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会社の社長が交通事故に遭ったときの会社の損害~間接損害、企業損害~

2020-12-25

社長が交通事故に遭うと、会社の売上げが激減してしまう可能性があります。

 

社長の交通事故によって会社が被った損害を、加害者へ賠償請求できるのでしょうか?

 

今回は会社の社長が交通事故に遭った場合の損害賠償請求について、解説します。

 

1.企業損害・間接損害とは

社長が交通事故でケガをしたら、社長本人は治療費や休業損害、慰謝料などの損害について、加害者へ賠償請求できます。

一方社長が働けなくなったことによる減収など会社に発生した損害については、当然に賠償請求できるとは限りません。

 

社長と企業とは別の人格であり、社長がケガをしたからといって必ずしも会社に損害が発生するとはいえないからです。

 

このように、「被害者が死傷したことによって他の人(法人も含む)に発生する損害」を「間接損害」といいます。中でも企業に間接損害が発生する場合を、特に「企業損害」とよびます。

 

2.間接損害、企業損害は原則として認められない

法律上、社長が交通事故に遭った場合に会社に発生する間接損害・企業損害については、原則的に加害者へ請求できないと考えられています。

 

経営者、従業員などの構成員の死傷による損害は、企業経営の際に当然想定されるものだからです。企業は自らの努力によって役員や従業員に発生する事故や事件に備えなければなりません。たとえば、あらかじめ生命保険や傷害保険をかけるなどすべきと考えられています。こうした損害を加害者へ転嫁することは基本的にできません。

 

3.例外的に企業損害が認められるケース

ただし社長が1人で会社経営をしており「社長=会社」とみなせる場合などには、社長に発生した損害がそのまま企業に発生した損害といえるでしょう。

その場合、会社と社長の人格を同視して、例外的に交通事故による売上げ減少分を加害者に賠償請求できる可能性があります。

 

最高裁の判例でも、1人会社の社長が交通事故に遭ったケースで企業損害の賠償請求を認めたものも存在します(最判第二小昭和43年11月15日)。

 

最高裁は、以下のように述べています。

  • 本件における会社は法人とは名ばかりの、俗にいう個人会社であり、実権は社長個人に集中している。また社長は会社の機関として代替性がない
  • 経済的に社長と会社は一体をなす関係にある

このように、交通事故の直接の被害者と間接損害を受けた会社に「経済的一体性」がある場合、交通事故と間接損害との間に因果関係が認められると判断したのです。

 

4.経済的一体性が認められるケース

では、どういったケースで会社と社長に「経済的一体性」が認められるのでしょうか?

  • 従業員数が少なく、社長の1人会社であれば認められやすい
  • 会社の資本金額、売上高が小さければ認められやすい
  • 被害者の立場、業務内容、権限が重要で、社長に代替性がなければ認められやすい

一般従業員が交通事故に遭った場合、通常は間接損害の賠償請求は認められません

  • 会社財産と個人財産との関係が混在していれば認められやすい

 

上記のような事情に多数あてはまるようであれば、会社の売上げ減少分の請求をできる可能性が高くなるでしょう。

 

 

5.反射損害について

社長が交通事故に遭うと、企業に「反射損害」が発生するケースもあります。

反射損害とは、会社が役員や従業員の休業期間に支払う賃金や治療費です。売上げ減少分とは異なり、企業が「肩代わりした損害」といえます。

反射損害については、交通事故によって直接企業に発生した損害といえるので、当然に加害者へ賠償請求できます。

社長や役員が交通事故に遭ったケースではなく、一般の従業員が休業して給料や治療費を立て替えた場合にも、反射損害については賠償請求できると考えましょう。

 

まとめ

1人会社や自営業の方が交通事故に遭うと、一般のサラリーマンの方とは異なる問題が発生するケースが多々あります。

対応に迷われたときには、お気軽に弁護士までご相談ください。

交通事故で弁護士に相談すべきタイミング

2020-11-04

交通事故に遭って多少の困り事があっても、弁護士に相談するにはハードルがあるものです。

「こんなことで弁護士に相談しても良いのだろうか?」

「弁護士に相談するのは、もっとトラブルが大きくなってからで良い」

 

こんな考えを持ち、ご相談に来られない方が多数おられます。

 

弁護士相談のタイミングが遅れたために不利益が大きくなってしまう方も多いので、注意しましょう。

 

今回は交通事故で弁護士に相談すべきタイミングをご紹介します。事故に遭って対応に迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.事故直後

交通事故に遭ったら、直後に弁護士へ相談しましょう。事故直後は、今後の対応方法を定める重要なタイミングだからです。

たとえば事故後、どこの病院に通うかによって後遺障害認定に大きな影響を与える可能性があります。正しい対処方法を知っておけば、常に適切に対応できて後から受ける不利益を小さくできるでしょう。

また事故直後の時点では、被害者はさまざまな不安を抱えているものです。弁護士に相談して「解決へ向けた流れ」を把握しておくと、安心して治療を続けられるメリットもあります。

 

2.保険会社の担当者とスムーズに話を進められない

事故後、被害者が加害者側の保険会社の担当者と話を進めていくとき、コミュニケーションをスムーズに行えないケースが多々あります。

  • 連絡がつきにくい
  • 相手が高圧的な態度に出てくる
  • こちらの言い分をまったく聞いてもらえない

 

困ったときには、弁護士に依頼して交渉の窓口になってもらって解決しましょう。

保険会社の担当者とのやり取りにストレスを感じているなら、弁護士に相談してみてください。

 

3.治療費を打ち切られた

交通事故後、治療期間が長引くと保険会社が治療費打ち切りを打診してくるケースが多々あります。被害者としてはもう少し治療を受けたいのに一方的に支払を止められるので、トラブルになってしまいます。

治療費を打ち切られたときには、正しく対応しないと将来受け取れる慰謝料や休業損害を減額されるおそれがあるので、注意しましょう。

治療費を打ち切られたり打ち切りを打診されたりしたら、必ず弁護士へ相談してください。

4.示談交渉を開始する

保険会社との示談交渉は、被害者が自分で対応するより弁護士に依頼した方が有利になります。弁護士が対応すると、一般の任意保険会社の基準より高額な弁護士基準が適用されて慰謝料などの賠償金が増額されるためです。

示談交渉を開始するなら、そのタイミングで弁護士に依頼して話合いを有利に進めましょう。

5.後遺症が残った、残りそう

交通事故後、後遺障害認定を受けられたら認定等級に応じた賠償金を受け取れるので示談金が大幅にアップします。ただし適切な対応をとらないと期待通りの等級認定を受けられないリスクも高くなります。

後遺症が残って後遺障害認定を受ける際には、必ず弁護士に相談しましょう。自分で手続きを行って非該当となったり等級を低くされたりしたら、弁護士に「異議申立」を依頼して等級を変更してもらう対応も検討してみてください。

 

6.提示された賠償金額が適切かどうか知りたい

保険会社から示談案を提示されて合意すべきか迷っているなら、必ず弁護士にご相談ください。保険会社から提示された賠償金額は、必ずしも適正とは限りません。相場より低くされているケースも多々あるからです。

 

相場より低い場合、弁護士が示談交渉に対応すると賠償金がアップする可能性が高くなります。少しでも疑問があるなら妥協せず、弁護士に相談してみてください。

7.示談が決裂した、決裂しそう

保険会社との示談が決裂して訴訟などの手段に進むときには弁護士によるサポートが必要です。必ず相談しましょう。

8.弁護士費用特約をつけている

任意保険に弁護士費用特約をつけていると、保険会社が弁護士費用を払ってくれます。多くのケースでは無料で弁護士に対応を依頼できるので、必ず活用しましょう。

事故に遭ったら、まずは自動車保険に弁護士費用特約をつけているか確かめてみてください。利用できるようであれば交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士を探して相談の申込みをしましょう。

 

当事務所では交通事故に積極的に取り組んでいます。千葉で交通事故に巻き込まれてお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

ドライブレコーダーは裁判の証拠になるのか?

2020-07-21

最近ではドライブレコーダーの普及も随分と進み、千葉県内の方でも設置している方が多いでしょう。

交通事故が発生したとき、ドライブレコーダーの画像が裁判などの「証拠」になるのでしょうか?

 

今回はドライブレコーダーの証拠価値や必要性について、弁護士が解説します。

 

1.ドライブレコーダーの証拠価値

「ドライブレコーダーはデジタルデータで信用性がないので、裁判の証拠にはならない」と考えている方もおられます。

しかし、ドライブレコーダーの画像や動画は裁判の証拠として使えます。実際にドライブレコーダーの画像が裁判所の判断に決定的な影響を及ぼした事例も少なくありません。

 

ドライブレコーダーとは、前方や後方などの車両の周囲の状況を録画できる記録装置です。

前方のみを録画できるもの、前方と後方の両方を録画できるもの、常に録画を続けるもの、衝突を感じたときのみ録画するものなど、いろいろなタイプがあります。

 

ドライブレコーダーの動画や画像記録は、事故当時の状況を正確に写し取ったものなので、基本的には信用性の高い証拠となります。たとえばドライブレコーダーにはっきり「信号の色」が写っていたら、当時者の説明内容が異なっていてもどちらが正しいか明らかになるでしょう。

 

自分の車に搭載されているドライブレコーダーだけではなく、相手の車のドライブレコーダーの提出を求め、そこから事故状況を把握できる可能性もあります。

 

2.ドライブレコーダーの証拠提出方法

ドライブレコーダーの記録を裁判所に提出する場合、注意点もあります。

まず「一部だけ切り取って提出」すると「編集している、改ざんしている」などと主張される可能性があります。そういった場合、該当部分だけではなく、映像全体のコピーを合わせて提出して対応します。

 

また裁判所が判断するときには基本的に警察の作成した「実況見分調書」を重視する傾向があります。ドライブレコーダーについては「必要に応じて採用する」扱いとなっており、提出しても必ず採用してもらえるとは限りません。

 

一方で、過失割合が重要な争点となっている事案では裁判官からドライブレコーダーの提出を促される可能性もあります。また相手方が「文書提出命令」を申し立てれば、裁判所からドライブレコーダーの提出を命じられます。

 

このようにドライブレコーダーの裁判における取扱いは状況によりかなり異なってくるので、その場に適した対応が要求されます。

 

3.ドライブレコーダーの必要性

ドライブレコーダーは事故防止に役立ちますし、事故が発生したときに有利な資料となります。

3-1.保険会社に提出して事故の状況を明らかにできる

ドライブレコーダーの記録が問題になるシーンは裁判だけではありません。保険会社との示談交渉でも事故の状況が問題になったらドライブレコーダーで立証できます。

保険会社の場合、通常はドライブレコーダー本体に差し込んであるSDカードやUSBメモリを提出すれば、中身を確認してもらえます。

相手と言い分が食い違っていても、ドライブレコーダーの記録でこちらが正しいこと証明すれば、示談を有利に進められるでしょう。

 

3-2.当て逃げやひき逃げにおける犯人特定

当て逃げやひき逃げに遭ったら、犯人を特定しなければなりません。その場合にもドライブレコーダーの記録が役立つケースが多々あります。車の近くにいないときに当て逃げされて目撃者もいない場合には、ドライブレコーダーの画像のみが頼りとなるでしょう。

映像データに相手のナンバーや車の特徴、人物像などが写り込んでいたら、犯人を突き止めるのが容易になります。警察に提出し、捜査に役立ててもらいましょう。

 

ドライブレコーダーがあると、交通事故が起こったときにスムーズな解決につながりやすくなります。「弁護士費用特約」と並んで交通事故対策に重要なので、ぜひ設置してみてください。

新型コロナ流行!運送業者は過重労働による交通事故に要注意【弁護士解説】

2020-04-14

新型コロナウイルスが大流行し、千葉県でも緊急事態宣言が発令されました。

自宅に閉じこもる人が多い中、ネットショッピングの利用増加などにより配送業の需要が高まって各運送業者は多忙な状態となっています。

 

ドライバーにかかる負担も大きくなっており、交通事故に注意が必要です。

 

今回は新型コロナウイルスが流行する中、交通事故が起こったときにどういった扱いになるのか、運送業者が注意すべき点などを弁護士が解説していきます。

 

1.過重労働による交通事故に注意

新型コロナウイルスの蔓延を防止するため、各都道府県で「緊急事態宣言」が出されて多くの人が自宅に引きこもっています。

そのような中、需要が高まっているのが配送業です。ドライバーや車両の数が足りず、1人1人の労働者にかかる負担が高まっています。法律の定める労働時間を大きく超過して働くドライバーもいらっしゃるでしょう。

 

過重労働が続くと、居眠り運転などにより交通事故を起こすリスクが高まるので注意が必要です。法律上も以下のようなリスクがあります。

 

1-1.居眠り運転や著しい不注意があると過失割合が高くなる

交通事故が発生したら、被害者と加害者の「過失割合」を算定するものです。一方当事者が「居眠り運転」をしていたら、そちらの当事者の過失割合は当然高くなります。一般的なケースよりも20%程度、過失割合が上がる可能性もあります。

 

また前方不注視、不適切なハンドルブレーキ操作などによって事故を起こした場合にも過失割合が加算されます。

 

1-2.刑事事件の処分が重くなる

居眠り運転は道路交通法上も問題となります。道路交通法は「過労などの影響で正常な運転ができない状態」での運転を禁じているからです(道路交通法66条)。

過労によって居眠り運転をすると、事故を起こさなくても道路交通法違反で書類送検される可能性がありますし、万一事故を起こすと重い刑事罰を課される可能性が高まります。

 

大型トラックなどで居眠り運転をして危険な交通事故を発生させたら「危険運転致死傷罪」が成立して実刑判決が出てしまう可能性もあります。

 

1-3.免許が停止、取消となる

居眠り運転で悪質な交通事故を起こすと、免許の点数が大きく加算されます。免許停止や取消となれば、仕事を続けられなくなるリスクが発生します。

 

1-4.企業の責任も問われる

自社従業員に過重労働を強いて交通事故につながったとなれば、雇い入れている企業にも大きな責任が発生します。

従業員が交通事故を起こした場合には「使用者責任」が発生するので、企業も賠償金を負担しなければなりません。また違法な長時間労働を課していたら労働基準法違反となり、罰則を適用される可能性もあります。ドライバーが交通事故で死亡してしまったら、遺族から高額な賠償金請求を受けるでしょう。

 

「多忙」を理由にドライバーのケアを怠って長時間労働を課していると、交通事故が発生してさまざまな重大な問題が発生する危険があります。そういったことのないよう、十分なリスク管理が必要です。

 

2.けがをしても医療を受けにくいおそれがある

加えてもう1つ、懸念されるのが医療の問題です。今、多くの医療機関では新型コロナの患者を受け入れてぎりぎりの状況にあるといわれています。

このような状況下で交通事故が発生すると、場所によっては受け入れ先の救急病院が見つからないおそれがあります。

事故に遭ってもすぐに適切な医療を受けられず、死亡や後遺障害などの重大な結果につながるリスクが高まっているので、運送業を始めとして車を運転する方は、くれぐれも事故を起こさないように注意すべき状況といえます。

 

万一交通事故を起こしてしまったり巻き込まれたりしたら、可能な限り不利益を小さくするため弁護士がサポートします。千葉県で交通事故に遭ったなら、すぐにでもご相談いただけましたら幸いです。

弁護士に依頼して得になるケースと損になるケース

2019-10-01

 

交通事故に遭ったとき、弁護士に示談交渉を依頼することによってメリットを得られる場合と得られない場合があります。弁護士に依頼すると弁護士費用が発生するので、払った費用以上に賠償金が増額されなければ損になります。

 

具体的にはどのような交通事故であれば、弁護士に依頼してメリットを得られるのでしょうか?

 

今回は、交通事故で弁護士に依頼して得になるケースと損になるケースについて、解説していきます。

 

1.交通事故で弁護士に依頼して得になるケースとは

弁護士に依頼して得になる可能性のあるケースは、以下のような場合です。

  • 人身事故に遭って、3か月以上通院した
  • 人身事故に遭って入院した
  • 事故で後遺障害が残りそう、または残った
  • 過失割合について争っている
  • 被害者が死亡した
  • 弁護士費用特約を利用できる

 

2.交通事故で弁護士に依頼して損になるケースとは

弁護士に依頼して損になる可能性があるケースは、以下のような場合です。

  • 物損事故で自動車の修理費用や過失割合についてもめている
  • 人身事故でも軽傷でほとんど通院をしていない

 

ただし上記のようなケースでも、「弁護士費用特約」を利用できれば依頼して得になる可能性が高くなります。

 

2.弁護士費用の計算方法

弁護士に依頼してメリットを得られるかどうかは、弁護士費用がどのくらい発生するのかと密接に関わります。

そこで、弁護士費用の計算方法を理解しておきましょう。

2-1.重要なのは着手金と報酬金

弁護士費用の中でも重要で高額になりやすいのは着手金と報酬金です。着手金は弁護士に依頼するとき、当初に発生する費用です。報酬金は、弁護士に依頼して賠償問題が解決したときに発生する費用です。

 

2-2.それぞれの相場

示談交渉の場合、着手金は、無料または10万円程度に設定されている事務所が多数です。

報酬金は、弁護士が介入したことによって得られた利益の15~20%程度が相場です。「10万円+10%」などの「定額+パーセンテージ」に設定されている事務所もあります。

 

2-3.得になるか損になるかの分岐点

以上をあてはめてみた場合、具体的にどのくらいの規模の交通事故であれば弁護士費用以上の利益を得られるのでしょうか?

 

人身事故なら依頼して得になる可能性が高い

まずは人身事故か物損事故かで違いがあります。物損事故で車の修理費用や代車費用が問題となっている場合、弁護士が介入しても大幅に示談金が増額される可能性が低いので、弁護士に依頼しても着手金の分、足が出てしまう可能性が高くなります。人身事故なら得になる可能性があります。

 

入院した、治療期間が半年以上

人身事故の場合、一定以上の治療期間があるかどうかがポイントです。弁護士に依頼すると「慰謝料」が大幅に増額されますが、増額幅は治療期間が長くなると大きくなりやすいからです。最低でも3か月、半年も通院すれば、弁護士費用を払っても利益を得られるでしょう。また入院すると弁護士基準による慰謝料が大きく増額されるので、依頼するメリットが大きくなります。

 

後遺障害が残る

後遺障害が残ると、高額な後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われますが、後遺障害慰謝料は弁護士に依頼すると2~3倍程度にまで増額されます。後遺障害が残った場合には弁護士に依頼するべきです。

 

死亡事故

被害者が死亡した場合の死亡慰謝料も弁護士に依頼すると大きく増額されるので、依頼するメリットが大きくなります。

 

過失割合について意見が合わない

過失割合について争いがある場合、弁護士が介入することによって過失割合が修正され、被害者が受け取れる金額が大きく上がる可能性があるので、相談してみる価値があります。

 

3.弁護士費用特約が使えるなら弁護士に依頼すべき

物損事故や小さな人身事故のケースでも「弁護士費用特約」を利用できるなら弁護士に依頼するべきです。弁護士費用が0円になるからです。弁護士に依頼することによって1円でも賠償金が増額されれば得になりますし、金額以外にも労力面、精神面でサポートを受けられるメリットが大きくなります。

 

 

世間では、むちうちなどで後遺障害が残っているにもかかわらず「こんな小さな事故で弁護士に相談するのは気が引ける」と考えて相談を躊躇される方がいらっしゃいます。

しかし多くの人身事故では弁護士に依頼することでメリットを得られます。自分では適切に判断できない場合、弁護士がアドバイスをいたしますのでお気軽にご相談下さい。

高齢者の交通事故の概況と対策方法について

2019-07-29

近年、高齢者が大きな交通事故を起こした事件が相次いで報道されており、多くの方が「高齢者の運転は危険」という認識をお持ちでしょう。

実際に高齢者が引き起こす交通事故はどのくらい増えているのでしょうか?

なぜ高齢者は事故を起こしやすいのでしょうか?

 

今回は高齢者の交通事故の特徴と考えられる対策方法を、弁護士の視点からお伝えしていきます。

 

1.高齢者の交通事故は増えている

ニュースなどでは高齢者の引き起こす交通事故に関する報道が増えているように感じますが、実際に高齢者による交通事故件数は増加しているのでしょうか?

警視庁が発表している「平成30年交通安全白書」によると、交通事故の全体件数は平成16年において952,720件であったところ平成29年には472,165件にまで減少しています。

全体の件数がこれだけ減っているので、高齢者が関与する交通事故の件数自体は減少しています。

 

ただし「割合」にすると、高齢者事故の割合は若者の関与する事故よりも大きくなります。

平成19年の時点における交通事故の死者数は65歳未満の人が3,047人、65歳以上の高齢者が2,749人で若年の死亡者の方が多かったところ、平成22年にこの数字が逆転しました。

今は65歳未満の若年者層が1,674人であるのに対し高齢者は2,020人となっており、高齢者の死者数の方が多い状況が続いています。

人口10万人に対する比率にすると、高齢者以外の死者数は1.8人ですが高齢者の場合には5.8人にまで増加します。

 

この数字には高齢者が加害者としてではなく被害者となっている事故も含まれますが、少なくとも「高齢者が関与して死亡する交通事故が増えている」事実が読み取れます。

 

平成30年交通安全白書

https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h30kou_haku/gaiyo/genkyo/h1b1s1.html

 

2.高齢者の交通事故が多い理由

高齢者は、なぜ交通事故に遭ったり引き起こしたりする割合が高くなるのでしょうか?

理由として以下のようなことが考えられます。

2-1.注意力の散漫

交通事故に遭わないためには、注意力が要求されます。常に周囲に注意を払い、人やバイクが飛び出してこないか,他の車の動きなどを見ていなければなりません。しかし高齢者は注意力や集中力が低下して散漫となってしまいやすいので、人や他の車を見逃して事故を起こす可能性が高くなります。

2-2.認知機能の低下

高齢者は認知機能が低下しているケースも多々あります。認知症の診断を受けていなくても実際にはそれに近い状態の方もいますし、認知症とまでいかなくてもぼんやりしている程度の方は少なくありません。

認知機能が低下していると、周囲で何が起こっているのか認識しにくいので事故を起こしてしまいます。

2-3.ハンドル・ブレーキ操作不適切

高齢者は、反射神経や瞬発力なども低下しているので、何かあったときのとっさの対応が困難です。いきなり人が飛び出してきたときなどに適切なハンドルブレーキ操作をできず、事故を起こしてしまいます。

2-4.アクセルとブレーキの踏み間違え

高齢者は、認知機能や運動能力が低下していることもあってアクセルとブレーキを踏み間違えることが多々あります。停止すべき状況において一気にアクセルを踏みこみ、人の方向へ突っ込んでしまうケースが散見されるのはそのためです。

 

3.高齢者事故を防ぐには

日本では元気な高齢者が増えて、年齢を重ねても運転し続ける人が増えています。

一定年齢になったら免許を返納させるべきという意見も聞こえてきますが、現状の法律ではそういった規制は行われていません。

事故を防ぐには、1人1人の自主的な努力が必要です。

親族に高齢者の方がいたら、なるべく運転を控えるように言ったり、家族で運転の問題について話し合ったりして、免許を返納させるか、それが無理でもなるべく運転させないようにしましょう。

免許を返納したくないという方でも、同年代の人から「免許を返納した」という話を聞くと、抵抗感なくスムーズに受け入れるケースが多いようです。

 

交通事故が起こったら、加害者も被害者もそれぞれの家族も全員が不幸になります。高齢者の交通事故割合が高くなっている今の日本において、自分たちの身を守るためしっかりと意識を持って対策していきましょう。

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