死亡事故が起こってしまったら、ご遺族の悲しみは察するにあまりあるものです。しかしそのようなときであっても、加害者側との示談交渉を進めていかねばなりません。示談をしないと損害賠償請求権が時効にかかり一切の補償を受けられなくなってしまうおそれもあります。
それでは、誰が保険会社と示談交渉を進めていけば良いのでしょうか?
死亡事故では、ご本人が亡くなられているので、代わりに「相続人」が示談交渉や訴訟に対応する必要があります。
今回は、死亡事故で損害賠償請求を行う「相続人」が誰になるのか、状況別に解説していきます。
1.夫や妻が亡くなったケース
夫婦と1人の子どもがいる家族3人のケースにおいて、交通事故で夫や妻が亡くなったケースをみてみましょう。
この場合「配偶者と子ども」が相続人となります。
たとえば夫が死亡したなら妻と子どもが相続人となり、妻が死亡したなら夫と子どもが相続人となります。
残された配偶者と子どもが共同して示談交渉や訴訟などの損害賠償請求を進めていくことになります。
2.夫婦に子どもがいなかったケース
次に、夫婦のうち一方が亡くなり、子供がいなかったケースを考えてみましょう。
この場合、相続人になるのは配偶者と両親です。
そこで、残された配偶者と被害者の両親が共同して慰謝料請求等の手続を進めていく必要があります。
3.子どもが亡くなったケース
不幸にも子供が死亡してしまったケースでは、親が損害賠償請求権を相続します。
そこで、親である夫婦2人が共同して、慰謝料等の請求手続を進めていくことになります。
4.未婚で親も子どももいない方のケース
未婚で親も既に亡くなり、子どももいない方の場合には、兄弟姉妹に相続権があります。
そこで、兄弟姉妹が全員共同して損害賠償請求を進めていく必要があります。
5.相続人の代表者を決める必要がある
死亡事故で、複数の相続人が損害賠償請求を進める際には、相続人の「代表者」を決める必要があります。代表が決まらなければ任意保険も示談交渉に応じませんし、自賠責保険も保険金請求に応じません。
ところが相続人同士が必ずしも円満な関係というわけでもないので、スムーズに代表者を決められないケースも多々あります。
たとえば嫁と姑が共同相続人となることもありますし、普段ほとんど行き来のない兄弟姉妹が共同相続人となるケースもあります。
そのようなとき、弁護士に示談交渉を委任すると、スムーズに手続きを進めることができます。また弁護士が対応すれば、弁護士基準で慰謝料を計算するので受取金額の相場が上がります。反対に被害者のご遺族が対応されると低額な任意保険基準をあてはめられて死亡慰謝料を始めとする賠償金の相場が下がってしまいます。
そのようなことは、亡くなられた被害者にとっても無念なことで、あってはならないことと感じます。
どれだけ多額のお金を受けとっても被害者が帰って来るものではありませんが、せめて適切な相場の慰謝料を受けとることによって、被害者の悔しさを慰謝するしかありません。
死亡事故で苦しまれているならば、弁護士までご相談下さい。