示談書を公正証書にすべきケースと作成方法について

交通事故で加害者側と示談するとき、必ずしも示談書を「公正証書」にする必要はありません。

ただし状況によっては、公正証書作成を強くお勧めする場面があります。

今回はそもそも公正証書とはどのようなものなのか、示談書を公正証書にすべきケースや作成方法について、千葉で交通事故に積極的に取り組んでいる弁護士が解説します。

 

1.公正証書とは

公正証書とは、公務員の1種である「公証人」が職務として作成する公文書です。

一般の民間人が作成した文書を比べると信用性が非常に高く、公証役場で原本が保管されるため紛失や書き換えなどのリスクもありません。

 

また公正証書には「強制執行認諾条項」をつけることが可能です。これをつけておけば、金銭債務の債務者が支払いをしなかったとき、債権者は公正証書を使って債務者の財産の差押ができます。

 

たとえばお金を貸したときの「金銭消費貸借契約書」を公正証書にしておくと、借主が支払わなかったときに貸主がすぐに借主の給料や財産を差し押さえて債権回収できます。

 

2.交通事故示談で公正証書を作成するメリット

交通事故の示談で公正証書を作成するメリットは、公正証書を作成すると「示談金が不払いになったときに回収が容易になる」ことです。

被害者と加害者が話し合いをして示談が成立しても、加害者が約束通りに支払ってくれるとは限りません。分割払いの約束をした場合などには、途中で不払いになってしまうリスクも高くなります。

 

そんなとき、示談書が公正証書になっていれば被害者は裁判をせずに直接加害者の財産を差し押さえられます。もしも公正証書ではない単なる当事者間の示談書しかなければ、いったん裁判をしてから差押えをしなければならないので手間がかかりますし、その間に加害者が財産隠しをするおそれも高くなります。

 

こういったリスクを考えると、被害者としてはできるだけ示談書を公正証書にしておく方が安心といえるでしょう。

 

3.交通事故で公正証書を作成すべきケース

交通事故が発生したとき、必ず公正証書が必要なわけではありません。

公正証書を作成すべきケースは以下のような場合です。

 

  • 加害者が無保険(任意保険に加入していない)で、被害者と加害者が直接交渉して示談した
  • 示談金の支払い方法が分割払いになっている

 

相手が保険会社の場合には不払いとなる可能性がほとんどなく、公正証書を作成する必要はありません。一括払いよりも分割払いの方が不払いのリスクが高まるので、公正証書を作成する必要性が増します。

 

4.公正証書を作成する方法

公正証書を作成するには、できあがった示談案をお近くの公証役場に持ち込んで、公正証書の作成を公証人に依頼する必要があります。

公証人と打ち合わせを行って作成日を決め、当日被害者と加害者の双方が公証役場に行けば公正証書の示談書を作成してもらえます。

当日、本人が出席するのが困難であれば代理人に任せることもできます。

 

公証役場は全国各地に存在しており、どこの役場を利用してもかまいません。事故の加害者と話し合ってもっとも都合の良い場所を選択しましょう。

http://www.koshonin.gr.jp/list

 

5.公正証書を作成する際の注意点

示談書を公正証書にする場合、以下の2点に注意が必要です。

5-1.相手の了承が必要

公正証書を作成するには、加害者の了承が必要です。当日は本人確認書類をもって公証役場に来てもらわねばなりません。強制はできないので、相手の理解を得られるよう説明と説得をしましょう。

 

5-2.費用がかかる

公正証書を作成するには費用がかかります。金額は示談金の額によって変動しますが、1~5万円程度となるケースが多いでしょう。手数料は、公正証書の作成日に現金で公証人に支払う必要があります。

 

どちらが費用を負担するのかについても加害者と話し合って決めておきましょう。

加害者がどうしても費用負担を嫌う場合、被害者側が全額負担してでも公正証書を作成しておいた方が安心です。

 

加害者が無保険の場合、示談が成立しても支払いが行われないリスクが発生します。確実に支払いを受けるための手段の1つとして、公正証書を活用しましょう。

 

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