相手が信号無視をした交通事故の正しい対処方法を弁護士が解説

交通事故の相手が「信号無視」をしていたら、過失割合や賠償金の計算などの際に慎重な対応が必要です。

相手が信号無視を否定するケースもよくあるので、立証方法も把握しておきましょう。

 

今回は交通事故の相手が信号無視をしていた場合の正しい対処方法を、千葉県の弁護士が解説します。

 

1.信号無視の交通事故における過失割合

交通事故で一方当事者が信号無視をしていると、当然その当事者の過失割合が大きくなります。

信号無視は「赤信号」だけではありません。道路交通法により「黄信号の場合には原則として停止しなければならない」とされているので、黄信号で交差点に進入した場合でも「信号無視」となる可能性があります。

 

以下で典型的な信号無視の事案における過失割合をみていきましょう。

 

1-1.交差点で直進車同士の交通事故

  • 一方が赤、一方が青…赤信号の車が100%、青信号の車が0%
  • 一方が赤、一方が黄色…赤信号の車が80%、黄信号の車が20%
  • どちらも赤…50%:50%

 

1-2.交差点で右折車と直進車の交通事故

 

直進車側の色

右折車の色

直進車の過失割合

右折車の過失割合

黄色

青信号で進入して黄信号になってから右折

70%

30%

黄色

黄色

40%

60%

赤色

赤色

50%

50%

赤色

青信号で進入して赤信号になってから右折

90%

10%

赤色

黄信号で進入して赤色に変わってから右折

70%

30%

赤色

右折の青矢印信号

100%

0%

 

以上のように、どちらかの当事者が信号無視しているとその当事者の過失割合が大きく上がります。特に赤信号を無視すると責任が重くなるので注意が必要です。

 

 

2.信号無視されると慰謝料が増額される可能性がある

相手が信号無視していた場合、通常の相場より慰謝料が増額される可能性があります。信号無視は悪質な道路交通法違反で、責任が重くなるからです。

 

どのくらい増額されるかは、ケースによって異なります。信号無視した相手がひき逃げした場合や事故後の対応が不誠実な場合などには増額割合が大きくなります。反対に信号無視してもその後に誠実に対応した場合などには、あまり増額されない可能性もあります。

 

弁護士であれば適切な慰謝料の金額を算定できるので、相手からの提示額に疑問を持たれたらお気軽にご相談下さい。

 

3.信号無視を否定された場合の立証方法

信号無視をした相手が、示談交渉時に「信号無視していなかった」と主張し始めるケースがよくあります。相手が嘘をついたら、以下のような方法で立証を検討しましょう。

3-1.実況見分調書や供述調書を取り寄せる

事故直後に行われた実況見分の調書や、事故直後にとられた相手の供述調書に本当の信号機の色が記載されている可能性があります。検察庁に照会をしてこれらの書類を取り寄せれば相手の嘘を崩せます。

3-2.目撃者を探す

事故の目撃者が信号機の色を確認していれば、証言を得ることによって信号機の色を立証できます。

3-3.ドライブレコーダーを確認する

当事者の車や周辺車両にドライブレコーダーが設置されていて信号機の色が写っていれば、当時の信号機の色を判定できます。

3-4.信号サイクル表を分析する

都道府県の警察本部に保管されている信号サイクル表を分析することにより、事故当時の信号機の色を推定して相手の嘘を崩せるケースもあります。

 

信号機の色を証明するには、実況見分調書や信号サイクル表の取り寄せや分析が必要です。

お一人で対応するのが困難な場合には、お早めに弁護士にご相談下さい。

 

4.信号無視した相手に成立する刑事責任

信号無視は重大な道路交通法違反です。交通事故を起こした当事者には「自動車運転処罰法違反」の罪が成立しますが、単純な人身事故のケースよりも信号無視をした分、刑事罰が重くなります。

また信号無視で危険運転をしていた場合「危険運転致死傷罪」が成立し、22年6か月以下の懲役刑など極めて重い刑罰が適用される可能性があります。

ひき逃げをすると、さらに罪が加重されます。

 

相手の刑事裁判の行方を知りたい方は、被害者参加制度を使って相手の刑事裁判に参加し被害者の立場から意見を述べたり尋問をしたりできます。

弁護士が被害者の代理人を務めることもできますので、関心があったらご遠慮なくお問い合わせ下さい。

 

悪質な信号無視の交通事故で被害に遭ったら、適切に損害賠償を受けるべきです。相手や保険会社の対応に疑問や不安がありましたら、お早めに弁護士までご相談下さい。

 

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