交通事故の免責証書とは?示談書との違いや作成の注意点を弁護士が解説

交通事故で保険会社と示談交渉を進めていると「免責証書」の差し入れを求められるタイミングあります。

「免責証書」とはどういった書類なのか、法的効力や示談書との違い、作成する際の注意点を解説します。

 

1.免責証書とは

免責証書は、示談が成立したときに示談内容を明らかにする書類です。免責証書を差し入れると、示談がその内容で確定し、異なる主張は原則としてできなくなります。

この意味で、免責証書は「示談書」と同じ効果を持つといえるでしょう。

 

免責証書には、以下の内容が記載されます。

  • 当事者名
  • 保険会社名
  • 事故年月日
  • 事故の起こった場所
  • 車のナンバー
  • 示談金の金額
  • 支払方法
  • 振込先の口座

 

示談が成立すると、保険会社が免責証書を作成して被害者宛てに送付してきます。被害者が署名押印して返送すると正式に示談が成立し、1~2週間程度で示談金が振り込まれるのが一般的な流れです。

 

書式は保険会社によって異なり、示談が成立した時点で保険会社が送ってくるので被害者が自分で作成する必要はありません。

 

2.免責証書と示談書の違い

免責証書と示談書は似ていますが、異なる点もあります。

 

2-1.作成する人が違う

もっとも大きな違いは、作成者です。免責証書は「被害者のみが署名押印」するので被害者が作成する書類といえます。一方示談書は「被害者と加害者の双方が署名押印」して成立させるものです。

免責証書は被害者のみが作成、示談書は被害者と加害者が作成する、という違いがあります。

2-2.拘束される人が違う

免責証書と示談書では「書類によって拘束される人」が異なります。

示談書の場合、被害者と加害者の双方が署名押印して内容に拘束されます。加害者がいったん示談書に署名押印したら、期日までに支払をしなければなりません。支払わなければ被害者は裁判を起こして賠償金を請求できます。

 

免責証書の場合、内容に拘束されるのは「署名押印した被害者のみ」です。加害者が支払をしなくても「免責証書違反」になりません。実は免責証書を作成しても、保険会社や加害者に支払を強制する効果はないのです。

この点は、示談するときに非常に重要なポイントとなるケースもあるので、必ず押さえておいて下さい。

 

3.免責証書を作成する際の注意点

免責証書を作成するときには、以下の3点に注意しましょう。

3-1.当事者同士で示談するときには適さない

1点目は、「免責証書は当事者同士で示談する場合には適さない」ことです。

先に言いましたが、免責証書は「加害者を拘束しません。」被害者が「定められた金額を払ってもらったら他の請求はしません」と表明し、相手の責任を免除するだけです。

保険会社が相手の場合、そういった書き方でも保険会社が必ず支払いをするので問題ありませんが、相手が本人の場合にはそうはいきません。被害者が免責しただけでは相手から支払われる保障がありません。

必ず通常の示談書(当事者双方が署名押印するもの)を作成し、相手にも署名押印させましょう。

3-2.内容が間違っていないか

保険会社から免責証書を送ってこられたとき、保険会社が先に内容を書き入れている場合があります。受け取ったら、間違いが無いかしっかりチェックしましょう。示談金額、当事者名の表示などが違っていたら訂正を求めてください。

自分で書き入れる場合には、間違えないように慎重に対応しましょう。

 

3-3.賠償金の金額は適正か

最後に提案された「賠償金の金額が適正か」確認しましょう。特に後遺障害が残ったケースや治療期間が長引いたケースでは要注意です。

保険会社が提示する金額は、「保険会社基準」で計算されているため、慰謝料や休業損害が法的基準と比べて著しく低くされる可能性があります。そんなとき、気づかずに免責証書にサインしてしまったら、本来より受け取れる賠償金が少なくなってしまいます。

法的な基準に照らして適正かどうか確認してから免責証書に署名押印した方が安心といえるでしょう。

 

弁護士にご相談いただけましたら、事案内容をおうかがいして弁護士基準による適正な賠償金額を算定させて頂きます。千葉で交通事故に遭われて免責証書にサインを求められた方は、お気軽にご相談ください。

 

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