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保険会社が弁護士費用特約の適用を拒否!被害者の過失割合が高いと特約を使えないの?

2020-11-26

弁護士費用特約を利用すると、保険会社が弁護士費用を出してくれるので被害者の負担が大きく減ります。無料や少額で弁護士に示談交渉や裁判を依頼できるので、依頼者にとっては多大なメリットがあるといえるでしょう。

 

一般に弁護士費用特約は「被害者の過失割合が高いと利用できない」と思われている傾向がありますが、実際にはそうとは限りません。

 

今回は被害者の過失割合が高いと弁護士費用特約を利用できないのか、解説します。自動車保険に弁護士費用特約をつけているのに保険会社から「特約を使えないかもしれません」と言われて悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.弁護士費用特約を使えないケースとは

1-1.弁護士費用特約を適用すると弁護士費用を払わなくて良い

弁護士費用特約とは、一定限度額までの弁護士費用を保険会社が負担してくれる制度です。

  • 弁護士に相談するときの相談料
  • 加害者と示談交渉や裁判をするときの着手金報酬金、実費、日当など

こういった民事的な対応にかかる費用はもちろんのこと、最近では一部の保険会社で「刑事事件にも適用できる弁護士費用特約」のサービスも開始されています。

 

1-2.弁護士費用特約を使えないケースとは

ただし弁護士費用特約には「適用条件」があります。以下のような場合には、特約を利用できません。

  • 被害者に故意や重大な過失がある
  • 無免許運転、飲酒運転、危険運転
  • 権利がないのに自動車を運転した
  • 天変地異による損害
  • 適切な方法で乗車していなかった場合

 

保険会社との約款では「被害者が故意に事故を起こした場合や重過失がある場合」に弁護士費用特約を利用できないとされているのが通常です。

実際に、被害者に過失があるケースで保険会社に弁護士費用特約の利用を申し出ると、消極的な対応をされる例が少なくありません。

 

1-3.過失があっても弁護士費用特約を利用できる

実際には、被害者に過失があってもほとんどのケースで弁護士費用特約を適用できます。被害者側の過失割合が高く、6割、7割程度でも弁護士費用特約は「使える」と考えましょう。

 

被害者の過失が高くて特約を適用できないのは「被害者の過失割合が100%」の場合です。たとえば一方的に追突した場合、センターオーバーして相手に接触した場合、相手が信号を守っているのに一方的に赤信号で飛び出した場合などには弁護士費用特約を使えないと考えましょう。飲酒運転、薬物摂取状態で運転していた場合、闘争行為や犯罪行為、自殺行為などをした場合にも特約の利用ができません。

 

こういった「極端に被害者が悪いケース」以外は、基本的に弁護士費用特約を利用できると考えて大丈夫です。

 

2.保険会社から拒絶されても弁護士費用特約を使える可能性がある

被害者側に過失があるときに保険会社へ弁護士費用特約の利用を打診すると「特約は使えないかもしれません」などと消極的な対応をされるケースが散見されます。このように言われると「過失割合が高いから特約を利用できないのだ」と考えて諦めてしまう被害者も少なくありません。

本当は、過失割合があっても多くのケースで弁護士費用特約を適用できるので、あきらめなくて良いのです。保険会社側へ「特約を利用できるはずです」と主張して、適用してもらいましょう。

 

疑問があるなら弁護士に相談しよう

自分で弁護士費用特約の適用を求めて交渉しても保険会社が納得しない場合や自分で交渉するのが苦痛な方は、弁護士に相談してみてください。弁護士が保険会社に打診すると、すんなり弁護士費用特約の適用が認められるケースがよくあります。

 

せっかく弁護士費用特約をつけているのに「使えない」という思い込みで利用しないのは大変にもったいないといえます。「本当は弁護士費用特約を使えるのでは?」と少しでも疑問をお持ちでしたら弁護士が状況をお伺いしてアドバイスや保険会社との交渉をいたしますので、是非とも一度ご相談ください。

交通事故で労災申請する流れや労災に該当するケースを解説

2020-10-28

仕事中や通勤途中で交通事故に遭ったら「労災」となって労災保険を適用できます。

労災保険を使うとさまざまなメリットを得られるので、「労災」に該当する状況ならぜひとも利用しましょう。

 

今回は交通事故が労災に該当するケースや労災申請の流れを解説します。

業務中、通勤退勤途中に事故に遭われた方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.交通事故が労災に該当するケース

まずはどういったケースで交通事故が労災に該当するのか、みてみましょう。

1-1.労災とは

労災とは、「業務を原因として、あるいは通勤退勤途中に労働者が病気、けがをしたり障害が残ったり死亡したりしたこと」です。

つまり、仕事中や仕事が原因で病気やけがをした場合、通勤退勤途中にけがをしたり死亡したりした場合などに労災扱いとなります。

 

【2種類の労災】

  • 業務災害

仕事中あるいは仕事を原因として病気、けがをしたり障害を負ったり死亡したりしたケースです。

  • 通勤災害

通勤や退勤の最中に病気、けがをしたり障害を負ったり死亡したりしたケースです。

 

通勤災害の場合、事故発生は「通勤退勤途中」でなければなりません。大きく経路をそれて寄り道していた場合などには通勤災害に該当しないので注意しましょう。

 

1-2.交通事故が労災に該当する例

交通事故が労災になるのは、以下のような場合です。

  • 外回り営業中に交通事故に遭った
  • 配送の仕事をしているときに事故に遭った
  • マイカーで通勤中に事故に遭った
  • 仕事中、移動のために社用車を運転していて事故に遭った

1-3.労災保険からの給付金

労災に遭ったときには、労災保険から給付金の支給を受けられます。

  • 治療費
  • 休業補償
  • 後遺障害の補償
  • 介護給付
  • 遺族への補償
  • 葬儀費用

 

労災保険の給付金は、自賠責保険や任意保険の保険金とは別に支給されるので、被害者にとっては受け取るメリットが大きくなるでしょう(ただし重複する分はどちらか1つとなります)。

 

業務中や通勤退勤中に事故に遭ったら、必ず会社に申告して労災保険を適用してもらいましょう。

 

2.労災申請の流れ

交通事故後、労災申請するときには以下のように手続きを進めてください。

2-1.治療を受ける

まずは病院で治療を受けましょう。労災指定病院なら労災保険から治療費を直接払いしてもらえますが、一般の病院なら自分で費用を立て替えて後に労災保険で清算する必要があります。

 

2-2.会社の協力を得て請求書を作成する

次に労災保険の請求書を作成します。書類は、給付金の種類ごとに作成しなければなりません。治療費(療養補償給付)、休業補償(休業補償給付)、後遺障害(障害補償給付)など、申請内容に応じた書式を使いましょう。

各書式のダウンロードはこちらから可能です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/rousaihoken06/index.html

 

また請求書には会社(雇用主)の証明欄があるので、会社に協力を求めましょう。

 

万一会社が協力しない場合には空欄にして、余白に「会社が記入してくれません」と書いておけばかまいません。

 

2-3.労基署へ提出する

請求書ができたら、管轄の労働基準監督署へ提出しましょう。

2-4.審査を受ける

労基署へ書類を提出したら、審査が行われます。労災に該当すると判断されれば、申請した給付金の支給が決定されます。

2-5.給付金が支払われる

労災給付金の支給が決まったら、申請内容に応じて各種の給付金が被災者へと振り込まれます。

 

3.労災保険を利用する際の注意点

労災の申請をしても、必ず認められるとは限りません。適切に事故の状況や症状を説明できないと支給を受けられない可能性があります。

また労災の手続きは煩雑です。手続きに慣れていないとスムーズに進めにくく認定されづらくなってしまうでしょう。

さらに時間もかかります。労災で認定を受けてから交通事故の休業損害請求や後遺障害認定などの申請をすると、解決までの期間が長期化する傾向があります。

 

交通事故で労災保険を利用するときには、こういったリスクにも配慮しましょう。

 

4.労災給付を申請するなら弁護士へご相談ください

より確実に労災給付金を受け取り、かつ自賠責や任意保険からも適正な補償を受けるには専門知識やスキルを持った弁護士によるサポートが必要です。業務中や通勤中に事故に遭われた方は、ベストな対処方法を知るために一度弁護士までご相談ください。

加害者も弁護士費用特約を利用できる?

2020-09-07

自動車保険への加入時に「弁護士費用特約」をつけておくと、交通事故に遭ったときに無料または軽い負担で弁護士に依頼できるメリットを受けられます。

ただ弁護士費用特約には「故意または重過失」がある場合には適用されないと規定されており、加害者の場合には利用できないケースも存在します。

 

今回は交通事故の加害者が弁護士費用特約を使える場合と使えない場合について、弁護士が解説します。

 

1.加害者でも基本的に弁護士費用特約を使える

1-1.弁護士費用特約とは

弁護士費用特約とは、交通事故の被害者が加害者へ賠償金の請求をするときにかかる弁護士費用を保険会社が負担してくれる特約です。

 

交通事故に遭い、加害者へ賠償金を請求する際に弁護士に相談をしたり示談交渉を依頼したりすると、弁護士費用が発生します。弁護士費用特約をつけておけばその弁護士費用を保険会社が負担するので、被害者が自分で費用を払う必要がありません。

 

1-2.加害者でも弁護士費用特約を利用できるケース

弁護士費用特約は基本的に「被害者のための保険」なので、加害者には適用されないようにも思えます。ただ多くの交通事故では加害者の一方的な過失ではなく被害者にも一定の過失割合が認められるものです。

そのような場合、加害者は被害者の過失割合に応じて賠償金を請求できるので、その意味では加害者も「被害者的な立場」といえるでしょう。そこで被害者にも過失割合がある限り、加害者は弁護士費用特約を利用して被害者へ賠償金を請求できます。

 

次に述べるように加害者に故意やよほどの重過失がない限り、加害者でも弁護士費用特約を利用できると考えましょう。

 

2.加害者が弁護士費用特約を使えない場合

以下のようなケースでは、加害者は弁護士費用特約を利用できません。

2-1.加害者の過失割合が100%

加害者の過失割合が100%の場合、加害者は被害者へ一切の損害賠償請求ができません。

弁護士費用特約は、基本的に「被保険者が相手方へ損害賠償請求をするときに発生する弁護士費用」を補填するための保険です。加害者が被害者へ損害賠償請求できないなら弁護士費用特約を適用する余地がないといえるでしょう。

事故が加害者の一方的な過失によって起こったものであれば、加害者は弁護士費用特約を利用できません。

 

2-2.刑事事件の弁護士費用

交通事故を起こすと、加害者が「刑事事件」の被疑者、被告人となる可能性があります。

刑事事件になったら、被疑者や被告人の立場を守るための「刑事弁護人」が必要となるでしょう。

しかし弁護士費用特約は、基本的に民事的な損害賠償請求にかかる弁護士費用を補填するための保険です。刑事事件には適用されないのが原則であり、加害者の刑事弁護人にかかる費用は出してもらえません。

 

ただ、最近では刑事弁護にかかる費用も対象とする弁護士費用特約の保険商品が売り出されています。刑事事件にも弁護士費用特約が適用されるのは「刑事弁護士費用条項」がついている保険会社です。契約している自動車保険に刑事弁護士費用条項がついていれば、私選で刑事弁護人を選任した場合の弁護士費用も補填されるので、ぜひ利用しましょう。

 

3.保険会社が弁護士費用特約の適用を渋る場合

交通事故の加害者となった場合、保険会社へ弁護士費用特約の利用を申し出ると保険会社側が消極的な対応をするケースが少なくありません。はっきりとは断られなくても「使えないかもしれません」などといわれてうやむやにされ、結局適用を見送られるケースも多々あります。保険会社にしてみれば、弁護士費用特約を利用されない方が支出を減らせるので、そういった対応になるものと考えられます。

 

そのような場合でも、弁護士が保険会社と話をすれば弁護士費用特約を適用してもらえる可能性があるので、あきらめる必要はありません。

弁護士費用特約を利用できるかどうかわからない方は、一度弁護士までご相談ください。

 

交通事故に遭ったとき、加害者の立場であっても弁護士費用特約を利用できるなら、積極的に利用して専門家によるサポートを受けましょう。対応に迷ったときには弁護士が保険会社と連絡を取り合って状況を確認することも可能です。まずはお気軽にご相談ください。

労災の後遺障害認定と自賠責の後遺障害認定の違い

2020-06-08

勤務中に交通事故に遭ったら「労災保険」が適用されます。労災保険には「後遺障害」への補償があるので、むち打ちや骨折、脳障害などの後遺障害が残ったら労基署へ申請して後遺障害認定を受けましょう。

 

また交通事故では自賠責保険にも後遺障害認定の制度があります。

 

被害者の方は労災の後遺障害認定制度と自賠責の後遺障害認定制度を混乱してしまうケースも多いのですが、正しい知識がないと必要な給付を受けられず損をしてしまうおそれがあります。

 

今回は労災の後遺障害認定と自賠責の後遺障害認定の違いや対処方法について、千葉の弁護士が解説します。労災に該当する交通事故に遭われた方は、しっかり確認してみてください。

 

1.労災と自賠責の後遺障害認定は別に申請する必要がある

交通事故が労災になる場合、労災でも後遺障害認定を受けられますし自賠責でも後遺障害認定の対象になります。

「どちらも後遺障害認定なのだから、同じ制度なのではないか?」と思う方もいるでしょう。

しかし労災と自賠責の後遺障害認定は全く異なる制度であり、判断する機関も給付金や賠償金の支払い元も支払い金額もすべて異なります。

 

どちらか一方に申請して後遺障害が認められても、他方で手続きしない限り他方では後遺障害として認められません。また一方で後遺障害認定されても、他方では非該当とされたり等級を落とされたりする可能性もあります。

申請用の書式や後遺障害診断書の書式も労災と自賠責保険とで異なります。

 

交通事故で後遺症が残ったら、必ず労災保険と自賠責保険の両方でそれぞれ後遺障害認定請求を行いましょう。

 

2.労災と自賠責の後遺障害認定の基準はほぼ同じ

後遺障害には「認定基準」があります。認定基準とは「どういったケースで何級に該当するか」という判断基準です。

実は労災と自賠責の後遺障害認定基準はほとんど同じです。自賠責が労災の後遺障害認定基準を踏襲しているからです。

その意味でどちらかで後遺障害認定を受けられると、他方でも認定を受けられる可能性が高いと言えます。

ただし判断する機関や調査方法などが異なるので、結果が異なる可能性はありますし「労災で認められたから自賠責でも認めてほしい」などの主張は通用しません。

 

後遺障害認定を成功させるには、請求先の調査・認定方法に応じた対応が要求されます。お一人で両方の手続きを進めるのは大変なので、より確実に高い等級の認定を受けるため、弁護士までご相談下さい。

 

3.労災と自賠責の後遺障害で受け取れる補償の範囲は異なる

労災と自賠責保険の両方で後遺障害認定を受けられたら、それぞれから支払われる給付金や賠償金の関係はどうなるのでしょうか?

 

3-1.二重取りはできない

この場合、重なり合うものについてはどちらか一方からしか受け取れません。同じ損害をカバーするお金について、二重取りすると被害者が必要以上に利益を得てしまうからです。

たとえば「逸失利益」については重なり合うと考えられるので、どちらかから支払いを受けると他方が減額されます。

 

3-2.慰謝料や重ならない逸失利益は受け取れる

ただし重ならない部分については、それぞれ支給を受けられます。

たとえば自賠責で後遺障害認定を受けられたら「慰謝料」が支払われますが、労災保険からは慰謝料の支給がないので、慰謝料は全額受け取れます。

 

また逸失利益についても全額が重なるわけではありません。たとえば後遺障害1~7級の場合、労災の給付金は年金方式で支払われます。この場合、当初の7年分は自賠責保険との関係で支払いが停止されますが、8年目からは全額支給されます。

 

4.労災の交通事故に遭ったら弁護士までご相談下さい

以上のように、労災の交通事故に遭ったら労災保険と自賠責保険の両方でできるだけ高い等級の後遺障害認定を受けることによって最大限の補償を受けられます。

弁護士に依頼するとより確実に等級認定を受けやすくなりますし、対応の手間も省けます。相手の保険会社との示談交渉も有利に進められて賠償金額が大幅に増額されるケースも多いので、千葉で交通事故に遭われたらぜひとも一度、ご相談下さい。

弁護士費用特約が適用されないケースについて

2020-03-11

弁護士費用特約が適用されると保険会社が弁護士費用を支払うので、利用者の負担は大きく軽減されます。

しかし自動車保険に弁護士費用特約をつけていても「適用されない」場合があるので注意が必要です。

 

今回は弁護士費用特約が適用されないケースはどういった場合なのか、弁護士が解説します。

 

1.被害者に重大な過失がある場合

1つは、被害者に重大な過失がある場合や故意によって事故を引き起こした場合です。

以下のような場合、弁護士費用特約が適用されません。

  • 酒気帯び運転や麻薬などの影響で正常な運転ができないおそれのある状態で運転していた
  • 無免許運転
  • 闘争行為
  • 犯罪行為
  • 自殺行為
  • 正しい方法で乗車していなかった
  • 極めて異常かつ危険な方法で自動車に乗車していた

 

また被保険者が所有、使用または管理するものの欠陥や摩滅、腐しょくやさびなどの自然消耗についても特約の適用対象外です。

 

2.請求相手による制限

損害賠償請求の相手が以下のような人の場合にも弁護士費用特約が適用されません。

  • 記名被保険者
  • 記名被保険者の父母、配偶者または子
  • 契約車両の所有者

 

3.天変地異の場合

台風や洪水、高潮などによって発生した損害については弁護士費用特約の適用対象外です。

 

4.自動車事故以外の事故

自動車保険の弁護士費用特約が適用されるのは、自動車事故のみです。

自転車同士の事故や自転車と歩行者の事故の場合には自動車保険の弁護士費用特約が適用されません。学校や介護施設における事故、ペットに噛みつかれたなど自動車にかかわらない事故にも自動車保険の弁護士費用特約は適用されません。

 

5.自分の保険会社と交渉する場合

人身傷害補償保険や車両保険などの適用について、自分の加入している自動車保険会社と交渉を行うケースでも、自動車保険の弁護士費用特約は適用されません。

 

6.無権利で車を運転したケース

盗んだ車を運転した場合など、無権利で勝手に運転して交通事故を起こした場合には弁護士費用特約が適用されません。

 

7.事業用自動車の場合

業務中の事故など事業用自動車に乗車していて交通事故に遭った場合、弁護士費用特約が適用されない可能性があります。

ただしすべての保険会社においてこういった取扱いになっているわけではありません。業務中の事故の場合、弁護士費用特約が適用されるかどうか個別に保険会社に確認する必要があります。

 

8.自動車保険以外の弁護士費用特約を利用できるケースがある

弁護士費用特約が適用されないケースはいくつかありますが、上記に該当しても特約を利用できる可能性があります。

それは自動車保険以外の弁護士費用特約を利用できる場合です。たとえば火災保険や自転車保険、個人賠償責任保険などに弁護士費用特約をつけられるケースがあります。最近では弁護士費用特約つきのクレジットカードも登場しています。

 

これらの自動車保険以外の弁護士費用特約の場合、自動車保険以外の日常事故にも適用されるのが通常です。自動車保険の記名被保険者に対する請求や自動車の所有者に対する請求についても適用される可能性があります。

 

いくつかの弁護士費用特約を適用できる場合、1つは適用外でも他を適用できる可能性があるので、適用条件をしっかり確認しましょう。

 

9.被害者に過失があっても弁護士費用特約を利用できる

弁護士費用特約は「被害者に重過失」があると適用されないので「過失があったら利用できない」と思っている方がおられます。しかし通常程度の過失であれば弁護士費用特約を利用できます。保険会社が弁護士費用特約の利用に消極的な態度をとるケースもありますが、遠慮する必要はありません。

 

当事務所でも弁護士費用特約を利用して積極的に交通事故案件の受任を進めています。弁護士費用特約を適用できるかどうか分からない場合のご相談にも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

人身傷害補償保険を示談金より先に受けとるべきか後で受けとるべきか

2019-12-11

交通事故に遭ったとき、加害者の保険会社による「対人賠償責任保険」だけではなく被害者自身が加入している保険会社から「人身傷害補償保険」を受け取れるケースがあります。

 

実は加害者からの賠償金と被害者の人身傷害補償保険の「どちらを先に受け取るか」で最終的な受取金額に違いが発生してくることがあるので、要注意です。

 

今回は人身傷害補償保険と相手方の対人賠償責任保険のどちらを先に受け取ると有利になるのか、千葉の弁護士が解説します。

 

 

1.人身傷害補償保険は相手からの受取金が控除される約款となっている

人身傷害補償保険は、被害者や被害者の同乗者が交通事故で死傷したとき、発生した人身損害についての支払いを受けられる保険です。

ただし被害者が加害者や加害者の保険会社から損害賠償金を受け取った場合には、人身傷害補償保険から既払い金額が控除される約款になっています。加害者からの賠償金と人身傷害補償保険の「二重取り」が好ましくないためです。

 

1-1.被害者の過失割合が0なら問題にならない

被害者の過失割合が0の場合には、この条項があっても特に問題にはなりません。加害者から発生した損害の全額を払ってもらえるからです。

 

1-2.被害者に過失割合があると受取金額が減額される

一方、被害者に過失割合がある場合、加害者からは全額の支払いを受けられません。過失割合に相当する部分が未払いになっています。

それであれば、被害者の過失部分を人身傷害補償保険によって払ってもらえないのでしょうか?

実は人身傷害補償保険の約款により、それは難しくなっています。人身傷害補償保険は先に説明した通り「相手から支払われた賠償金を差し引く」計算となっているからです。

 

たとえば2,000万円の損害が発生しており被害者の過失割合が2割とします。人身傷害補償保険で計算された金額が1,500万円としましょう。

被害者が先に示談金として1,600万円を受け取ります。すると1,500万円から1,600万円を引き、マイナスになるので人身傷害補償保険は支払われません。

結局被害者が受け取れるのは1,600万円の示談金のみで、「自分の過失割合に相当する400万円の支払いは受けられない」結果になります。

 

2.人身傷害補償保険を先に受けとると全額の賠償金を払ってもらえる

人身傷害補償保険を先に受け取った場合にはどうなるのでしょうか?

この場合にもやはり「損害賠償金の二重取り」は認められないので、相手から支払われる賠償金から人身傷害補償保険による受取金額が減額されます。

ただしこの場合、人身傷害補償保険は「被害者の過失割合に相当する部分に先に充当」されます。

たとえば先と同じ例で、損害賠償額が2,000万円、人身傷害補償保険が1,500万円、被害者の過失割合が2割の事案を考えてみましょう。

被害者が人身傷害補償保険から先に1,500万円受け取ります。その後示談が成立したら相手からは1,600万円支払われるはずですが、先に人身傷害補償保険から1,500万円の支払を受けているため控除されます。発生した損害は2,000万円なのでそこから1,600万円を差し引き、残りの400万円が相手から支払われます。

結果として被害者は総額2,000万円全額の支払いを受けることが可能となります。

 

3.約款の改定による修正効果

このように、被害者に過失割合が認められる場合、基本的には示談金よりも人身傷害補償保険を先に受け取る方が有利になります。

ただしどちらを先に受け取るかによって結果が変わるのは不合理であると批判されたため、各保険会社で約款の改定が進められました。結果、多くの保険会社において「裁判の判決または和解で解決したときには、裁判で算定された金額を人身傷害補償保険で支払うべき損害額とみなす」という規定がもうけられています。

これにより、どちらを先に受け取るかで最終的な受取金が変わる問題はおおむね解消されています。

 

ただし上記が適用されるのは「裁判の判決または和解」で解決するときだけです。示談交渉や調停、ADRなどで解決するときには、依然として保険会社基準で人身傷害補償保険が計算されるため、示談金を先に受け取ると不利になる状況が発生する可能性があります。

 

被害者が保険によって充分な補償を受けるには法的な知識が必要です。千葉で交通事故に遭われて保険金額の計算方法がわからない方、保険会社ともめてしまった方、不安や疑問をお持ちの方は、お気軽に弁護士までご相談下さい。

労災保険の休業補償と自賠責保険の休業損害の違い

2019-11-05

交通事故に遭い、けがの治療のために仕事を休んだら加害者や保険会社に「休業損害」を請求できます。一方、交通事故が「労災」に該当する場合には労災保険から「休業補償」の支給も受けられます。

 

労災保険の休業補償と自賠責保険の休業損害は異なる制度にもとづく支払いです。

きちんと受けられる補償を受けるため、それぞれの違いや支給される条件等、押さえておきましょう。

 

今回は労災保険の休業補償と自賠責保険の違いについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。

 

1.労災保険の休業補償とは

労災保険の休業補償とは、労災(労働災害)が発生したときに被害者が労災保険から受け取れる給付金の1種です。労災でけがなどをしたために働けなくなったとき、4日以上休業したら休業補償が支給されます。

交通事故で休業補償を受け取れるのは、その交通事故が「業務災害」や「通勤災害」に該当するケースです。業務災害とは業務中や業務に起因して発生した災害(けがや病気、後遺障害や死亡)、通勤災害とは通勤途中に発生した災害です。

たとえば営業車の運転中に発生した交通事故、外回りの最中に車にはねられたケース、通勤の途中や帰宅途中に交通事故に遭った場合などには労災保険が適用されて休業補償を受け取れます。

 

2.労災の休業補償の金額

労災の休業補償として支払われる金額は、現実に発生した休業損害額の80%です。

休業補償には「休業補償給付」と「休業特別支給金」があり、休業補償給付が基礎収入の60%、休業特別支給金が基礎収入の20%です。これらを合計した80%が労災保険から支給されます。

このように、労災から支給される休業補償は「休業によって発生した損害の全額」にはならないので注意が必要です。

 

3.自賠責保険の休業損害とは

自賠責保険から支給される休業損害は、交通事故によって発生した休業損害を填補するものです。労災に限らずすべての人身事故に適用されます。

休業損害の計算方法は、以下のとおりです。

  • 1日当たり5,400円×休業日数

ただし1日の基礎収入が5,400円を上回ることを証明できれば、実収入を基準に計算できます。その場合でも1日当たりの基礎収入は19,000円が限度となります。

 

会社員の方などの場合には給与明細や源泉徴収票によって実収入を証明できるので、実収入をベースに休業損害を請求できるのが通常です。

 

自賠責保険や任意保険に請求できる休業損害については「発生した全額(100%)」の支払いを請求できます。休業から3日間の支給制限もありませんし、80%に減額されることもありません。

 

4.休業補償と休業損害の違い

労災の休業補償と自賠責保険の休業損害の違いをまとめると、以下の通りです。

4-1.労災にしか適用されないかどうか

労災保険の休業補償は労災(業務災害や通勤災害)にしか適用されません。自賠責保険の場合、加害者が自賠責保険に加入している限りすべての人身事故に適用されます。

4-2.待機期間があるか

労災保険の休業補償には3日間の待機期間があります。つまり当初の3日は休業しても補償を受けられません。自賠責保険の場合には待機期間はないので1日目から休業損害を請求できます。

4-3.金額

労災保険の休業補償の場合、金額は基礎収入の80%ですが、自賠責保険の場合には基礎収入の全額を受け取れます(ただし収入を証明できた場合に限る)。

 

5.重複した受け取りについて

労災保険と自賠責保険の両方が適用される場合、重複して受け取ることはできるのでしょうか?

 

休業補償も休業損害も、交通事故によって働けなかった分の損害を補填するものです。同じ目的で支払われる補償なので、重複した受け取りは基本的に認められません。

ただし「休業特別支給金」の20%部分については、自賠責保険とは別途支給を受けられます。

交通事故が労災に該当すると、「自賠責保険からの100%+労災の休業特別支給金20%」の合計120%の休業に関する補償金を受け取れる結果になります。

 

労災保険は申請をしないと受け取れないので、業務中や通勤退勤途中に事故に遭ったらきちんと労災保険の手続きを行いましょう。

労災保険の申請方法がわからない場合や申請手続きに会社が協力してくれない場合、弁護士がサポートいたします。休業補償や休業損害をはじめ、交通事故の補償や損害賠償について疑問や悩みがある場合には、御遠慮なく弁護士までご相談下さい。

労災保険を使って通院するメリット

2019-10-08

 

交通事故が労災に該当する場合、労災保険を適用して入通院治療を受けることができます。

労災保険を利用すると、自賠責保険や相手の任意保険会社の対人賠償責任保険を適用するよりもいろいろなメリットを受けられます。

 

労災保険には過失相殺も適用されませんし限度額もなく、保険会社から突然治療費を打ち切られるリスクもないからです。

以下では交通事故で労災保険を利用して通院するメリットをわかりやすくご紹介していきます。

 

1.労災保険を利用できる交通事故

交通事故で労災保険を使えるのは、業務中に交通事故が発生したケースや通勤・退勤途中に交通事故が発生したケースです。

このような場合、交通事故が「労働災害」や「通勤災害」に該当するので、労災保険を適用して治療を受けられます。

一般に「交通事故には労災保険が適用されない」と思われているケースがありますが、そのような制限はないので安心して利用しましょう。

 

2.労災保険を利用するメリット

交通事故の治療に労災保険を適用すると、以下のようなメリットがあります。

2-1.重過失減額や過失相殺が適用されず全額の支払いを受けられる

交通事故の損害賠償金には「過失相殺」が適用されます。被害者にも過失が認められる場合には、被害者が相手に請求できる賠償金から減額されます。被害者の過失割合が高い場合には、治療費を全額払ってもらえない可能性が高くなります。自賠責保険にも「重過失減額」という制度があり、被害者側の過失が7割以上になると、段階的に保険金の支払い額が減額されます。

 

労災保険の場合、過失相殺や重過失減額に相当する制度がないので、被害者の過失割合がどれほど高くても全額の治療費の支給を受けられます。

 

2-2.限度額がない

自賠責保険や任意保険には限度額があります。特に自賠責保険の場合、一般の人身事故(傷害)の限度額が120万円と非常に低額に設定されています。ここから治療費や休業損害、入通院慰謝料などをすべてまかなわないといけないので、通院期間が少し長くなるとすぐに限度額に達してしまいます。

労災保険の場合には限度額がないので、治療期間がどれほど長くかかって金額がかさんでも全額の支給を受けられます。

 

2-3.保険会社から治療費を打ち切られるリスクがない

交通事故後の通院期間が一定以上に長引くと、任意保険会社は治療費の支払いを打ち切るケースが多数あります。治療費がかさんで自賠責保険の限度額が近づいてくると、任意保険会社の負担が発生するので、その前に治療を打ち切らせたいと考えてのことです。治療を続けたいと考える被害者と大きなトラブルになるケースも多々あります。

労災保険を利用して治療費を支払う場合、相手の保険会社は関与しないので、治療費を打ち切られる心配がありません。

 

2-4.自賠責の限度額を休業損害や慰謝料などにまわせる

自賠責保険には120万円の限度額があり、そこから治療費や休業損害、入通院慰謝料などをすべて支払わねばなりません。

労災保険を適用すると、治療費については労災保険から支払われるので、自賠責の120万円を休業損害や入通院慰謝料などにまわすことができて、十分な補償を受けやすくなります。

 

3.労災保険を適用するメリットがある場合

  • 被害者の過失割合が高い場合
  • 治療が長期化、高額化しそうな場合
  • 保険会社から治療費を打ち切られた場合、打ちきられそうな場合
  • 相手が保険に入っていない場合

 

4.労災保険を適用する方法

労災保険を適用するには、「療養補償給付」の申請をする必要があります。

申請書には、会社が署名押印をする欄がありますが、会社が協力しない場合には、その旨書いておけば署名押印をしてもらえなくても労災申請が可能です。

 

治療を受けている病院が「労災指定病院」の場合、申請書を病院に提出すると手続きをしてもらえます。

労災指定病医院以外の病院で治療を受ける場合、申請書は自分で労働基準監督署に提出して手続きを進める必要があります。

 

交通事故が労災に該当する場合には、治療費だけでなく休業補償や後遺障害に関する給付も受けられます。事故後の対処に迷われたら、お気軽に弁護士までご相談下さい。

自動車保険以外で弁護士費用特約を使えるケース

2019-08-26

 

弁護士費用特約を利用すると、自分でお金を用意しなくても弁護士に示談交渉などを依頼できて大きなメリットを得られます。

一般に弁護士費用特約というと「自動車保険に付帯するもの」と思われていますが、実は他の保険に弁護士費用特約がついているケースもあります。

 

その場合、自動車保険には弁護士費用特約がついていなくても、交通事故の対応を弁護士に任せられる可能性があるので、是非とも利用しましょう。

 

以下では自動車保険以外の保険に弁護士費用特約がついている可能性があるケースをご紹介していきます。

 

1.個人賠償責任保険

個人賠償責任保険とは、過失などによって他人に迷惑をかけてしまったときに保険会社が賠償金を払ってくれる保険です。

たとえば玄関前に置いていた物が風で吹き飛ばされて他人の車にあたり傷をつけてしまった場合、キャッチボールをしていて通行人に当たりけがをさせてしまった場合などに発生する損害賠償金などが補償対象です。

個人賠償責任保険には弁護士費用特約をつけられるケースが多く、自動付帯していることもあります。

自動車事故に遭った場合にも適用されるケースがあるので、自分や家族の個人賠償責任保険の特約内容まで調べてみましょう。

 

2.火災保険

所有物件でも賃貸物件でも、火災保険には加入しているものです。火災保険に入っていると、家そのものの焼失や家財道具の焼失に関する損害などが補填されます。

実は火災保険にも、弁護士費用特約をつけていることがあります。

加入時には意識していなくても特約をつけている可能性があるので、まずは保険会社に加入状況を確認し、自動車事故にも適用できるかどうか聞いて、適用できるようでしたら是非とも利用してみてください。

 

3.医療保険

医療保険は、病気をしたときに保険金が支給される保険です。実は医療保険に弁護氏費用特約がついているケースがあります。保険会社や保険の種類によっては自動付帯しているケースもあり、加入者が気づかない例もみられます。

交通事故にも適用できる可能性があるので、事故に遭って医療保険に加入しているなら、特約内容を調べてみることをお勧めします。

 

4.自転車保険

近年では条例によって自転車保険への加入が義務化されている都道府県などもあり、自転車保険への加入件数が増えています。自転車保険は通常、傷害保険と個人賠償責任保険がセットになっているものであり、弁護士費用特約もつけることができます。

自転車保険の弁護士費用特約を自動車事故で使えるケースもあるので、自動車事故に遭ったときには一度、保険内容を確認してみましょう。

 

5.日常生活弁護士費用保険

近年、各保険会社から「日常生活弁護士費用保険(弁護士費用特約)」という保険商品が売り出されています。

これは、交通事故に限らず日常生活で起こった事故において、保険会社が弁護士費用を負担してくれる保険です。たとえば賃貸トラブルや労働トラブル、遺産相続や離婚、損害賠償などが支払い対象とされている例があります。

日常生活弁護士費用保険や特約は、自動車事故へも適用できるケースがあります。

交通事故に遭ったら、一度こうした保険に入っていないか調べて交通事故への適用の可否を確認しましょう。

 

6.保険に加入しているかどうか確認する方法

「保険に入っていたような気がするけど、詳細がわからない」という方は、まず自宅で「保険証書」を探しましょう。証書には、通常特約内容も書いてあります。

もしも証書が無くなっていたら、保険会社に問合せをしましょう。本人確認ができたら付帯している特約や保険内容を教えてくれますし、証書の再発行も可能です。

保険会社の問合せ先は、各保険会社のホームページなどに書いてありますし、保険会社から届いた「お知らせ」などの書類に書かれていることもあります。確認して電話をかけてみましょう。

 

交通事故で弁護士費用特約を利用すると、弁護士基準が適用されて慰謝料が大きく増額されたり、自分で対応するストレスから解放されたりして大きなメリットを得られるものです。せっかく利用できるのに気づかずに利用しないのはあまりにもったいないので、事故に遭ったら弁護士費用特約がついている保険がないか、よく調べてみて下さい。

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