示談をやり直せるケースとは

交通事故でいったん示談が成立すると、基本的にやり直しはできません。ただし一定のケースでは示談を取り消せますし、合意後に発生した損害については示談をやり直せる可能性もあります。

 

今回は交通事故の示談をやり直せるケースについて、千葉の弁護士が解説します。

 

1.詐欺や強迫によって示談させられたケース

いったん示談書に署名押印して相手に渡したら、基本的にはやり直しができないと考えましょう。示談は1種の和解契約であり、契約が成立した以上どちらかの一方的な都合で取り消したり解除したりできないからです。

 

ただし示談が相手の「詐欺」や「強迫」によって行われた場合、示談の「取消」が可能です。

1-1.詐欺

詐欺とは相手をだますことです。和解内容に関する重大な事項について相手から虚偽を述べられてだまされて示談書に署名押印してしまった場合、示談を取り消してやり直せる可能性があります。

1-2.強迫

強迫とは相手を脅して強要することです。「示談書に署名押印しないと殴り倒すぞ」「家を燃やすぞ」「家族を傷つけるぞ」などと脅されて仕方なく示談書に署名押印した場合、示談を取り消してやり直しができます。

 

 

2.錯誤に陥っていたケース

示談時、和解内容や前提となる重要な事項について誤解していた場合にも、示談を取り消してやり直しができる可能性があります(改正民法95条1項)。

 

ただし「法的な基準を適用すればもっと多く請求できることを知らなかった」としても錯誤は認められません。重大な事項について勘違いしていたとしても「重過失」があれば取消は不可能です。

交通事故示談で錯誤による取消を主張するハードルは高くなるので、示談の際にはしっかり内容を理解し納得した上で署名押印しましょう。

 

取消が必要

詐欺や強迫によって示談させられた場合や錯誤によって示談してしまった場合、示談をやり直すには「取消」が必要です。何もしなければ示談は有効なままなので注意しましょう。(なお以前は錯誤の場合「無効」となったので取消不要でしたが、法改正により錯誤がある場合にも「取消」が必要になっています。)

 

内容証明郵便などを使って示談の取消通知書を送るようお勧めします。

 

3.示談内容が公序良俗に反する場合

示談内容が公序良俗に反する場合には、示談が無効になります。たとえば愛人になるのと引換に示談金を払ってもらう約束をした場合や、損害額が僅少なのに暴利ともいえる高額な賠償金を設定した場合などには公序良俗違反と判断される可能性があります。

 

4・示談時には予測できなかった後遺障害が発生したとき

示談時には予測できなかった後遺症が示談後に発生した場合、後遺障害に関する賠償金(慰謝料や逸失利益、再手術の費用など)を示談金とは別途請求できる可能性があります。後遺障害の損害については示談内容に含まれていないと考えられるためです。

 

ただし示談後に後遺障害の損害賠償金を請求するには、以下のような要件を満たす必要があります。

  • 当初にすべての損害を把握しがたい交通事故であった

事故当時には全容を把握できないような、一定以上の重大な交通事故であることが要求されます。

  • 早急に少額の示談金によって示談が行われたこと

事故後すぐに、少額の賠償金によって示談が成立した事情が必要です。

  • 示談時に後遺障害の発生を予測できなかったこと

示談当時に後遺障害が発生する兆候がまったくなく、当事者によって予測不可能であった状況が必要です。

 

5.示談内容に納得できない場合、弁護士に相談を

示談するときには「基本的に後に取消しややり直しはできない」ことを前提に、慎重に判断して示談書に署名押印すべきです。示談してしまって良いものか、迷いがあるなら弁護士が示談案の内容を精査いたします。

 

また万一「示談後に予想外の痛みや不調が発生した」「相手から強迫されて無理に示談書に署名押印させられた」などの事情があれば、お早めにご連絡ください。弁護士から相手に通知を送ることで示談のやり直しができたり追加の賠償金を請求できたりする可能性があります。

当事務所では千葉県周辺で交通事故被害者のサポートに力を入れておりますので、お困りの方は、お気軽に当事務所を頼っていただけますと幸いです。

 

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