K氏は、日本人と結婚した外国人の方で、2児の母でした。妊娠中に交通事故に遭ってしまい、当事務所に相談にいらっしゃいました。
交通事故の後、育児と家事を手伝ってもらうために両親に来日してもらっていたのですが、その両親の旅費も交通事故の損害として賠償を受けられるかが争点となりました。
このような場合、保険会社は親族の旅費は交通事故と相当因果関係がないとして否認するのが一般的です。本件でも、当初は同じ理由で否認されました。
そこで、本件と似たケースで過去に裁判例で認められた「韓国籍の妊娠中の主婦が頚椎捻挫等の傷害を受け、心配した両親が韓国から来日した場合につき、往復の渡航費用として1名分が認められた事例」(東京地判平10.1.28交民31巻1号106頁)などを材料として粘り強く交渉しました。
その結果、最終的に両親の旅費についても損害として賠償を受けることが認められ、示談することができました。
このように保険会社と交渉するに際しては、裁判例を根拠にすることが極めて有効です。