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「同乗者(好意同乗、無償同乗)の減額」を主張されたときの対処方法

2020-11-18

家族や友人の車に乗せてもらっているときに交通事故に遭うと、保険会社から「好意同乗」「無償同乗」と主張されて賠償金を減額される可能性があります。

 

好意同乗(無償同乗)とは、誰かの好意に甘えて無償で車に乗せてもらうことです。好意同乗の場合、賠償金額を減額する裁判例がいくつか出ているため、保険会社は減額を主張してくる傾向があるのです。

 

ただ保険会社による好意同乗の減額主張は裁判で認められないケースも多いので、安易に受け入れるべきではありません。

 

今回は、保険会社から「同乗者(好意同乗、無償同乗)の減額」を主張されたときの対処方法をご説明します。

 

1.好意同乗、無償同乗減額が問題になるケースとは

好意同乗、無償同乗が問題になるのは「第三者の車に乗せてもらっていたケース」です。

たとえば以下のような場合が該当します。

 

  • 目的地まで家族に車で送ってもらった
  • 帰りに方向が同じ友人に送ってもらった
  • たまたま車で通りがかった家族に家まで乗せてもらった

 

このように家族や友人の車に乗せてもらっているときに交通事故に遭うと、事故の相手だけではなく「運転者である家族や友人自身」へも賠償金を請求できる可能性があります。運転者にも過失がある場合、損害発生は運転者の責任ともいえるからです。つまり運転者の過失割合が0でない限り、被害者は運転者にも損害賠償請求できます。

 

運転者と事故の相手方には「共同不法行為」が成立するので、被害者はどちらにも全額の賠償金を請求できます。

 

2.好意同乗、無償同乗で賠償金が減額される理由

好意同乗、無償同乗のケースでは、なぜ保険会社から賠償金の減額を主張されるのでしょうか?

 

それは、被害者が運転者の好意に甘えて無償で同乗させてもらっていたにもかかわらず、事故に遭ったときに全額の賠償金を請求するのは不公平と考えられるからです。無償で乗せてもらっていた以上、発生した損害についても被害者が責任を負うべきという考えです。

 

そこで昭和の時代には、好意同乗、無償同乗の場合には同乗者が運転者へ請求できる賠償金の金額を減額するのが通常でした。昭和40年代、50年代の裁判例では、好意同乗、無償同乗のケースで過失相殺を類推適用し、賠償金を減額するものが多数みられます。

 

こういった経緯があるため、今も同乗者が運転者側の保険会社と示談交渉を進めるとき、保険会社から「同乗させてもらっていたから賠償金を減額します」と主張されるのです。

 

3.単に同乗していただけでは減額されない

しかし裁判所の考えは異なります。好意同乗だからといって、必ずしも賠償金が減額されるわけではありません。

好意同乗や無償同乗によって減額が行われていたのは、「車が高級品」だった時代です。

昭和40年、50年代に車を所有していたのは比較的裕福な家庭に限られていました。そのような高級品を使わせてもらったのだから、発生した損害についても被害者が責任を負うべきという考えにもとづきます。

 

一方、現代は全く状況が異なっています。通常一般程度の収入や低収入でも車を持っている人が多いでしょう。

「車が高級品」という時代は終わっているので、今では「単に同乗させてもらっていただけ」では減額しないのが一般的な裁判所の考えです。

 

4.同乗によって減額されるケースとは?

現代においても、同乗によって賠償金が減額されるケースは存在します。それは以下のような場合です。

4-1.被害者が危険を発生させた場合

被害者が運転者を煽って危険な運転をさせた場合、被害者が運転を妨害して危険を発生させた場合などです。

4-2.被害者が危険を受け入れた場合

運転者が飲酒している事実、無免許である事実、薬によって頭がもうろうとしている事実などを知りながら、あえて同乗した場合です。

 

上記のような特別な事情がない限り、単に同乗していただけで賠償金の減額を受け入れる必要はありません。

 

家族や友人知人の車に乗せてもらっていて保険会社から減額を主張されたとき、すんなり受け入れるべきではありません。本当に減額の必要性があるのか、状況に応じた検討が必要です。

不当に賠償金を減額されないため、迷われた際には弁護士までご相談ください。

重過失減額と過失相殺の違いについて

2020-09-29

人身事故に遭うと、通常相手の自賠責保険から保険金が支払われます。ただし被害者に7割以上の過失があると「重過失減額」が行われて保険金の金額が減額されます。

 

重過失減額とはどういった制度なのか、一般的な「過失相殺」とどう違うのか理解しておきましょう。今回は重過失減額と過失相殺の違いについて、解説します。

 

 

1.重過失減額とは

重過失減額とは、被害者に一定以上の過失割合があるときに自賠責保険から支払われる保険金が減額される制度です。

 

被害者の過失割合が7割以上になると、保険金が2割~5割の範囲で減額されます。

減額割合は、以下のとおりです。

 

【後遺障害が残った事故、死亡事故】

被害者の過失割合

減額率

70%以上~80%未満

20%減額

80%以上~90%未満

30%減額

90%以上

50%減額

 

【傷害事故】

被害者の過失割合が70%以上になると、一律で20%減額されます。

 

なお損害額が20万円未満の場合には重過失減額が適用されません。

 

2.過失相殺とは

任意保険会社と示談交渉をするときには、被害者の過失割合に応じて「過失相殺」されます。

重過失減額と過失相殺は、何が違うのでしょうか?

2-1.減額割合が違う

重過失減額と過失相殺では、減額割合が大きく異なります。

過失相殺は、「過失割合に応じた割合」で減額されます。

たとえば被害者の過失割合が3割なら3割減額され、7割なら7割減額されます。

 

重過失減額の場合、被害者の過失割合がそのまま減額割合になるのではありません。傷害なら一律2割、後遺障害または死亡事故でも2割~5割の範囲内となります。重過失減額の方が減額割合は小さく、被害者に有利といえるでしょう。

2-2.重過失減額の場合、7割までなら減額されない

重過失減額と過失相殺は、被害者の過失が小さい場合の取扱いも異なります。

重過失減額の場合、被害者の過失割合が7割までなら減額されません。被害者に6割の過失があっても満額の保険金を受け取れます。

 

一方過失相殺の場合、被害者に少しでも過失割合があれば減額されます。たとえば被害者の過失割合が1割なら、賠償金が1割減らされます。

 

この意味でも、被害者にとっては重過失減額の方が有利といえるでしょう。

 

2-3.減額対象が違う

重過失減額と過失相殺は、減額対象が異なります。

重過失減額の対象となるのは「自賠責保険」の保険金です。これは人身事故の被害者への最低限度の補償を行うための保険金で、もともと金額は低めになっています。

 

一方過失相殺の対象になるのは、任意保険会社から支払われる保険金や加害者本人から支払われる賠償金です。保険会社基準または法的基準で計算され、物損事故でも支払われます。自賠責保険の保険金より高額になるケースが多数です。

 

3.自賠責保険を使った方が被害者に有利になるケース

一般的に、自賠責保険の保険金額は任意保険の保険金額より低くなります。また任意保険会社が自賠責保険の支払についても窓口になるため、被害者があえて自賠責保険へ保険金を請求するケースは多くはありません。

 

ただ被害者の過失割合が高い場合、自賠責保険の支払額の方が高額になる可能性があります。保険会社からの賠償金には過失相殺が適用されるため、大きく減額されてしまいます。一方自賠責の重過失減額では2割~5割の範囲内なので、減額度合いが小さくなるからです。

 

被害者の過失割合があまりに高いと、任意保険会社が治療費を出してくれないケースもあります。提示される示談金額は非常に小さくなるでしょう。そういったケースでは、被害者自身が自賠責保険へ保険金を請求した方が、高額な支払を受けられる可能性があります。

 

4.過失割合が高くなり、困ったら弁護士へ相談を

交通事故に遭ったとき、被害者の過失割合が高いと状況は不利になります。自賠責保険へ保険金を請求するなど、できるところから対処しましょう。また任意保険会社の主張する過失割合が必ずしも適正とは限りません。疑問や不満がある場合、まずは一度弁護士までご相談ください。

シートベルト装着義務違反の罰則は?不装着は交通事故時に不利になる?

2020-08-31

シートベルトを着用していると、交通事故に遭ったときのリスクが大きく低下します。近年ではシートベルト着用義務の範囲が拡大されており、「後部座席」でもシートベルトをしなければなりません。

 

シートベルトを着用しないとどのようなペナルティが課されるのか、交通事故が発生したときの過失割合への影響など、弁護士が解説します。

 

1.シートベルト着用義務の範囲

シートベルトを着用するかしないかで、交通事故に遭ったときの危険度が大きく変わります。運転席、助手席はもちろんのこと、後部座席でもシートベルトの着用効果は非常に高くなっています。

 

警視庁の発表では、後部座席でシートベルト非装着の場合、装着時よりも致死率が以下のように大幅に上がるとされています。

  • 高速道路の場合、非着用のケースでの致死率は着用時の11.7倍
  • 一般道路の場合、非着用のケースでの致死率は着用時の3.3倍

特に高速道路を走行している場合の差が大きいことがわかります。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/seatbelt.html

 

このようにシートベルトを着用すると万が一の場合に命を守れる可能性が高まるので、車に乗るときは必ずシートベルトを着用しましょう。

 

1-1.シートベルトを着用すべき人

道路交通法は、自動車の運転者や同乗者へシートベルト着用義務を課しています。

後部座席にも適用される

道路交通法によると、シートベルトは「車両に乗っている人全員が着用しなければならない」とされています。

つまり、運転者や助手席だけではなく後部座席に乗っている人もシートベルトを着用しなければなりません。2008年に道路交通法が改正され、すべての座席にシートベルト着用義務が拡大されました。

車種による区別もない

シートベルト着用義務は、バスなどの大型車だけでなく普通車にも同じように適用されます。

高速道路にも一般道路にも適用される

高速道路だけではなく一般道でもシートベルト着用義務が適用されます。

 

つまり現在の法律では、基本的にすべての車において、すべての搭乗者があらゆる場所で、シートベルトを着用しなければなりません。

 

1-2.シートベルトを着用しなくて良いケース

以下のような場合、例外的にシートベルト着用義務が免除されます。

  • けがや障害があってシートベルトを着用すると状態が悪化する
  • 妊娠中で、シートベルトを着用すると気分が悪くなる
  • 子どもを多く乗せており、シートベルトの数が足りない
  • 座高が高すぎる、低すぎる、肥満などの理由でシートベルトを着用できない
  • 車内で授乳、おむつ換えなどを行う場合
  • 病気の幼児を緊急で搬送する場合
  • バックする際、運転手が一時的にシートベルトを外す場合

 

1-3.シートベルト着用義務違反へのペナルティ

  • 運転席、助手席

1点の加点となります。

  • 後部座席

高速道路であれば1点の加点、一般道路では口頭での注意となります。

 

シートベルト着用義務違反に反則金や刑事罰はありません。

 

2.シートベルト着用違反による交通事故の過失割合への影響

シートベルトを着用せずに交通事故を起こしたら、過失割合にも影響する可能性が大きいと考えましょう。

 

交通事故の過失割合を算定するときには、基本的に事故の類型ごとに定められる過失割合を適用します。ただしシートベルトを着用しておらず、それが交通事故による損害拡大につながったと評価されれば、基本の過失割合に5~20%程度、加算される可能性が高くなります。

たとえばシートベルトを装着していれば過失割合が10%のケースでも、不装着だったためにけがの程度が酷くなった場合には20%にされる可能性があります。そうなると、受け取れる賠償金額が10%減額されてしまうので、被害者にとって不利益が大きくなるでしょう。

 

まとめ

シートベルト不装着に対するペナルティは現在のところ、大きなものといえないかもしれません。それでも交通事故を起こしたときや被害に遭ったときのリスクは相当高いと考えられるので、車に乗るときには必ずシートベルトを着用しましょう。

 

万一交通事故に遭われて保険会社との示談交渉でお困りごとなどありましたら、お気軽に弁護士までご相談ください。

高速道路上の交通事故の過失割合について

2020-08-03

高速道路上で交通事故が発生した場合、一般道とは「過失割合」の基準が異なります。

高速道路には信号も交差点もありませんし、すべての車が一定以上のスピードを出していて、下道とは状況が異なるからです。

 

今回は高速道路上の交通事故における過失割合について、弁護士が解説します。千葉県でも高速道路を利用される方はとても多いので、ぜひ知っておいて下さい。

 

1.高速道路の特殊性

高速道路上の事故で過失割合を算定するときには、「高速道路の特殊性」を理解しておくと役立ちます。まずは一般道と高速道路の違いを把握しましょう。

 

1-1.すべての車が一定以上のスピードを出している

一般道では「時速〇〇キロメートルまで」と「一定までの速度」しか出してはいけない「最高速度」の制限のみがありますが、高速道路上では「時速80キロメートル以上」など「最低速度」の制限があります。すべての車が一定以上のスピードで走っている点が特殊といえるでしょう。

 

1-2.駐停車が禁止されている

高速道路では、基本的に駐停車が禁止されます。道路で駐停車している車両があるとその過失割合が高くなります。

 

1-3.道路内の歩行が禁止されている

高速道路では道路内の歩行が禁止されているので、「歩行者」は存在しない前提です。それにもかかわらず歩行者がいて事故につながった場合、歩行者の過失割合は高くなります。

 

1-4.信号や交差点がない

一般道では交差点で交通事故が多発しますが、高速道路には信号や交差点はありません。その代わり「合流地点」における交通事故が比較的多くなっています。

 

2.高速道路上の事故の過失割合

高速道路上の交通事故の過失割合基準をみていきましょう。

2-1.合流地点の事故

高速道路上では「合流地点」で交通事故が頻発します。

合流地点で本線車と合流車が接触した場合、基本的な過失割合は「本線車:合流車=30:70」となります。

 

2-2.駐停車車両との追突事故

高速道路では駐停車が禁止されるので、駐停車車両が追突された場合には追突された車の過失割合が高くなります。

具体的な過失割合は、被追突車が駐停車していた理由によって異なります。

自分の責任がない事情で駐停車していた場合

被追突車が自分に責任のない事情でやむなく駐停車していた場合、事故に対する備えを行ったかどうかで過失割合が異なります。

三角表示板などを置いてきちんと事故の防止措置をとっていたら「追突車:被追突車=100:0」となります。

 

一方、自分に責任のない事情が原因であっても「退避できるのに退避しなかった場合」や「三角表示板を置かなかった場合」など対応に不備があれば「追突車:被追突車=80:20」になります。

 

自分に責任のある事情で駐停車していた場合

被追突車が事前の整備不良によるエンジントラブルや先行の交通事故など、自分に責任のある事情で駐停車していた場合、被追突車の過失割合が上がります。基本の過失割合は「追突車:被追突車=60:40」となります。

道路状況が視認不良であったり追い越し車線であったりすると「追突車:被追突車=50:50」となります。

 

2-3.前の車が急ブレーキをかけた追突事故

前方の車が急ブレーキをかけたために追突事故が発生した場合「追突車:被追突車=50:50」となります。

 

2-4.進路変更の際の事故

進路変更の交通事故では、通常走行車線から追い越し車線へ進路変更した場合の事故であれば「進路変更車:直進車=80:20」となります。

追い越し車線から通常走行車線へ進路変更する場合や3車線以上ある道路で通常走行車線間で進路変更する場合「進路変更車:直進車=70:30」となります。

 

2-5.歩行者との事故

高速道路上では歩行が禁止されています。それにもかかわらず歩行者が存在して接触事故が生じた場合の過失割合は「自動車:歩行者=60:40」となります。

 

実際に交通事故が発生した場合の過失割合は、さまざまな修正要素の適用によって上記と変わる可能性があります。

千葉県周辺で交通事故に遭って適正な過失割合を知りたい方は、お気軽に弁護士までご相談ください。

相手が信号無視をした交通事故の正しい対処方法を弁護士が解説

2020-05-29

交通事故の相手が「信号無視」をしていたら、過失割合や賠償金の計算などの際に慎重な対応が必要です。

相手が信号無視を否定するケースもよくあるので、立証方法も把握しておきましょう。

 

今回は交通事故の相手が信号無視をしていた場合の正しい対処方法を、千葉県の弁護士が解説します。

 

1.信号無視の交通事故における過失割合

交通事故で一方当事者が信号無視をしていると、当然その当事者の過失割合が大きくなります。

信号無視は「赤信号」だけではありません。道路交通法により「黄信号の場合には原則として停止しなければならない」とされているので、黄信号で交差点に進入した場合でも「信号無視」となる可能性があります。

 

以下で典型的な信号無視の事案における過失割合をみていきましょう。

 

1-1.交差点で直進車同士の交通事故

  • 一方が赤、一方が青…赤信号の車が100%、青信号の車が0%
  • 一方が赤、一方が黄色…赤信号の車が80%、黄信号の車が20%
  • どちらも赤…50%:50%

 

1-2.交差点で右折車と直進車の交通事故

 

直進車側の色

右折車の色

直進車の過失割合

右折車の過失割合

黄色

青信号で進入して黄信号になってから右折

70%

30%

黄色

黄色

40%

60%

赤色

赤色

50%

50%

赤色

青信号で進入して赤信号になってから右折

90%

10%

赤色

黄信号で進入して赤色に変わってから右折

70%

30%

赤色

右折の青矢印信号

100%

0%

 

以上のように、どちらかの当事者が信号無視しているとその当事者の過失割合が大きく上がります。特に赤信号を無視すると責任が重くなるので注意が必要です。

 

 

2.信号無視されると慰謝料が増額される可能性がある

相手が信号無視していた場合、通常の相場より慰謝料が増額される可能性があります。信号無視は悪質な道路交通法違反で、責任が重くなるからです。

 

どのくらい増額されるかは、ケースによって異なります。信号無視した相手がひき逃げした場合や事故後の対応が不誠実な場合などには増額割合が大きくなります。反対に信号無視してもその後に誠実に対応した場合などには、あまり増額されない可能性もあります。

 

弁護士であれば適切な慰謝料の金額を算定できるので、相手からの提示額に疑問を持たれたらお気軽にご相談下さい。

 

3.信号無視を否定された場合の立証方法

信号無視をした相手が、示談交渉時に「信号無視していなかった」と主張し始めるケースがよくあります。相手が嘘をついたら、以下のような方法で立証を検討しましょう。

3-1.実況見分調書や供述調書を取り寄せる

事故直後に行われた実況見分の調書や、事故直後にとられた相手の供述調書に本当の信号機の色が記載されている可能性があります。検察庁に照会をしてこれらの書類を取り寄せれば相手の嘘を崩せます。

3-2.目撃者を探す

事故の目撃者が信号機の色を確認していれば、証言を得ることによって信号機の色を立証できます。

3-3.ドライブレコーダーを確認する

当事者の車や周辺車両にドライブレコーダーが設置されていて信号機の色が写っていれば、当時の信号機の色を判定できます。

3-4.信号サイクル表を分析する

都道府県の警察本部に保管されている信号サイクル表を分析することにより、事故当時の信号機の色を推定して相手の嘘を崩せるケースもあります。

 

信号機の色を証明するには、実況見分調書や信号サイクル表の取り寄せや分析が必要です。

お一人で対応するのが困難な場合には、お早めに弁護士にご相談下さい。

 

4.信号無視した相手に成立する刑事責任

信号無視は重大な道路交通法違反です。交通事故を起こした当事者には「自動車運転処罰法違反」の罪が成立しますが、単純な人身事故のケースよりも信号無視をした分、刑事罰が重くなります。

また信号無視で危険運転をしていた場合「危険運転致死傷罪」が成立し、22年6か月以下の懲役刑など極めて重い刑罰が適用される可能性があります。

ひき逃げをすると、さらに罪が加重されます。

 

相手の刑事裁判の行方を知りたい方は、被害者参加制度を使って相手の刑事裁判に参加し被害者の立場から意見を述べたり尋問をしたりできます。

弁護士が被害者の代理人を務めることもできますので、関心があったらご遠慮なくお問い合わせ下さい。

 

悪質な信号無視の交通事故で被害に遭ったら、適切に損害賠償を受けるべきです。相手や保険会社の対応に疑問や不安がありましたら、お早めに弁護士までご相談下さい。

バイク事故の損害賠償|過失割合と注意点

2020-05-19

バイク運転中に交通事故に遭うと、四輪車のケース以上に重傷を負いやすく後遺症が残る可能性も高いので注意が必要です。

バイク事故では四輪車同士の事故と「過失割合」が異なり、バイク側の過失割合が小さく修正されます。事故に遭ったときに損をせずきちんと権利を実現するため、バイク事故の過失割合や後遺障害、損害賠償の方法について正しい知識を持っておきましょう。

 

今回はバイク事故の損害賠償請求における注意点を千葉県の弁護士が解説します。

 

1.バイクは任意保険の加入率が低い

交通事故に備えるには任意保険へ加入しておくべきです。任意保険に加入していれば、相手に与えた損害については保険会社から賠償金を払ってもらえますし、自分が被った損害についても補償を受けられます。

また対人賠償責任保険や対物賠償責任保険には「示談代行サービス」がついているので、保険会社の担当者へ相手との示談交渉を任せられるメリットもあります。

 

ところがバイクは任意保険への加入率が非常に低くなっています。2017年に損害保険料率算出機構が発表した統計データによると、バイクの任意保険(対人対物賠償責任保険)への加入率は40%程度、搭乗者傷害保険への加入率は約27%にとどまります。

 

四輪車の場合には対人対物賠償保険への加入率が80%を超えているので、バイクの場合にはその半数程度しかありません。

 

バイクの場合は四輪車と違い、ライダーの交通事故リスクへの意識が低めになっています。

しかしバイクで事故に遭うと四輪車以上に大けがをする可能性が高く後遺障害が残ったり死亡したりする事案も多々あります。相手に対する損害賠償が必要な場合も少なくないので、軽く考えてはなりません。

バイクに乗るなら、たとえ原付であっても必ず任意保険に加入しましょう。

 

 

2.バイク事故の過失割合

バイク事故では、相手との間で「過失割合」について争いが発生する可能性があります。

バイクと四輪車の事故の場合、一般の四輪車同士の事故と比べてバイクの過失割合が小さく修正されます。バイクは四輪車と比べて車体が小さく速度も遅いので事故を避けにくく、ライダーの身体がむき出しになっているのでダメージが大きくなります。このようにバイクは四輪車よりも弱い立場なので、保護が強くなって過失割合を小さくされるのです。

 

たとえば信号機のある交差点で直進車同士が衝突した場合、バイク側の信号機が黄色、四輪車が赤色ならバイクの過失割合が10%、四輪車の過失割合が90%です。

反対にバイクが赤色、四輪車が黄色ならバイクの過失割合が70%、四輪車の過失割合が30%となります。

双方とも赤信号の場合、バイクが40%、四輪車が60%です。

 

多くのケースにおいてバイクの過失割合は四輪車より有利に修正されます。バイク事故に遭ったときに過失割合が高すぎるのではないか?と感じたら弁護士が適切な割合を算定いたしますので、お気軽にご相談下さい。

 

3.バイク事故と後遺障害認定

バイクは鉄の壁によって守られている四輪車とは異なり、事故の衝撃がダイレクトにライダーへ伝わります。転倒すると大けがをして、後遺障害が残るケースも多数あります。

よくあるのは以下のような後遺障害です。

  • 脳障害

高次脳機能障害、てんかんなどの後遺障害です。

  • 脊髄損傷

脊髄が損傷し、麻痺などの後遺障害が残ります。

  • 腕や脚の後遺障害

骨折して腕や脚を欠損したり関節が動きにくくなったり脚が短縮してしまったりします。

  • 腹部、内臓機能の後遺障害

肺や心臓、消化器系などの内臓機能が失われて不便な生活となる後遺障害です。

 

後遺障害が残ったら、自賠責で後遺障害認定を受けて適切な賠償金を受け取れるように示談交渉を進めなければなりません。

より確実に高い等級の後遺障害認定を受け、法的な基準を適用して高額な慰謝料や賠償金を獲得するには、弁護士によるサポートが必要です。

 

当事務所では交通事故被害者へのサポートに積極的に取り組んでおり、バイク事故の解決実績や後遺障害認定を得た実績も高くなっています。親身になってお話をお伺いしますので、千葉県周辺で交通事故に遭われた方は是非とも一度、ご相談下さい。

交差点上の事故での過失割合

2020-04-21

交差点では交通事故が頻発します。

もしも事故に遭ってしまったとき、過失割合がどのくらいになるのか、千葉県の弁護士が解説します。

 

1.信号機のある交差点で直進車同士の事故

まずは信号機のある交差点での直進車同士の事故における過失割合をみていきましょう。

 

一方が青、一方が赤

青信号車と赤信号車の交通事故の場合、青信号車が0%、赤信号車が100%となります。

 

一方が黄、一方が赤

黄信号車と赤信号車の交通事故の場合、黄信号車が20%、赤信号車が80%となります。

 

どちらも赤

どちらの信号も赤の場合、それぞれの過失割合が50%ずつです。

 

2.信号機のない交差点で直進車同士の事故

信号機のない交差点における直進車同士の交通事故の過失割合は、以下の通りです。

 

2-1.同じくらいの道路幅のケース

どちらも同程度の速度

速度が同程度の場合、左側の車両が優先されます。左側車両の過失割合が40%、右側車両の過失割合が60%となります。

 

右側の車両が減速

右側車両のみが減速した場合、右側車両の過失割合が40%、左側車両が60%となります。

 

左側の車両が減速

左側車両のみが減速した場合、右側車両の過失割合が80%、左側車両が20%となります。

 

2-2.一方が広い道路のケース

どちらも同程度の速度

速度が同程度の場合、広い道路を走行していた車が優先されるので、広い道路の車の過失割合が30%、狭い道路の車が70%となります。

狭い道路の車が減速

狭い道路を走っていた車だけが減速した場合、広い道路の車の過失割合が40%、狭い道路の車の過失割合が60%となります。

 

広い道路の車が減速

広い道路の車のみが減速した場合、広い道路の車の過失割合が20%、狭い道路の車の過失割合が80%となります。

 

2-3.一方通行違反がある場合

どちらかが一方通行違反をしていた場合、違反車の過失割合が80%、違反していない車が20%となります。

 

2-4.一方が優先道路の場合

一方が優先道路になっている場合、優先道路車の過失割合が10%、非優先道路車が90%となります。

 

3.信号機のある交差点で直進車と右折車の事故

次に信号機のある交差点で「直進車」と「右折車」が接触した事故の過失割合をみてみましょう。

 

直進車の信号機の色

右折車の信号機の色

直進車の過失割合

右折車の過失割合

20%

80%

40%

60%

50%

50%

青信号で進入し赤信号になってから右折

90%

10%

青信号で進入し黄信号になってから右折

70%

30%

黄信号で進入し赤信号になってから右折

70%

30%

右折の青矢印信号で進入

100%

0%

 

 

4.信号機のない交差点で直進車と右折車の事故

4-1.同じ道路を走行していたケース

同じ道路を対面から走行してきて直進車と右折車が接触した場合、直進車の過失割合が20%、右折車の過失割合が80%となります。

 

4-2.交差する道路を走行していたケース

直進車と右折車が交差する道路を走行してきて事故に遭った場合の過失割合は以下の通りです。

道路幅が同程度のケース

  • 右折車が左方

右折車が左方、直進車が右方の場合、右折車の過失割合が40%、直進車の過失割合が60%となります。

  • 右折車が右方

右折車が右方、直進車が左方の場合、右折車の過失割合が70%、直進車の過失割合が30%となります。

 

右折車が狭路から広路に出るケース

右折車が狭い道路を走っていて直進車が広い道路を走っており右折車が広路に出る際に接触した場合、右折車の過失割合が80%、直進車の過失割合が20%となります。

 

右折車が広路から狭路に入るケース

右折車が広い道路を走っていて直進車が出てきた狭い道路に入る際に接触した場合、右折車の過失割合が40%、左折車の過失割合が60%となります。

 

実際には上記の基本の過失割合を基準として各種の修正要素を適用した上で事案ごとの適切な過失割合を算定します。

 

保険会社から過失割合の提示を受けて妥当かどうか分からない場合、弁護士にご相談いただけましたら適切な過失割合の考え方をお伝えいたします。まずはお気軽にご相談下さい。

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