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事前認定と被害者請求の違い、選択方法について

2019-12-04

交通事故で後遺障害認定を受ける際「事前認定」と「被害者請求」の2種類の方法があります。

どちらを利用するかによって後遺障害認定されるかどうか結果が変わるケースもあるので、それぞれがどういった方法なのか正しく理解しておきましょう。

 

今回は「事前認定」と「被害者請求」の基本とメリットデメリット、選択方法などを千葉の弁護士が解説します。

 

1.事前認定とは

事前認定とは、相手の任意保険会社に後遺障害認定の手続きを任せる方法です。

被害者が自分で保険会社と示談交渉を進める場合には、たいてい事前認定の方法で後遺障害認定の手続きが進められます。

1-1.事前認定の手続きの流れ

事前認定の場合、被害者は「後遺障害診断書」さえ用意すれば足ります。

自賠責保険の後遺障害診断書の書式を用意して医師に渡し、作成を依頼します。完成したら医師から診断書を受け取り、保険会社へ郵送します。これだけで後遺障害認定申請の手続きが完了します。

結果が出たら任意保険会社から通知されます。

1-2.事前認定のメリット

事前認定のメリットは、手続きが非常に簡単なことです。後遺障害診断書を用意して相手に送るだけなので、誰でも対応できるでしょう。費用もかかりません。

1-3.事前認定のデメリット

デメリットは、手続きがどのように行われているかわからないことです。被害者が有利な資料を積極的に提出したり、調査事務所に直接事情を説明したりすることもできません。

後遺障害認定を受けられるかどうかが微妙なケースなどでは、適切に判断されない可能性も発生します。

 

2.被害者請求とは

被害者請求とは、被害者が自ら自賠責保険へと後遺障害認定の申請をする手続きです。

被害者請求をするときには非常にたくさんの書類を用意しなければならず、手続きが煩雑です。ただ自分で手続きを進められるので安心感がありますし、いろいろな工夫もできます。

2-1.被害者請求の方法

被害者請求の際には、以下の手順で手続きを進めます。

  1. 後遺障害診断書を入手する

医師に依頼して後遺障害診断書を作成してもらいます。

  1. その他の必要書類を入手する

保険金請求書、事故発生状況報告書、診断書、診療報酬明細書、レントゲン検査の資料等の必要書類を作成・入手します。

  1. 自賠責保険(共済)へまとめて提出する

書類がそろったら自賠責保険へまとめて郵送します。

  1. 調査事務所からの照会等に対応する

その後、調査機関である調査事務所からの照会などがあるので回答します。

  1. 結果の通知を受ける

調査の結果、後遺障害認定を受けられるかどうかが決まったら結果の通知が届きます。

 

2-2.被害者請求のメリット

被害者請求のメリットは、被害者が自分の裁量で積極的に後遺障害認定が認められるよう主張したり資料提出したりできることです。難しい事案でも認定を受けられる可能性が高くなります。また自分で手続きを進めるので手続きの透明性も確保され、安心感があります。

2-3.被害者請求のデメリット

デメリットは手続きが煩雑で労力がかかることです。素人の方にはハードルが高いと感じるケースもあるでしょう。また診断書や診療報酬明細書などの資料収集の際に実費が発生します。

 

3.事前認定と被害者請求、どちらを選択すべきか

選択の基準としては、以下のように考えると良いでしょう。

3-1.後遺障害が明らかでほぼ確実に認定を受けられるなら事前認定

後遺障害の内容が明らかに検査結果によって証明されていて、認定される等級についても争いが発生しそうにないケースでは事前認定を利用しても問題はありません。

3-2.認定を受けられるかどうか微妙、争いがあるなら被害者請求

資料収集状況などからして後遺障害認定されるかどうか微妙なケース、等級に争いが発生しそうなケースなどでは自分で確実に手続きを進められる被害者請求を選択しましょう。

 

交通事故被害者にとって後遺障害認定は非常に重要な手続きです。お一人で対応するより弁護士に相談しながら進める方が確実です。千葉で交通事故に遭われて後遺障害が残りそうな方は、より確実に高い等級の認定を受けるため、お気軽にご相談下さい。

後遺障害診断書の作成方法とポイント

2019-11-27

交通事故で後遺症が残ったら「後遺障害診断書」を入手しなければなりません。後遺障害診断書への記載内容1つで後遺障害が認定されるかどうかが変わるケースもあるので、後遺障害診断書は被害者にとって非常に重要な書類と言えます。

 

今回は後遺障害診断書の作成方法や医師に作成を依頼する際の注意点を解説します。

 

1.後遺障害診断書とは

後遺障害診断書とは、後遺障害の内容に特化された診断書です。

診断書とは、医師が患者の症状や状態、寛解の見込みなどについて記載する書類ですが、後遺障害診断書はその中でも後遺障害についての事項について詳しく書かれているものです。

交通事故で後遺障害診断書が必要になるのは、後遺障害認定のためです。

事故後治療を受けても完治せずに後遺症が残ったら、自賠責保険で後遺障害認定を受けなければなりません。その際に後遺障害診断書の内容が非常に重視されています。

 

後遺障害診断書に記載されている内容に不備や不足があると、本来は後遺障害認定を受けられるはずのケースでも認定されません。適正に後遺障害認定を受けて賠償金を払ってもらうため、後遺障害診断書をきちんと作成することが非常に重要です。

 

2.後遺障害診断書の作成・入手方法

後遺障害診断書はどのようにして入手すれば良いのでしょうか?

2-1.専用の書式を用意する

自賠責の後遺障害認定では、定まった後遺障害診断書の書式があります。そこでまずは被害者が自分で後遺障害診断書の「書式」を入手しなければなりません。

保険会社に言えば後遺障害診断書の書式を送ってもらうことができます。弁護士に示談交渉等の対応を依頼している場合には弁護士から書式をもらえるでしょう。当事務所でも対応しております。

 

2-2.医師に後遺障害診断書の作成を依頼する

後遺障害診断書の書式を用意したら、医師にその書式を渡して作成を依頼します。このとき、医師によっては後遺障害診断書の作成に慣れておらず、どのように書いたら良いか迷われるケースがあるので要注意です。できればどういった点に注意して書くのが良いか、医師に要点を説明しながら書いてもらうのが望ましいでしょう。

 

2-3.お金を払って受け取る

医師が後遺障害診断書を作成するのに、通常1~2週間程度かかります。完成したら連絡してもらえるので、病院で診断書の代金を払って受け取ります。料金額はだいたい1万円程度です。払った費用は後遺障害が認定されれば後から加害者へ請求できるので、領収証をとっておきましょう。

 

3.後遺障害診断書を作成する際のポイントと注意点

後遺障害診断書は、基本的に医師が作成するものなので、医師に任せるほかありません。ただし以下のような点は重要となるので、被害者としても注意しておくべきです。

3-1.後遺障害の内容を正確に書いてもらう

後遺障害の内容を正確に反映してもらう必要があります。たとえば記入漏れによって後遺障害の内容が伝わらなかったら認定を受けられない可能性が高まります。

特に医師が後遺障害診断書の作成に不慣れだと、勘違いで記入ミスを起こすケースもあるので要注意です。

 

3-2.必要な検査をした上で書いてもらう

後遺障害診断書には、各症状に応じた検査結果を網羅的に書いてもらう必要があります。必要な検査をしていなければ、まず検査をしてから記入をお願いしましょう。また可動域制限のケースなどでは「主要運動」だけではなく「参考運動」まで書いてもらうことで後遺障害認定を受けられる事例などもあり、検査結果の書き方にも注意が必要です。

 

3-3.被害者の自覚症状を正確に書いてもらう

後遺障害診断書には被害者の自覚症状を書く欄がもうけられています。ここにはできるだけ一貫して症状が継続していることをわかりやすく記載してもらうべきです。自覚症状に不自然な変遷があったりあまり自覚症状がなかったりするような記載があると、後遺障害を否定されるリスクが高まります。治療中からしっかり医師とコミュニケーションをとっておきましょう。

 

後遺障害診断書の作成を依頼するとき、弁護士から医師に連絡を差し上げて作成のご相談やアドバイス、お願い事項の伝達なども行えます。千葉で事故に遭い、これから後遺障害認定を受けようと考えておられるなら、是非とも一度ご相談下さい。

後遺障害認定結果に不満がある場合の対処方法

2019-09-02

 

交通事故で後遺障害等級認定の申請をしても、期待どおりの等級が認定されるとは限りません。たとえばむちうちの場合、MRI画像などに他覚所見が認められないため非該当となってしまったり、12級を目指していたのに14級となってしまったりする例が多くみられます。

 

いったん非該当となったり低い等級になったりしても、「異議申立て」やその他の方法で争うことが可能です。

 

以下では後遺障害認定結果を争う方法をご紹介します。

 

1.異議申立て

1つ目の方法は、自賠責保険や共済へ異議申立てを行うものです。

後遺障害認定が出ると、認定を下した自賠責保険や共済そのものに対し、再審査を求めることが可能です。その手続きは「異議申立て」と呼ばれています。

異議申立てによって1回目とは別の資料を提出し、因果関係や後遺障害に該当する症状を立証できれば等級が認められたり変更されたりする可能性があります。

 

異議申立ての手続き方法としては「異議申立書」という書類を提出するだけで足り、費用はかかりません。期間や回数制限もなく、示談が成立するまでであればいつまででも何度でも申立てできます。

 

ただし判断するのが1回目と同じ自賠責保険や共済なので、同じ方法で申立をしても結果は変わらないでしょう。効果的に異議申立ての手続きを利用して等級変更を目指すなら、まずは一度目の敗因をしっかり分析する必要があります。そしてその分析結果をもとにして、新たな診断書をとりつけたりこれまで実施していなかった検査を実施してその結果を添付したり、場合によっては医師に意見書を書いてもらったりする必要があります。因果関係が問題となっているならその説明なども行うべきです。

 

被害者お一人の力で異議申立てを成功させるのは困難ですから、手続きされる際には弁護士にお任せ下さい。

 

 

2.自賠責保険・共済紛争処理機構

後遺障害認定結果を変更させる2つめの方法として「自賠責保険・共済紛争処理機構」の利用が挙げられます。これは交通事故ADR(裁判外の紛争処理機関)の1種で、当事者と自賠責保険とのトラブル解決を目的に設置されています。

自賠責での決定内容や保険金支払いなどに関して当事者に不満がある場合、紛争処理機構に訴え出ると、紛争処理機構は自賠責の判断内容が適正かどうか判定します。

自賠責保険や共済は紛争処理機構の決定事項に従うので、ここで等級が変更されたり認定されたりしたら、自賠責でもそのまま有効な決定として取り扱ってくれます。

 

自賠責保険・共済紛争処理機構の仕組みは、「調停」と呼ばれますが基本的に「書面審理」です。一般の交通事故ADRや調停のような「話し合い」ではありません。

判定を覆すには、適切な資料の収集と提出、書面によるわかりやすい説明が必須となります。

被害者お一人で効果的に立証等行うのは難しいので、やはり弁護士に依頼する必要があると言えます。

 

3.訴訟

自賠責保険における異議申立て(再審査)や自賠責保険・共済紛争処理機構の調停で結果が変わらなかった場合でも、訴訟をすれば後遺障害認定結果が変わる可能性があります。

裁判所は終局的な紛争解決機関ですから、自賠責保険や自賠責保険・共済紛争処理機構の判断内容に拘束されず、当事者の主張や証拠に基づいて自由に判断できます。

 

判断するのは自賠責とも紛争処理機構とも全く異なる裁判所(裁判官)であり、判断の過程や方法も異なるため、同じ資料でも判断が覆る可能性が充分にあります。

 

また裁判所が後遺障害認定を認めた場合、慰謝料や逸失利益は「裁判基準」で計算されます。すると自賠責基準や任意保険会社の基準より大幅に高額になる可能性が高い(後遺障害慰謝料の場合2~3倍程度になります)ので、被害者にとって非常に有利です。

 

一般に「裁判」というと構えてしまう方が多いのですが、現実には裁判によって有利な結果を得られるケースが多々あります。弁護士がついて適切な対処をするなら、不安に思う必要はありません。

 

当事務所では交通事故被害者の方への支援に積極的に取り組んでいます。後遺障害認定結果に納得できないなら、一度お気軽にご相談下さい。

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