「死亡事故で相続人になったら、本人が借金していることが判明した…」
そのようなとき、相続人としてはどのように対応したら良いのか迷ってしまいます。
相続すべきか?はたまた相続放棄をすべきか?
今回は、死亡事故の被害者が債務を残して死亡した場合の相続人の対処方法をご紹介します。
1.相続の場合の借金の取扱い
被相続人が借金していた場合、借金は相続人に引き継がれます。
ローンやクレジットなどの借金だけではなく、未払いの家賃や光熱費、税金なども相続対象になります。
そして相続人が複数いる場合には、負債はそれぞれの「法定相続分」に応じて相続されます。たとえば妻と2人の子供が相続する場合で、妻が2分の1、子どもたちそれぞれが4分の1ずつの相続分になるケースでは、負債もその割合で相続されることとなります。
負債の相続を免れるためには「相続放棄」という方法があります。相続放棄をすると、プラスの資産もマイナスの負債も含めて、一切の相続をしないで済みます。
また、限定承認という方法を使えば、相続したプラスの資産の範囲内で負債を相続することができます。その場合、負債が資産を上回っていたら相続をしないで済むので借金を支払う必要はありません。
2.損害賠償請求権の相続方法
次に、交通事故の損害賠償請求権がどうなるのか、みてみましょう。
死亡事故が起こったとき、被害者の慰謝料などの損害賠償請求権も相続の対象になります。
相続人が複数いる場合、損害賠償請求権は法定相続分に従って引き継がれることになります。
たとえば先ほどと同じ例で、妻と2人の子どもが相続人になるのであれば、妻が2分の1、子供達がそれぞれ4分の1ずつの損害賠償請求権を獲得します。
3.相続放棄すべきか決める判断基準
このように、損害賠償請求権と負債の両方を相続してしまうことになったとき、相続放棄をするのが良いのでしょうか?それとも相続するのが良いのでしょうか?
相続放棄をすると、プラスの資産も一切受けとれなくなってしまいます。損害額が多額で借金額を上回るのであれば、相続放棄すると損をしてしまいます。
そこでまずは損害賠償の見込額と借金の額を比較してみましょう。明らかに損害賠償の金額が高額であり、相手が任意保険に加入しているのであれば、高額な賠償金が支払われる確実性が高いので、相続放棄せずに単純承認するのが良いでしょう。
借金と賠償金のどちらが大きくなるか微妙であれば、限定承認をして、損害賠償金の範囲内だけで負債を背負う方法が有効です。ただし限定承認をするには、共同相続人全員で申立をする必要があります。
相続放棄も限定承認も、基本的に「相続開始を知ってから3か月以内」に家庭裁判所で手続きをしないといけないので、急ぎましょう。
死亡事故で借金を相続してしまうというイレギュラーな事態に遭遇したら、不利益を受けないために専門知識を持った弁護士に相談すべきです。自己判断で動いて後悔しないように、お早めに千葉の弁護士までご相談下さい。