遺障害:なし
慰 謝 料:裁判所基準(赤い本別表Ⅱ)の99%で示談

 

N氏(個人事業主)

示談金額:180万円
事  案:追突事故
事前提示:なし
過失割合:0%
通院期間:7か月
治療日数:106日
治 療 費:支払済
交 通 費:支払済
休業損害:経費算入額で多少の争いあり
後遺障害:なし
慰 謝 料:裁判所基準(赤い本別表Ⅰ)の95%で示談

 

K氏(無職・高齢者)

示談金額:520万円
事  案:歩行中に自動車に接触して転倒
事前提示:なし
過失割合:20%
通院期間:入院10日 通院13.16か月
治療日数:75日
治 療 費:支払済
交 通 費:支払済
後遺障害:10級10号
慰 謝 料:傷害慰謝料、後遺症慰謝料とも裁判所基準(赤い本別表Ⅰ)の100%で示談

交通事故後、めまいや耳鳴りが止まらない場合の対処方法

2020-06-29

交通事故に遭うと、「めまい」や「耳鳴り」の辛い症状が続いてしまうケースがよくあります。これらの症状でも後遺障害認定を受けられる可能性があるので、事故後に症状が治まらないようであれば適切な検査を受けて後遺障害認定の手続きを進めましょう。

 

今回は交通事故後のめまいや耳鳴りの原因や対処方法を千葉の弁護士が解説します。

 

1.めまいや耳鳴りの原因

交通事故後のめまいや耳鳴りの原因と考えられる傷病には以下のようなものがあります。

1-1.むちうち

追突事故などに遭ってむちうち(頸椎の損傷)となった場合、めまいや耳鳴りが発生する可能性があります。むちうちとは外的な衝撃によって首の骨である「頸椎」が損傷を受ける傷病で、頸椎捻挫や外傷性頸部症候群、椎間板ヘルニアなどと診断されるケースが多数です。

一般的なむちうちでは首や肩、背中の痛みやコリなどが主症状となりますが、めまいや耳鳴りを伴うケースがあります。

 

1-2.バレ・リュー症候群

バレ・リュー症候群は、交通事故などの外傷をきっかけに自律神経系が乱れ身体中にさまざまな症状が発生する傷病です。むちうちの1種に分類されることもあります。

身体の平衡を保つ自律神経が正常に働かなくなるので、体温調節や発汗作用がうまく機能しなくなったり食欲不振、下痢、動悸息切れ、頭痛などが発生したり倦怠感、疲労感が強くなったりします。

めまいや耳鳴りを伴うケースも多数です。

 

1-3.脳脊髄液減少症

脳脊髄液減少症は、外的な作用によって脳を覆う硬膜やくも膜に穴が空き、中の髄液が漏れ出してしまう傷病です。膜によって保たれている圧のバランスが乱れるため、強い頭痛やめまい・耳鳴りなどの症状が発生します。

 

1-4.軽度外傷性脳挫傷

「脳挫傷」となった場合にもめまいや耳鳴りが発生する可能性があります。軽微な場合には被害者が「脳に傷害を負った」と意識しにくく、MRIなどの画像撮影をしても写りにくいため見過ごされるケースがあり注意が必要な症状です。

 

2.めまいや耳鳴りの治療方法

交通事故後にめまいや耳鳴りが止まらないなら、放置せずに必ず適切な診療科で治療を受けましょう。

  • むちうちの場合

むちうちの治療は「整形外科」で行います。

  • バレ・リュー症候群の場合

バレ・リュー症候群の場合には「ペインクリニック」の受診が有効です。

  • 脳脊髄液減少症や脳挫傷の場合

これらの脳損傷の場合、脳神経外科を受診しましょう。

  • 耳鼻咽喉科

めまいや耳鳴りが続く場合、耳鼻咽喉科で適切な治療や手術を受けられる可能性もあります。

 

まずは自分の症状に応じた病院を受診し、医師の指示に従って治療を進めましょう。

どこの病院に行けばよいか分からない場合、一番症状が近いと思われる傷病に対応した病院を受診してみてください。間違っていれば医師から適切な診療科を紹介してもらえるのが通常です。

 

3.めまいや耳鳴りで認定される後遺障害の等級

交通事故後、治療を終了してもめまいや耳鳴りの症状が残った場合、後遺障害認定される可能性があります。

3-1.12級か14級となるケースが多い

めまいや耳鳴りが残った場合に認定される等級は、多くのケースで12級または14級となります。

 

3-2.12級となる場合

12級となるのは椎間板ヘルニアなどの傷病をMRIで医学的に証明できる場合、耳鳴りなら「聴力検査(ピッチマッチ検査とラウドネスバランス検査)」で耳鳴りを医学的に証明できる場合です。後遺障害慰謝料は290万円程度となります。

3-3.14級となる場合

MRIや聴力検査などで症状を証明できなくても、そういった症状があることを合理的に説明できる状況であれば14級が認定されます。後遺障害慰謝料は110万円程度です。

 

4.めまいや耳鳴りで適正な賠償金を受け取るために

めまいや耳鳴りの後遺障害が残ったら、まずは後遺障害認定を受けることが第一です。認定されなければ後遺障害慰謝料も逸失利益も受け取れず、賠償金が大きく下がってしまいます。

 

検査結果などの資料を集めて適切に後遺障害認定の手続きを進めるには、弁護士によるサポートが必要です。当事務所では交通事故の被害者様へのサポートに力を入れて取り組んでいますので、めまいや耳鳴り、むちうちなどの症状にお困りの方はぜひとも一度、ご相談ください。

【解決事例】43万5600円の増額に成功(慰謝料)

2020-06-26

交通事故の概要

被害者が千葉市内の道路を自転車で直進していたところ、路外の駐車場に進入するために右折して来た相手方の自動車に衝突され、右膝打撲等の傷害を負ったもの。

治療期間6か月(実通院日数30日)
治 療 費:支払済み
休業損害:なし
後遺障害:なし
過失割合:判例タイムズ【301】により被害者10:加害者90(争いなし)

保険会社から26万4400円の提示があったため、弁護士に相談

弁護士による解決

保険会社からの提示額は、自賠責保険の基準で計算されており、傷害慰謝料(通院慰謝料)の増額が見込まれました。

傷害慰謝料:4200円×30日×2=25万2000円

但し、保険会社の提示額は自賠責基準のため、過失相殺はなし。

これに対し、裁判所基準で計算すると、通院期間6か月の場合の傷害慰謝料(通院慰謝料)は89万円となります(「損害賠償額算定基準」(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部・いわゆる「赤い本」の別表Ⅱ)。

そこで、裁判所基準で交渉し、最終的には訴外であることを考慮して9割に相当する80万1000円で合意することができました。

<損害目録>
①治療費50万3660円
②交通費 1万2400円
③慰謝料80万1000円
④合計131万7060円
⑤過失相殺(④の1割)13万1706円
⑥既払額(治療費)50万3660円
⑦④-⑤-⑥=68万1694円

最後に端数の切り上げを交渉し、70万円で示談が成立しました。

保険会社の事前提示額から43万5600円の増額となりました。

レンタカーで交通事故を起こしたときの責任

2020-06-22

レンタカーを利用中に交通事故を起こしたら、誰が賠償責任を負うのでしょうか?

 

レンタカーの場合、通常はレンタカー会社の保険が適用されるのでドライバーが全額を自己負担することはありません。ただしドライバーにも一部賠償義務が発生しますし、稀に保険が適用されないケースも存在します。

 

今回はレンタカーで交通事故を起こした場合の責任について、千葉の弁護士が解説します。

 

1.レンタカー会社の保険が適用される

交通事故を起こして相手にけがをさせてしまったり相手の車を損傷したりしたら、賠償金を払わねばなりません。レンタカーの場合、誰が賠償金を負担するのでしょうか?

 

実はレンタカーには「レンタカー会社が入っている自動車保険」がついています。多くの場合以下の4種類の保険が適用されます。

  • 対人賠償責任保険

被害者(事故の相手方)に発生した人身損害(けがや後遺障害、死亡についての損害)を保障する保険です。多くのケースで「無制限」となっています。

  • 対物賠償責任保険

被害者に発生した物損(車や施設の修理費用など)を保障する保険です。無制限となっているケースが多数です。

  • 車両保険

レンタカー自体に発生した物損(修理費用など)を保障する保険です。車の時価までが保障されるケースが多数です。

  • 人身傷害保険

レンタカーのドライバーや同乗者のけがや後遺障害、死亡などの人身損害を保障する保険です。1事故について3,000万円が限度額とされるケースが多数です。

 

ドライバーが別途自動車保険に入っていなくても上記のような保険が適用されるので、基本的に自己負担の必要はありません。

 

2.免責額と免責保証について

 

2-1.免責額とは

レンタカー会社の自動車保険では、ドライバーの負担額が0になるとは限りません。

対物賠償責任保険と車両保険に「免責額」が設定されているためです。免責額とは「その金額まではドライバーが自己負担しなければならない金額」です。

多くの場合、対物賠償責任保険も車両保険もそれぞれ免責額が「5万円」とされています。バスやトラックなどの大型車両をレンタルした場合には車両保険の免責額が10万円とされるケースが多数です。

以上より結局、相手に対する物損の賠償金はドライバーが5万円は負担しなければなりませんし、レンタカーの修理代についても最低5万円は負担する必要があります。

 

2-2.免責保証制度

レンタカーで交通事故を起こした場合、結局10万円は負担しなければならない可能性が高いのですが、これを0にする方法があります。それは「免責保証制度」です。

免責保証制度とは、一定金額を払うことによって免責額をなくしてもらう制度で「CDW」ともよばれます。

通常のレンタカー代に1,000円程度(24時間あたり)足せば免責保証してもらえるケースが多いので、心配な場合にはこれをつけておくと良いでしょう。

 

3.営業補償について

レンタカーで交通事故を起こした場合、営業補償にも注意が必要です。営業補償とは、レンタカーが事故車となって営業に使えなくなった損失に対する補償で「NOC」ともよばれます。

事故車となったレンタカーを自走できる場合には2万円程度、自走できずレッカーが必要となった場合には5万円程度の営業補償が必要となるケースが多数です。

営業補償については免責保証制度を適用しても免除されないので注意しましょう。

 

4.レンタカー会社の保険が適用されないケースについて

以下のような場合、レンタカー会社の自動車保険が適用されない可能性が高くなります。

  • 契約時に申請していない人が運転した
  • レンタカーの利用期限過ぎても返さずに延滞し、延滞中に事故を起こした
  • 飲酒運転や無免許運転をした          
  • 事故を警察に報告しなかった(事故証明書が発行されない)

 

レンタカーを利用するとき、上記のようなルール違反をしてはいけません。

 

なおドライバー本人が自家用車の自動車保険に加入しており「他車運転特約」をつけていれば、そちらを適用して賠償金を支払ったり自分に発生した損害の補償を受けたりできます。

ただ他車運転特約を利用すると保険等級が3等級落ちて次年度からの保険料が高くなるので、慎重に判断した方が良いでしょう。

 

交通事故に関してお悩みや疑問、不安がありましたらお気軽に弁護士までご相談ください。

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