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保険会社が弁護士費用特約の適用を拒否!被害者の過失割合が高いと特約を使えないの?
弁護士費用特約を利用すると、保険会社が弁護士費用を出してくれるので被害者の負担が大きく減ります。無料や少額で弁護士に示談交渉や裁判を依頼できるので、依頼者にとっては多大なメリットがあるといえるでしょう。
一般に弁護士費用特約は「被害者の過失割合が高いと利用できない」と思われている傾向がありますが、実際にはそうとは限りません。
今回は被害者の過失割合が高いと弁護士費用特約を利用できないのか、解説します。自動車保険に弁護士費用特約をつけているのに保険会社から「特約を使えないかもしれません」と言われて悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.弁護士費用特約を使えないケースとは
1-1.弁護士費用特約を適用すると弁護士費用を払わなくて良い
弁護士費用特約とは、一定限度額までの弁護士費用を保険会社が負担してくれる制度です。
- 弁護士に相談するときの相談料
- 加害者と示談交渉や裁判をするときの着手金報酬金、実費、日当など
こういった民事的な対応にかかる費用はもちろんのこと、最近では一部の保険会社で「刑事事件にも適用できる弁護士費用特約」のサービスも開始されています。
1-2.弁護士費用特約を使えないケースとは
ただし弁護士費用特約には「適用条件」があります。以下のような場合には、特約を利用できません。
- 被害者に故意や重大な過失がある
- 無免許運転、飲酒運転、危険運転
- 権利がないのに自動車を運転した
- 天変地異による損害
- 適切な方法で乗車していなかった場合
保険会社との約款では「被害者が故意に事故を起こした場合や重過失がある場合」に弁護士費用特約を利用できないとされているのが通常です。
実際に、被害者に過失があるケースで保険会社に弁護士費用特約の利用を申し出ると、消極的な対応をされる例が少なくありません。
1-3.過失があっても弁護士費用特約を利用できる
実際には、被害者に過失があってもほとんどのケースで弁護士費用特約を適用できます。被害者側の過失割合が高く、6割、7割程度でも弁護士費用特約は「使える」と考えましょう。
被害者の過失が高くて特約を適用できないのは「被害者の過失割合が100%」の場合です。たとえば一方的に追突した場合、センターオーバーして相手に接触した場合、相手が信号を守っているのに一方的に赤信号で飛び出した場合などには弁護士費用特約を使えないと考えましょう。飲酒運転、薬物摂取状態で運転していた場合、闘争行為や犯罪行為、自殺行為などをした場合にも特約の利用ができません。
こういった「極端に被害者が悪いケース」以外は、基本的に弁護士費用特約を利用できると考えて大丈夫です。
2.保険会社から拒絶されても弁護士費用特約を使える可能性がある
被害者側に過失があるときに保険会社へ弁護士費用特約の利用を打診すると「特約は使えないかもしれません」などと消極的な対応をされるケースが散見されます。このように言われると「過失割合が高いから特約を利用できないのだ」と考えて諦めてしまう被害者も少なくありません。
本当は、過失割合があっても多くのケースで弁護士費用特約を適用できるので、あきらめなくて良いのです。保険会社側へ「特約を利用できるはずです」と主張して、適用してもらいましょう。
疑問があるなら弁護士に相談しよう
自分で弁護士費用特約の適用を求めて交渉しても保険会社が納得しない場合や自分で交渉するのが苦痛な方は、弁護士に相談してみてください。弁護士が保険会社に打診すると、すんなり弁護士費用特約の適用が認められるケースがよくあります。
せっかく弁護士費用特約をつけているのに「使えない」という思い込みで利用しないのは大変にもったいないといえます。「本当は弁護士費用特約を使えるのでは?」と少しでも疑問をお持ちでしたら弁護士が状況をお伺いしてアドバイスや保険会社との交渉をいたしますので、是非とも一度ご相談ください。
加害者も弁護士費用特約を利用できる?
自動車保険への加入時に「弁護士費用特約」をつけておくと、交通事故に遭ったときに無料または軽い負担で弁護士に依頼できるメリットを受けられます。
ただ弁護士費用特約には「故意または重過失」がある場合には適用されないと規定されており、加害者の場合には利用できないケースも存在します。
今回は交通事故の加害者が弁護士費用特約を使える場合と使えない場合について、弁護士が解説します。
1.加害者でも基本的に弁護士費用特約を使える
1-1.弁護士費用特約とは
弁護士費用特約とは、交通事故の被害者が加害者へ賠償金の請求をするときにかかる弁護士費用を保険会社が負担してくれる特約です。
交通事故に遭い、加害者へ賠償金を請求する際に弁護士に相談をしたり示談交渉を依頼したりすると、弁護士費用が発生します。弁護士費用特約をつけておけばその弁護士費用を保険会社が負担するので、被害者が自分で費用を払う必要がありません。
1-2.加害者でも弁護士費用特約を利用できるケース
弁護士費用特約は基本的に「被害者のための保険」なので、加害者には適用されないようにも思えます。ただ多くの交通事故では加害者の一方的な過失ではなく被害者にも一定の過失割合が認められるものです。
そのような場合、加害者は被害者の過失割合に応じて賠償金を請求できるので、その意味では加害者も「被害者的な立場」といえるでしょう。そこで被害者にも過失割合がある限り、加害者は弁護士費用特約を利用して被害者へ賠償金を請求できます。
次に述べるように加害者に故意やよほどの重過失がない限り、加害者でも弁護士費用特約を利用できると考えましょう。
2.加害者が弁護士費用特約を使えない場合
以下のようなケースでは、加害者は弁護士費用特約を利用できません。
2-1.加害者の過失割合が100%
加害者の過失割合が100%の場合、加害者は被害者へ一切の損害賠償請求ができません。
弁護士費用特約は、基本的に「被保険者が相手方へ損害賠償請求をするときに発生する弁護士費用」を補填するための保険です。加害者が被害者へ損害賠償請求できないなら弁護士費用特約を適用する余地がないといえるでしょう。
事故が加害者の一方的な過失によって起こったものであれば、加害者は弁護士費用特約を利用できません。
2-2.刑事事件の弁護士費用
交通事故を起こすと、加害者が「刑事事件」の被疑者、被告人となる可能性があります。
刑事事件になったら、被疑者や被告人の立場を守るための「刑事弁護人」が必要となるでしょう。
しかし弁護士費用特約は、基本的に民事的な損害賠償請求にかかる弁護士費用を補填するための保険です。刑事事件には適用されないのが原則であり、加害者の刑事弁護人にかかる費用は出してもらえません。
ただ、最近では刑事弁護にかかる費用も対象とする弁護士費用特約の保険商品が売り出されています。刑事事件にも弁護士費用特約が適用されるのは「刑事弁護士費用条項」がついている保険会社です。契約している自動車保険に刑事弁護士費用条項がついていれば、私選で刑事弁護人を選任した場合の弁護士費用も補填されるので、ぜひ利用しましょう。
3.保険会社が弁護士費用特約の適用を渋る場合
交通事故の加害者となった場合、保険会社へ弁護士費用特約の利用を申し出ると保険会社側が消極的な対応をするケースが少なくありません。はっきりとは断られなくても「使えないかもしれません」などといわれてうやむやにされ、結局適用を見送られるケースも多々あります。保険会社にしてみれば、弁護士費用特約を利用されない方が支出を減らせるので、そういった対応になるものと考えられます。
そのような場合でも、弁護士が保険会社と話をすれば弁護士費用特約を適用してもらえる可能性があるので、あきらめる必要はありません。
弁護士費用特約を利用できるかどうかわからない方は、一度弁護士までご相談ください。
交通事故に遭ったとき、加害者の立場であっても弁護士費用特約を利用できるなら、積極的に利用して専門家によるサポートを受けましょう。対応に迷ったときには弁護士が保険会社と連絡を取り合って状況を確認することも可能です。まずはお気軽にご相談ください。
弁護士費用特約が適用されないケースについて
弁護士費用特約が適用されると保険会社が弁護士費用を支払うので、利用者の負担は大きく軽減されます。
しかし自動車保険に弁護士費用特約をつけていても「適用されない」場合があるので注意が必要です。
今回は弁護士費用特約が適用されないケースはどういった場合なのか、弁護士が解説します。
1.被害者に重大な過失がある場合
1つは、被害者に重大な過失がある場合や故意によって事故を引き起こした場合です。
以下のような場合、弁護士費用特約が適用されません。
- 酒気帯び運転や麻薬などの影響で正常な運転ができないおそれのある状態で運転していた
- 無免許運転
- 闘争行為
- 犯罪行為
- 自殺行為
- 正しい方法で乗車していなかった
- 極めて異常かつ危険な方法で自動車に乗車していた
また被保険者が所有、使用または管理するものの欠陥や摩滅、腐しょくやさびなどの自然消耗についても特約の適用対象外です。
2.請求相手による制限
損害賠償請求の相手が以下のような人の場合にも弁護士費用特約が適用されません。
- 記名被保険者
- 記名被保険者の父母、配偶者または子
- 契約車両の所有者
3.天変地異の場合
台風や洪水、高潮などによって発生した損害については弁護士費用特約の適用対象外です。
4.自動車事故以外の事故
自動車保険の弁護士費用特約が適用されるのは、自動車事故のみです。
自転車同士の事故や自転車と歩行者の事故の場合には自動車保険の弁護士費用特約が適用されません。学校や介護施設における事故、ペットに噛みつかれたなど自動車にかかわらない事故にも自動車保険の弁護士費用特約は適用されません。
5.自分の保険会社と交渉する場合
人身傷害補償保険や車両保険などの適用について、自分の加入している自動車保険会社と交渉を行うケースでも、自動車保険の弁護士費用特約は適用されません。
6.無権利で車を運転したケース
盗んだ車を運転した場合など、無権利で勝手に運転して交通事故を起こした場合には弁護士費用特約が適用されません。
7.事業用自動車の場合
業務中の事故など事業用自動車に乗車していて交通事故に遭った場合、弁護士費用特約が適用されない可能性があります。
ただしすべての保険会社においてこういった取扱いになっているわけではありません。業務中の事故の場合、弁護士費用特約が適用されるかどうか個別に保険会社に確認する必要があります。
8.自動車保険以外の弁護士費用特約を利用できるケースがある
弁護士費用特約が適用されないケースはいくつかありますが、上記に該当しても特約を利用できる可能性があります。
それは自動車保険以外の弁護士費用特約を利用できる場合です。たとえば火災保険や自転車保険、個人賠償責任保険などに弁護士費用特約をつけられるケースがあります。最近では弁護士費用特約つきのクレジットカードも登場しています。
これらの自動車保険以外の弁護士費用特約の場合、自動車保険以外の日常事故にも適用されるのが通常です。自動車保険の記名被保険者に対する請求や自動車の所有者に対する請求についても適用される可能性があります。
いくつかの弁護士費用特約を適用できる場合、1つは適用外でも他を適用できる可能性があるので、適用条件をしっかり確認しましょう。
9.被害者に過失があっても弁護士費用特約を利用できる
弁護士費用特約は「被害者に重過失」があると適用されないので「過失があったら利用できない」と思っている方がおられます。しかし通常程度の過失であれば弁護士費用特約を利用できます。保険会社が弁護士費用特約の利用に消極的な態度をとるケースもありますが、遠慮する必要はありません。
当事務所でも弁護士費用特約を利用して積極的に交通事故案件の受任を進めています。弁護士費用特約を適用できるかどうか分からない場合のご相談にも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。
自動車保険以外で弁護士費用特約を使えるケース
弁護士費用特約を利用すると、自分でお金を用意しなくても弁護士に示談交渉などを依頼できて大きなメリットを得られます。
一般に弁護士費用特約というと「自動車保険に付帯するもの」と思われていますが、実は他の保険に弁護士費用特約がついているケースもあります。
その場合、自動車保険には弁護士費用特約がついていなくても、交通事故の対応を弁護士に任せられる可能性があるので、是非とも利用しましょう。
以下では自動車保険以外の保険に弁護士費用特約がついている可能性があるケースをご紹介していきます。
1.個人賠償責任保険
個人賠償責任保険とは、過失などによって他人に迷惑をかけてしまったときに保険会社が賠償金を払ってくれる保険です。
たとえば玄関前に置いていた物が風で吹き飛ばされて他人の車にあたり傷をつけてしまった場合、キャッチボールをしていて通行人に当たりけがをさせてしまった場合などに発生する損害賠償金などが補償対象です。
個人賠償責任保険には弁護士費用特約をつけられるケースが多く、自動付帯していることもあります。
自動車事故に遭った場合にも適用されるケースがあるので、自分や家族の個人賠償責任保険の特約内容まで調べてみましょう。
2.火災保険
所有物件でも賃貸物件でも、火災保険には加入しているものです。火災保険に入っていると、家そのものの焼失や家財道具の焼失に関する損害などが補填されます。
実は火災保険にも、弁護士費用特約をつけていることがあります。
加入時には意識していなくても特約をつけている可能性があるので、まずは保険会社に加入状況を確認し、自動車事故にも適用できるかどうか聞いて、適用できるようでしたら是非とも利用してみてください。
3.医療保険
医療保険は、病気をしたときに保険金が支給される保険です。実は医療保険に弁護氏費用特約がついているケースがあります。保険会社や保険の種類によっては自動付帯しているケースもあり、加入者が気づかない例もみられます。
交通事故にも適用できる可能性があるので、事故に遭って医療保険に加入しているなら、特約内容を調べてみることをお勧めします。
4.自転車保険
近年では条例によって自転車保険への加入が義務化されている都道府県などもあり、自転車保険への加入件数が増えています。自転車保険は通常、傷害保険と個人賠償責任保険がセットになっているものであり、弁護士費用特約もつけることができます。
自転車保険の弁護士費用特約を自動車事故で使えるケースもあるので、自動車事故に遭ったときには一度、保険内容を確認してみましょう。
5.日常生活弁護士費用保険
近年、各保険会社から「日常生活弁護士費用保険(弁護士費用特約)」という保険商品が売り出されています。
これは、交通事故に限らず日常生活で起こった事故において、保険会社が弁護士費用を負担してくれる保険です。たとえば賃貸トラブルや労働トラブル、遺産相続や離婚、損害賠償などが支払い対象とされている例があります。
日常生活弁護士費用保険や特約は、自動車事故へも適用できるケースがあります。
交通事故に遭ったら、一度こうした保険に入っていないか調べて交通事故への適用の可否を確認しましょう。
6.保険に加入しているかどうか確認する方法
「保険に入っていたような気がするけど、詳細がわからない」という方は、まず自宅で「保険証書」を探しましょう。証書には、通常特約内容も書いてあります。
もしも証書が無くなっていたら、保険会社に問合せをしましょう。本人確認ができたら付帯している特約や保険内容を教えてくれますし、証書の再発行も可能です。
保険会社の問合せ先は、各保険会社のホームページなどに書いてありますし、保険会社から届いた「お知らせ」などの書類に書かれていることもあります。確認して電話をかけてみましょう。
交通事故で弁護士費用特約を利用すると、弁護士基準が適用されて慰謝料が大きく増額されたり、自分で対応するストレスから解放されたりして大きなメリットを得られるものです。せっかく利用できるのに気づかずに利用しないのはあまりにもったいないので、事故に遭ったら弁護士費用特約がついている保険がないか、よく調べてみて下さい。