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素因減額とは~賠償金の減額要素となる身体的・心因的素因について~

2019-08-05
  • 椎間板ヘルニアがあるから「素因減額」で賠償金を3割減とされた
  • うつ病だから「素因減額」として賠償金を減らされた

 

交通事故に遭ったとき、相手の保険会社から「素因減額」を主張されて賠償金を大きく減額されてしまうケースがあります。

一般の方には「素因減額」という言葉になかなかなじみがないので、何のことかわかりにくいかも知れません。

 

素因減額は、被害者側の事情によって損害が拡大したときに、その分賠償金を減らすという考え方です。過失相殺にも似ています。

 

今回は交通事故で素因減額されるケースとされないケース、納得できない場合の対処方法について解説していきます。

 

1.素因減額とは

素因減額とは、被害者側の事情によって損害が拡大したときに、その影響の程度に応じて賠償金を減額することです。

たとえば被害者に既往症があり、それによってけがが悪化したり治療期間が長引いたりすると、被害者のせいで損害が拡大したと言えなくもありません。そのような場合にまですべての損害を加害者にかぶせることはかえって不公平になるだろうという理由で、素因減額が認められるのです。

素因減額は、被害者と加害者に公平に損害を分担させようという考え方にもとづいており、過失相殺と根拠は同じです。

 

2.素因減額の種類

素因減額には「身体的素因」と「心因的素因」の2種類があります。

2-1.身体的素因

身体的素因とは、交通事故の被害者に持病や既往症などの身体的な疾患があった場合に認められる素因です。

特に多いのは「椎間板ヘルニア」です。

人は年を重ねると、自然に椎間板ヘルニア(背骨にある椎間板という軟骨の変形)になっていることが多いのですが、椎間板ヘルニアになっているとむち打ちなどの症状が悪化しやすいのです。そこで保険会社は椎間板ヘルニアの既往症を原因として賠償金の減額を主張してきます。

ただ椎間板ヘルニアがあるからと言って必ずしも素因減額されるとは限りません。

そもそも椎間板ヘルニアが事故前からあったことを確認できない事例もありますし、仮にヘルニアがあったとしてもそれが治療に影響を与えたとは言えないケースも多々あります。

裁判でも、保険会社による椎間板ヘルニアにもとづく素因減額の主張を退けたものがあるので、相手の主張をそのまま受け入れる必要はありません。

 

2-2.心因的素因

心因的素因とは、被害者の精神的要因による素因です。性格的に細かいことを気にしてしまったり落ち込みやすかったりすると、熱心に治療を受けずに治療期間が長引いてしまうケースがあります。そういった場合、被害者に心因的素因があったために損害が拡大したとして、賠償金が減額されます。

ただ、事故後にうつ病になったからといって心因的素因として減額されるわけではありません。

事故に遭うと、それまで明るく元気であった人でも思い悩んでうつ病になってしまうケースは珍しくありません。あまりの痛みに耐えかねてうつ病にかかる方もいます。

このような場合、被害者の特殊な傾向によってうつ病になったのではなく事故が原因でうつ病になってしまったのですから心因的素因減額すべき場面とはいえません。

被害者がうつ状態になると保険会社はすぐに「心因的素因」を主張してくる傾向があるので、注意が必要です。

 

3.素因減額に納得できない場合の対処方法

交通事故後、保険会社と示談交渉をしていると相手から「身体的素因」「心因的素因」を主張されて賠償金を3割、4割減額されるケースが多数あります。本来であれば素因減額すべきでないケースであっても保険会社が素因減額をあてはめてくるケースがあり、注意が必要です。知らずに受け入れてしまったら賠償金を大きく減額されて不利益を受けてしまいます。

 

素因減額に納得できない場合、相手の主張が正しいかどうか分からない場合には、一度弁護士までご相談下さい。法的に正しい考え方をお伝えできますし、弁護士が損害賠償請求手続を代行することにより、素因減額を回避できるケースもございます。千葉で交通事故に遭われたら、お気軽に当事務所までご連絡下さい。

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