逸失利益が認められにくい後遺障害と否定されたときの対処方法

交通事故で後遺障害が残ったら、基本的に「逸失利益」が発生します。

しかしケースによっては後遺障害が残っても逸失利益を否定されます。

逸失利益を否定されやすい後遺障害としては、外貌醜状や脚の短縮障害、歯の後遺障害などがあります。

 

以下では逸失利益を否定されやすい後遺障害と、逸失利益を否定されたときの対処方法について、解説します。

 

1.外貌醜状

交通事故で「外貌醜状」の後遺障害が残ったとき、保険会社は「逸失利益を払わない」と言ってくるケースが多々あります。

外貌醜状とは、顔や首、頭などの日常的に露出する部分にあざや傷跡が残ったときに認定される後遺障害です。外貌醜状の場合、傷跡が残るだけで身体的な機能の低下がないので、精神的苦痛はあっても労働能力が失われませんし、減収が発生しないケースも多々あります。そこで、後遺障害によっても失われた利益がないとして、逸失利益が否定されやすいのです。

 

ただしモデルや俳優などの人前に出る仕事の場合には、外貌醜状によって仕事が制限されるので逸失利益が認められます。また営業マンなどのケースでも、仕事をとりにくくなる可能性が高く、逸失利益が認められる可能性があります。

 

また外貌醜状で逸失利益を否定された場合には、その分「後遺障害慰謝料」を増額してもらえるケースが多数です。

 

2.軽度の脚の短縮傷害

交通事故で骨折すると、一方の脚が他方の脚より短くなってしまうケースがあります。その場合「下肢の短縮障害」として後遺障害認定されます。

ただ、片脚が1センチ以上3センチ未満短縮しただけの13級8号の場合、労働能力に影響しない職種も多くなってきますので、保険会社が逸失利益を否定するケースが多数です。

 

ただしとび職やスポーツ選手など、脚が少し短くなったことが大きく仕事に影響する場合も考えられ、そういったケースでは逸失利益を請求することが可能です。

 

3.歯の後遺障害

交通事故で顔面を負傷すると、歯を欠損するケースも多数あります。専門的な用語では「歯牙障害」と言います。

交通事故で歯がなくなっても、インプラント治療や入れ歯などを利用すれば物を噛んで飲み込んだりすることは可能ですし、労働能力にも影響しないことが多いでしょう。そこで保険会社は逸失利益を否定してくるケースが多数です。

ただし格闘家やスポーツ選手、力仕事をする方など、歯を食いしばる必要のある仕事の場合には大きな支障が出る場合があり、逸失利益が認められます。

 

4.味覚、嗅覚の後遺障害

交通事故で顔面を負傷したり脳に損傷が及んだりすると、味覚や嗅覚が失われてしまうケースがあります。その場合にも、後遺障害認定されます。

ただ、一般的な事務職などの場合、味覚や嗅覚に障害が残っても仕事に支障がないので逸失利益を否定されやすいです。

ただし調理師には味覚と嗅覚が必須ですし、研究職や芸術家、食品のバイヤーなどでもこれらの感覚を必要とする方がおられます。

味覚、嗅覚の喪失によって仕事をしにくくなったのであれば逸失利益を請求できる可能性があります。

 

5.保険会社が逸失利益を否定した場合の対処方法

交通事故後、後遺障害が残ったのに保険会社が逸失利益を否定する場合には、訴訟を起こすと逸失利益が認められる可能性があります。

保険会社が相場より低い労働能力喪失率を主張する場合にも、裁判によって労働能力喪失率が変更されて逸失利益が増額されるケースも多々あります。

訴訟で逸失利益を否定されても、その分後遺障害慰謝料を増額して全体的に金額が調整されるケースが珍しくありません。

 

後遺障害が残ったとき、保険会社から逸失利益を否定されても、その言い分を鵜呑みにすべきではありません。弁護士にご相談いただけましたら正しい考え方をお伝えしますので、一人で悩まずにお気軽にご相談下さい。

 

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