高速道路上の交通事故の過失割合について

高速道路上で交通事故が発生した場合、一般道とは「過失割合」の基準が異なります。

高速道路には信号も交差点もありませんし、すべての車が一定以上のスピードを出していて、下道とは状況が異なるからです。

 

今回は高速道路上の交通事故における過失割合について、弁護士が解説します。千葉県でも高速道路を利用される方はとても多いので、ぜひ知っておいて下さい。

 

1.高速道路の特殊性

高速道路上の事故で過失割合を算定するときには、「高速道路の特殊性」を理解しておくと役立ちます。まずは一般道と高速道路の違いを把握しましょう。

 

1-1.すべての車が一定以上のスピードを出している

一般道では「時速〇〇キロメートルまで」と「一定までの速度」しか出してはいけない「最高速度」の制限のみがありますが、高速道路上では「時速80キロメートル以上」など「最低速度」の制限があります。すべての車が一定以上のスピードで走っている点が特殊といえるでしょう。

 

1-2.駐停車が禁止されている

高速道路では、基本的に駐停車が禁止されます。道路で駐停車している車両があるとその過失割合が高くなります。

 

1-3.道路内の歩行が禁止されている

高速道路では道路内の歩行が禁止されているので、「歩行者」は存在しない前提です。それにもかかわらず歩行者がいて事故につながった場合、歩行者の過失割合は高くなります。

 

1-4.信号や交差点がない

一般道では交差点で交通事故が多発しますが、高速道路には信号や交差点はありません。その代わり「合流地点」における交通事故が比較的多くなっています。

 

2.高速道路上の事故の過失割合

高速道路上の交通事故の過失割合基準をみていきましょう。

2-1.合流地点の事故

高速道路上では「合流地点」で交通事故が頻発します。

合流地点で本線車と合流車が接触した場合、基本的な過失割合は「本線車:合流車=30:70」となります。

 

2-2.駐停車車両との追突事故

高速道路では駐停車が禁止されるので、駐停車車両が追突された場合には追突された車の過失割合が高くなります。

具体的な過失割合は、被追突車が駐停車していた理由によって異なります。

自分の責任がない事情で駐停車していた場合

被追突車が自分に責任のない事情でやむなく駐停車していた場合、事故に対する備えを行ったかどうかで過失割合が異なります。

三角表示板などを置いてきちんと事故の防止措置をとっていたら「追突車:被追突車=100:0」となります。

 

一方、自分に責任のない事情が原因であっても「退避できるのに退避しなかった場合」や「三角表示板を置かなかった場合」など対応に不備があれば「追突車:被追突車=80:20」になります。

 

自分に責任のある事情で駐停車していた場合

被追突車が事前の整備不良によるエンジントラブルや先行の交通事故など、自分に責任のある事情で駐停車していた場合、被追突車の過失割合が上がります。基本の過失割合は「追突車:被追突車=60:40」となります。

道路状況が視認不良であったり追い越し車線であったりすると「追突車:被追突車=50:50」となります。

 

2-3.前の車が急ブレーキをかけた追突事故

前方の車が急ブレーキをかけたために追突事故が発生した場合「追突車:被追突車=50:50」となります。

 

2-4.進路変更の際の事故

進路変更の交通事故では、通常走行車線から追い越し車線へ進路変更した場合の事故であれば「進路変更車:直進車=80:20」となります。

追い越し車線から通常走行車線へ進路変更する場合や3車線以上ある道路で通常走行車線間で進路変更する場合「進路変更車:直進車=70:30」となります。

 

2-5.歩行者との事故

高速道路上では歩行が禁止されています。それにもかかわらず歩行者が存在して接触事故が生じた場合の過失割合は「自動車:歩行者=60:40」となります。

 

実際に交通事故が発生した場合の過失割合は、さまざまな修正要素の適用によって上記と変わる可能性があります。

千葉県周辺で交通事故に遭って適正な過失割合を知りたい方は、お気軽に弁護士までご相談ください。

 

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